OECDプロジェクトでの成果物を厚生労働行政に反映させるための研究

文献情報

文献番号
202325014A
報告書区分
総括
研究課題名
OECDプロジェクトでの成果物を厚生労働行政に反映させるための研究
課題番号
21KD2003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 美谷島 克宏(東京農業大学 応用生物科学部)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
  • 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 病理部)
  • 豊田 武士(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター・病理部)
  • 堀端 克良(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
  • 足利 太可雄(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価部)
  • 大森 清美(神奈川県衛生研究所)
  • 尾上 誠良(静岡県立大学 薬学部)
  • 齊藤 洋克(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 松下 幸平(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 山田 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
19,632,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、化学物質やその混合物の安全性を評価するための国際的な合意を推進する経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)の試験法ガイドライン(TG: Test Guideline)プログラム各国調整官作業班(WNT: Working Party of National Co-ordinators of the TGs programme)において、1)日本で開発された種々のTGやガイダンス文書(GD: Guidance Document)、有害性発現経路(AOP : Adverse Outcome Pathway)などの世界各国が必要とする成果物を公定化させること、2)他国が提案するOECD大型プロジェクトに関与し、その成果物に日本の主張を反映させること、及び、これらから得られた成果を化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)や毒物及び劇物取締法(毒劇法)などの我が国の厚生労働行政に反映させること、を目的とする。
研究方法
これまでの先行研究の成果として、我が国で開発された腐食性試験代替法、皮膚感作性試験代替法、光毒性試験代替法、内分泌かく乱性スクリーニング法などに関するTGや免疫毒性のAOPの公定化に寄与し、発達神経毒性, 非遺伝毒性発がんの“試験の実施と評価のための戦略的統合方式(IATA: Integrated Approaches to Testing and Assessment)”や皮膚感作性試験の確定方式(DASS: Defined Approach for Skin Sensitisation)の開発に関与してきた。
結果と考察
本研究班では, これらの成果を生かし, 令和5年度, 既存のTGである皮膚感作性試験代替法DPRA(Directive Peptide Reactivity Assay)の重量法の追加を含むTG442Cの再改定をなした。また, 既存のTGである皮膚感作性試験代替法IL-8 Luc assayを含むTG442Eの改定をなした。さらに, in vitro免疫毒性試験IL-2 Luc assayがTG444Aとして公表された。
AOPに関しては, AOP277:IL-1 receptor結合阻害が採択され, i-libraryに収載された。また, 発がん性のPathogenesis of chemically induced nasal cavity tumors in rodents: contribution to adverse outcome pathwayがJ Toxicol Pathol.に掲載された。
また, OECDで引き続き検討されているDASSや発達神経毒性, 非遺伝毒性発がんのIATAに関する大型プロジェクト等に参画して, その成果物に日本の意見や結果を反映させた。この目的を果たすため, TGやAOPそれらに必要な補足実験データを取得するとともに, 日本からOECDに提出する資料を事前に相互確認し, また, OECDからの意見募集に適切に対応した。
結論
令和5年度、OECDにおいて、皮膚感作性や免疫毒性に関係するTGやAOPなどの日本の成果物4件を残すことができた。これらの本研究班の成果物が今後の厚生労働行政に利用されることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2024-10-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-10-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202325014B
報告書区分
総合
研究課題名
OECDプロジェクトでの成果物を厚生労働行政に反映させるための研究
課題番号
21KD2003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 美谷島 克宏(東京農業大学 応用生物科学部)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
  • 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 病理部)
  • 豊田 武士(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター・病理部)
  • 堀端 克良(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
  • 足利 太可雄(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価部)
  • 大森 清美(神奈川県衛生研究所)
  • 尾上 誠良(静岡県立大学 薬学部)
  • 齊藤 洋克(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 松下 幸平(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 山田 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、化学物質やその混合物の安全性を評価するための国際的な合意を推進する経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)の試験法ガイドライン(TG: Test Guideline)プログラム各国調整官作業班(WNT: Working Party of National Co-ordinators of the TGs programme)において、1)日本で開発された種々のTGやガイダンス文書(GD: Guidance Document)、有害性発現経路(AOP : Adverse Outcome Pathway)などの世界各国が必要とする成果物を公定化させること、2)他国が提案するOECD大型プロジェクトに関与し、その成果物に日本の主張を反映させること、及び、これらから得られた成果を化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)や毒物及び劇物取締法(毒劇法)などの我が国の厚生労働行政に反映させること、を目的とする。
研究方法
これまでの先行研究の成果として、我が国で開発された腐食性試験代替法、皮膚感作性試験代替法、光毒性試験代替法、内分泌かく乱性スクリーニング法などに関するTGや免疫毒性のAOPの公定化に寄与し、発達神経毒性,や非遺伝毒性発がんの“試験の実施と評価のための戦略的統合方式(IATA: Integrated Approaches to Testing and Assessment)”や皮膚感作性試験の確定方式(DASS: Defined Approach for Skin Sensitisation)の開発に関与してきた。
結果と考察
本研究班では, これらの成果を生かし, TGに関しては, 令和3年度, 既存のTGである皮膚感作性試験代替法ADRA(Amino acid Derivative Reactivity Assay)の適用濃度の変更を含むTG442Cの改定をなすことができた。同時にDASSガイドライン497が承認された。
令和4年度, 皮膚感作性試験代替法ADRAの重量法の追加を含むTG442Cの再改定をなすことができた。GDとして, in vitro免疫毒性試験の総説(DRP: Detailed Review Paper)がOECDに採択されたが, in vitro生殖毒性試験の総説はCurrent Research Toxicologyへの掲載に留まった。
令和5年度, 既存のTGである皮膚感作性試験代替法DPRA(Directive Peptide Reactivity Assay)の重量法の追加を含むTG442Cの再改定をなした。また, 既存のTGである皮膚感作性試験代替法IL-8 Luc assayを含むTG442Eの改定をなした。さらに, in vitro免疫毒性試験IL-2 Luc assayがTG444Aとして公表された。
AOPに関しては, この3年間でAOP154:カルシニューリン阻害によるT細胞依存的抗体産生抑制及びAOP277:IL-1 receptor結合阻害が採択され, i-libraryに収載された。また, 発がん性のPathogenesis of chemically induced nasal cavity tumors in rodents: contribution to adverse outcome pathwayがJ Toxicol Pathol.に掲載された。
また, OECDで引き続き検討されているDASSや発達神経毒性, 非遺伝毒性発がんのIATAに関する大型プロジェクト等に参画して, その成果物に日本の意見や結果を反映させた。この目的を果たすため, TGやAOPそれらに必要な補足実験データを取得するとともに, 日本からOECDに提出する資料を事前に相互確認し, また, OECDからの意見募集に適切に対応した。
結論
研究班の3年間で、OECDにおいて、TGやAOPなどの日本の成果物を毎年2件以上(合計9本)残すことができた。これらの本研究班の成果物が今後の厚生労働行政に利用されることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2024-10-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202325014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
皮膚感作性、免疫毒性、光毒性、癌原性及び光毒性に関するそれぞれの毒性分野の国内外の専門家がOECDという国際機関に集い、有害性作用機構(AOP)を解明する、毒性を検出する試験法ガイドライン(TG)を公定化するという視点で議論し、最先端の科学的知見を検証した成果物は、極めて学術的な価値が高いと考える。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
OECDで、TGやAOP等の日本の成果物を7本残した。日本人が開発したTGは、既存の皮膚感作性試験代替法のTGであるADRA適用濃度の変更を含むTG442Cの改定、ADRA重量法の追加を含むTG442Cの再改定、DPRA重量法の追加を含むTG442Cの再改定及びIL-8 Luc assayを含むTG442Eの改定をなした。さらに in vitro免疫毒性試験IL-2 Luc assayがTG444Aとして公表された。AOPは、AOP154とAOP277が採択され、i-libraryに収載された。
その他行政的観点からの成果
上記の本研究班の成果物が今後の厚生労働行政に利用されることを期待している。また、他国が開発したTGやAOPは使用するだけでなく、国際協力の中で、我が国で開発された成果物を公定化することにより、毒性評価の真理を究めることができ、この経験を持つ研究者を多数輩出できる本研究班は、行政的な観点での人材育成においても極めて有意義であると考える。
その他のインパクト
OECDで3年間に公表したヒト健康に関わるTGは15本、AOPは19本である(軽微な字句の修正は除く)。その中で、一国の研究者が開発したTGやAOPが毎年、定期的に複数本ずつ開発されていくという現実は、欧米中心で進んできた標準化グループにとっては無視できない事実である。このような経験こそが我が国の科学研究レベルを引き上げ、我が国の国際社会における存在感を高めることにつながると信じている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
96件
その他論文(和文)
12件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
181件
学会発表(国際学会等)
47件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nishikawa A, Kojima H, Ogawa K,et al
comprehensive review of mechanistic insights into formaldehyde-induced nasal cavity carcinogenicity
Regul Toxicol Pharmacol. , 123 , 104937-  (2021)
10.1016/j.yrtph.2021.104937
原著論文2
Nishikawa A
Perspectives on the elimination of animal assays in the assessment of carcinogenicity
Regul Toxicol Pharmacol. , 126 , 105031-  (2021)
10.1016/j.yrtph.2021.105031

公開日・更新日

公開日
2024-10-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
202325014Z