文献情報
文献番号
200936143A
報告書区分
総括
研究課題名
特定難治性疾患患者の回腸・大腸生検組織バンク構築
課題番号
H21-難治・一般-088
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 守(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 宮坂 信之(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、全身性難治性疾患における消化管病変の包括的・系統的解析のため、当初は全身性エリテマトーデスと多発性筋炎・皮膚筋炎に絞り、内視鏡検査で得られる生体試料を収集するシステム構築を目的とする。
研究方法
患者の十分な同意に基づいた上でダブルバルーン内視鏡により回腸深部まで観察し、病変の有無によらない回腸、大腸のマッピング生検を施行する。採取した検体は部位別に病理学的・免疫組織学的解析や、発現遺伝子解析を行うほか、ゲノムDNA、mRNA、凍結組織片、パラフィン標本として保存するシステムを構築し試料を管理する。
結果と考察
申請者の施設の倫理審査委員会において「膠原病に伴う腸管病変の遺伝子発現解析に関する研究」(承認No.106)として承認され、消化管出血疑い、腸管腫瘍疑いなど、ダブルバルーン内視鏡の適応のある患者に対し十分なインフォームドコンセントを行ったところ、ほとんどの患者から同意を得ることができた。
3ヶ月間という短期間にもかかわらず4例のダブルバルーン内視鏡を施行し腸管粘膜生検検体を採取した。そのうち特定難治性疾患においては皮膚筋炎2例、ベーチェット病1例であった。のこりの1症例は慢性関節リウマチであった。
正常検体の基礎データを元に各特定難治性疾患における腸管病変の検討を行った。興味深いことに4例すべての膠原病患者において、回腸、大腸の間質に軽度の炎症細胞浸潤を認めた。これは内視鏡所見では正常であっても、病理学的評価を行うことで顕微鏡学的な炎症が常にある可能性を示唆していた。さらに驚いたことに2例の皮膚筋炎の患者に共通して、病理検査にて腸管の杯細胞が減少していることを見いだした。粘液低下が癌化を促進するという論文からも、この杯細胞減少が癌化と関連するか今後解析の必要がある。
3ヶ月間という短期間にもかかわらず4例のダブルバルーン内視鏡を施行し腸管粘膜生検検体を採取した。そのうち特定難治性疾患においては皮膚筋炎2例、ベーチェット病1例であった。のこりの1症例は慢性関節リウマチであった。
正常検体の基礎データを元に各特定難治性疾患における腸管病変の検討を行った。興味深いことに4例すべての膠原病患者において、回腸、大腸の間質に軽度の炎症細胞浸潤を認めた。これは内視鏡所見では正常であっても、病理学的評価を行うことで顕微鏡学的な炎症が常にある可能性を示唆していた。さらに驚いたことに2例の皮膚筋炎の患者に共通して、病理検査にて腸管の杯細胞が減少していることを見いだした。粘液低下が癌化を促進するという論文からも、この杯細胞減少が癌化と関連するか今後解析の必要がある。
結論
これまで到達できなかった小腸を含めた腸管内をライブ環境で観察しその状態での腸粘膜の収集、解析が可能となった。さらに生検採取、検体収集、保存、解析までの大規模解析に向けたシステムの構築を行うことができた。膠原病患者における微細な腸管炎症および上皮細胞異常を発見することに成功した。以上から今後本計画の継続により、多数の検体収集、保存、解析が期待でき、腸管病態の解明に繋がると考える。
公開日・更新日
公開日
2010-05-27
更新日
-