文献情報
文献番号
200936202A
報告書区分
総括
研究課題名
Prader-Willi症候群の実態把握と治療指針の作成
課題番号
H21-難治・一般-147
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
永井 敏郎(獨協医科大学越谷病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 緒方 勤(国立成育医療センター研究所 小児思春期発育研究部)
- 藤枝 憲二(旭川医科大学 小児科)
- 堀川 玲子(国立成育医療センター 内分泌代謝科)
- 村上 信行(獨協医科大学越谷病院 小児科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、Prader-Willi症候群(PWS)の実態把握と、それに基づく治療指針の作成である。その必要性は、本症候群が、乳児期早期の筋緊張低下、乳児期以降の過食と高度の肥満傾向およびその結果としての糖・脂質代謝異常、中枢性(および続発性)性腺機能低下、成長障害、精神発達遅延など、生涯にわたりQOLの低下を招く難病であるにもかかわらず、現行治療法の評価、遺伝的異質性による症状や治療反応性の解析、長期予後の解明がなされていないことにある。
研究方法
全国病院医師を対象とする実態調査、全国患者会を対象とする詳細な実態調査、成長ホルモン治療効果、性ホルモン治療効果、向精神薬治療効果、合併症(糖尿病、側弯症)の解析、遺伝子解析を行った。
結果と考察
全国病院医師を対象とする実態調査: 1,147名(男性604名、女性543名)の患者を把握できた。
全国患者会連合大会の開催と全国患者会を対象とする詳細な実態調査: 567名を対象として、食生活、活動性、合併症、治療内容とその効果および副作用、生殖補助医療の有無など、多岐にわたる詳細な調査が実施しえた。
成長ホルモン治療効果の評価:身長SDスコアは、治療前-3.0から、治療後1年目-2.34と著明に改善した。
性ホルモン治療:行動異常を示した症例は認めず,6名は過敏性の改善を認めた.
合併症-1糖尿病(DM):DM頻度は65名中17名であった。発症時年齢は10-15歳と28-30歳の二峰性にピークがみられた(中央値15歳)。治療歴に関しては、インスリン使用例が17名中11名であり、うち3名が離脱しえた。
合併症-2側弯症:35名中22名は経過中に側弯は認められなかった(無側弯群)。成長ホルモン治療により、不変、改善、増悪が認められたが、重要な点として、傍脊柱筋の増加が側弯の改善と関連していた。
分子遺伝的解析:高齢出産がtrisomy rescue typeのダイソミー発症リスクであることが明確となった。また、本症候群と診断された患者4例において、第14染色体母親性ダイソミーが同定された。
全国患者会連合大会の開催と全国患者会を対象とする詳細な実態調査: 567名を対象として、食生活、活動性、合併症、治療内容とその効果および副作用、生殖補助医療の有無など、多岐にわたる詳細な調査が実施しえた。
成長ホルモン治療効果の評価:身長SDスコアは、治療前-3.0から、治療後1年目-2.34と著明に改善した。
性ホルモン治療:行動異常を示した症例は認めず,6名は過敏性の改善を認めた.
合併症-1糖尿病(DM):DM頻度は65名中17名であった。発症時年齢は10-15歳と28-30歳の二峰性にピークがみられた(中央値15歳)。治療歴に関しては、インスリン使用例が17名中11名であり、うち3名が離脱しえた。
合併症-2側弯症:35名中22名は経過中に側弯は認められなかった(無側弯群)。成長ホルモン治療により、不変、改善、増悪が認められたが、重要な点として、傍脊柱筋の増加が側弯の改善と関連していた。
分子遺伝的解析:高齢出産がtrisomy rescue typeのダイソミー発症リスクであることが明確となった。また、本症候群と診断された患者4例において、第14染色体母親性ダイソミーが同定された。
結論
全国病院医師を対象とする実態調査、全国患者会連合大会の開催と全国患者会を対象とする詳細な実態調査、成長ホルモン治療効果の評価、性ホルモン治療効果の評価、合併症の評価(糖尿病や側弯症)、詳細な遺伝子診断を行った。
公開日・更新日
公開日
2010-05-14
更新日
-