文献情報
文献番号
202324026A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関等におけるより高度な医療安全のためのバーコードの活用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC2002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
舟越 亮寛(亀田医療大学 総合研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
令和4年12月に施行された改正薬機法において、医療用医薬品の添付文書の参照閲覧を可能にするために医薬品等の容器にGS1コードの記載が義務化された。医薬品の分野においてもリアルワールドデータ(RWD)の利活用の推進が国際的に進められているが、わが国では医療情報システムが広く利用されているにも拘わらず、その際必要不可欠となるビッグデータとして集合解析可能な「質の担保された医療情報」に関しては医療機関において整備・管理されていないのが現状である。従来GS1コードは「物流用コード」の視点で捉えられてきたため、在庫管理や取り違え防止等の目的で一部の医療機関等で活用されているに過ぎない。医薬品の適正使用(副作用の低減)確保等様々な医療の質的向上のために診療情報(病名コード、医薬品、臨床検査項目及び検査値等)を「ビッグデータの解析」の視点で利活用するためにはGS-1コードと既存のコード(HOTコード、YJコード)等を有機的に結びつけ、ビッグデータとして集合解析できる基盤の整備が必要である。今般の医薬品等の容器へのGS1コードの記載義務化を契機に医療機関における医薬品の適正な管理のみならず、RWDの利活用のための基盤整備を進めることは極めて重要であり、新型コロナウイルス感染症対策においても医薬品の納品と購入・調剤・実際の使用状況が連動するようなデータ基盤が整備されることで政府の安全対策措置がより迅速かつ精度が高くなることが期待されている。その実現には医療機関における医療情報の利活用可能な電子化は喫緊の課題である。本研究においては法的に記載義務付けられたGS-1コードを、医薬品適正使用確保の視点で利活用するための方策を検討するため、各医療機関における実態調査を行うとともに、「ビックデータ解析」を行うために必要な環境整備、及び臨床の場に存在する薬剤師等に求められる資質等についても検討を行い、提言を行う。
研究方法
(1)医療機関等でのGS1コードの活用のありかた及び製品面で検討すべき点を整理:関係団体と意見交換をWEBで開催した。本年度もGS1 japanには諸外国の近況のとりまとめ、経時的情報提供を依頼し、年度内報告した。(2)コードの標準化の実現:令和5年度:安全対策のデータ保存のデータ分析・利活用について調査分析結果を年度内報告した。(3)モデル・指針作成:令和5年度に(2)にあわせて2施設間のデータ保存の分析と課題についてとりまとめ年度内報告した。(4)薬剤師の育成と訓練方策の指針作成:令和5年度アンケート結果よりバーコード/医薬品マスタ利活用のための教育体制の現況とを評価した。(5)適正使用ガイドの作成とコード化推進のための啓発資材:(1)ならびに(3)、(4)について作成・啓発内容を検討した。
結果と考察
(1)日本病院薬剤師会の協力を得てアンケートを実施した。Web1,464施設、紙532施設、計1,996施設より回答があった。Web回答の解析を年度内報告した。
また、GS1コードの活用現状についてトレーサビリティの強化型の医療機関1箇所を視察すると共に関係者と意見交換した。その結果現状においては有効期限/ロット番号等ラベルを全ての薬剤に付与することで流通面でどの患者にどのLot番号・有効期限の製品が交付されたかをトレース可能にする工夫がなされていた。医療安全対策に活用し、一定の安全管理(誤調剤防止)に効果を出しているが、利用は単なる照合型チェックに使用されており、品質保証に関するデータ保存されていないことが明らかになった。この種の情報を記録と活用方法の提案することを令和6年度に(2)とあわせて試行的な開発を行う。
(2)医療機関でチェックシステムなどの一次利用する際に、公的に公開されているデータを利用することができないため広く利用を促すという観点からも、公的に公開されるデータとして、対応テーブルの公開の必要性について意見交換された。
(3)今回、これまでほとんど活用されていない薬剤ピッキングログの解析により、医療安全上の有用な知見が得られる可能性を示すことができた。
(4)令和5年度アンケート結果よりバーコード/医薬品マスタ利活用のための教育体制の現況としては、「特になし」が52.9%であり、その他の回答においても自己研鑽やベンダーからの説明など消極的・受け身の教育体制にとどまっていた。
(5)作成・啓発:(1)でアンケート配布時にGS1japan作成の啓発資材を同封し啓発を行った。次年度は(3)、(4)を合わせた研修会ならびに啓発資材を作成し各医療機関へ配布を行う予定である。
また、GS1コードの活用現状についてトレーサビリティの強化型の医療機関1箇所を視察すると共に関係者と意見交換した。その結果現状においては有効期限/ロット番号等ラベルを全ての薬剤に付与することで流通面でどの患者にどのLot番号・有効期限の製品が交付されたかをトレース可能にする工夫がなされていた。医療安全対策に活用し、一定の安全管理(誤調剤防止)に効果を出しているが、利用は単なる照合型チェックに使用されており、品質保証に関するデータ保存されていないことが明らかになった。この種の情報を記録と活用方法の提案することを令和6年度に(2)とあわせて試行的な開発を行う。
(2)医療機関でチェックシステムなどの一次利用する際に、公的に公開されているデータを利用することができないため広く利用を促すという観点からも、公的に公開されるデータとして、対応テーブルの公開の必要性について意見交換された。
(3)今回、これまでほとんど活用されていない薬剤ピッキングログの解析により、医療安全上の有用な知見が得られる可能性を示すことができた。
(4)令和5年度アンケート結果よりバーコード/医薬品マスタ利活用のための教育体制の現況としては、「特になし」が52.9%であり、その他の回答においても自己研鑽やベンダーからの説明など消極的・受け身の教育体制にとどまっていた。
(5)作成・啓発:(1)でアンケート配布時にGS1japan作成の啓発資材を同封し啓発を行った。次年度は(3)、(4)を合わせた研修会ならびに啓発資材を作成し各医療機関へ配布を行う予定である。
結論
アンケート調査によりバーコードの利活用は徐々に増加傾向にあり、データの二次利用ならびに、有効期限・製造番号の追跡を可能としている医療機関も少なからずあることが明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2024-11-27
更新日
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