文献情報
文献番号
200936194A
報告書区分
総括
研究課題名
肥大性皮膚骨膜症における遺伝形式を踏まえた新しい病型分類の提言と既存治療法の再評価
課題番号
H21-難治・一般-139
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
新関 寛徳(国立成育医療研究センター 外科系専門診療部 皮膚科)
研究分担者(所属機関)
- 関 敦仁(国立成育医療センター 外科系専門診療部 整形外科 )
- 奥山虎之(国立成育医療センター 臨床検査部)
- 石河 晃(慶応義塾大学 医学部 皮膚科)
- 桑原 理充(奈良県立医科大学 皮膚科・形成外科)
- 椛島 健治(京都大学 医学部 皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
当該課題では、pachydermoperiostosis(PDP、肥大性皮膚骨膜症)の病型分類について、再検討を行うことを目的とする。
研究方法
I.文献調査の実施
(1)本邦報告例39例について、遺伝形式、臨床症状(主要3徴候、皮膚・骨外症状)についてデータベースを作成した。最終的に完全型・不全型の2群間での臨床症状などの比較を行ない、従来の臨床病型、遺伝形式、臨床症状の関連を検討した。それぞれの担当は所属施設に定期受診患者を有するので、班会議において各々の症例について討論した。
(2)ホームページ(HP)を立ち上げ、I.(1)の結果をもとに症状検索機能を設定した。
II.新しい病型分類に基づく治療法の検討
本症でみられる脂漏・油性光沢・湿疹・ざ瘡、顔面皺壁などの皮膚症状および、関節炎・骨炎などの関節症状について完全型・不全型の病型別に従来の治療薬の効果に差がみられるかを検討した。1例報告がみられる保険収載以外の薬剤の効果につき文献考察を行った。
III.遺伝子診断とProstaglandin (PG)E2測定
(1) 遺伝子診断に向けて倫理申請を行なった。
(2)血中、尿中PGE2濃度を測定
(3)HPGD遺伝子診断を実施した。Uppalの報告に基づいてPCRプライマーを設定、HPGD遺伝子領域を増幅、直接塩基配列決定法にて検討した。
(1)本邦報告例39例について、遺伝形式、臨床症状(主要3徴候、皮膚・骨外症状)についてデータベースを作成した。最終的に完全型・不全型の2群間での臨床症状などの比較を行ない、従来の臨床病型、遺伝形式、臨床症状の関連を検討した。それぞれの担当は所属施設に定期受診患者を有するので、班会議において各々の症例について討論した。
(2)ホームページ(HP)を立ち上げ、I.(1)の結果をもとに症状検索機能を設定した。
II.新しい病型分類に基づく治療法の検討
本症でみられる脂漏・油性光沢・湿疹・ざ瘡、顔面皺壁などの皮膚症状および、関節炎・骨炎などの関節症状について完全型・不全型の病型別に従来の治療薬の効果に差がみられるかを検討した。1例報告がみられる保険収載以外の薬剤の効果につき文献考察を行った。
III.遺伝子診断とProstaglandin (PG)E2測定
(1) 遺伝子診断に向けて倫理申請を行なった。
(2)血中、尿中PGE2濃度を測定
(3)HPGD遺伝子診断を実施した。Uppalの報告に基づいてPCRプライマーを設定、HPGD遺伝子領域を増幅、直接塩基配列決定法にて検討した。
結果と考察
初年度である平成21年度は第一次全国調査の準備として送付資料となるアンケート記入項目を検討した。臨床亜型において特徴のある所見として、不全型と家族歴、関節炎・骨炎、完全型と脂漏、他の皮膚症状が見出され、治療法においても、関節炎、皮膚肥厚とも手術療法が有効な症例があった。3例で遺伝子診断を試みたがHPGD遺伝子に変異は発見されなかった。しかし、血中・尿中PGE2を測定したところ、1例で血中・尿中とも高値の症例が見つかった。
遺伝子診断と生化学検査(PGE2濃度)に矛盾がみられるのは、1)今回用いた直接塩基配列決定法では見出されないHPGD変異が存在する、2)PGE2分解経路にはHPGD以外の酵素も関与しており、生化学的検査では区別できない可能性などが考えられた。これらは症例数を増やすとともに次年度の課題としたい。
遺伝子診断と生化学検査(PGE2濃度)に矛盾がみられるのは、1)今回用いた直接塩基配列決定法では見出されないHPGD変異が存在する、2)PGE2分解経路にはHPGD以外の酵素も関与しており、生化学的検査では区別できない可能性などが考えられた。これらは症例数を増やすとともに次年度の課題としたい。
結論
詳細な文献調査の結果、既に2つの病型に特徴的な臨床症状が明らかになってきた。HPGD遺伝子が唯一の原因遺伝子ではないことも示唆された。
公開日・更新日
公開日
2010-06-11
更新日
-