ジストニアの治療法の確立・治療指針策定のための調査研究

文献情報

文献番号
200936110A
報告書区分
総括
研究課題名
ジストニアの治療法の確立・治療指針策定のための調査研究
課題番号
H21-難治・一般-055
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
梶 龍兒(徳島大学 医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 一子(独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 神経内科)
  • 平 孝臣(東京女子医科大学医学部脳神経外科学講座 脳神経外科学)
  • 坂本 崇(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 病院 神経内科)
  • 宇川 義一(福島県立医科大学 医学部 神経内科)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科部門 神経内科学)
  • 一瀬 宏(東京工業大学大学院生命理工学研究科 神経化学)
  • 辻 貞俊(産業医科大学 神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ジストニアは人口10万人あたり10-15人程度の比較的稀な疾患で、重症例では歩行障害など日常生活に支障をきたし、軽症例でも職業で多用する動作が侵され離職を余儀なくされることから社会的に無視することのできない疾患であるが、いまだ治療に関するガイドラインは完成していない。本研究ではジストニアに関する治療指針を作成することを目的とし、合わせて病態の研究を通して画期的な新規治療法を開発することも目標とした。
研究方法
プロジェクト研究を行っている。課題遂行に当たっては、必要に応じて徳島大学、または研究者の所属機関に於いて、倫理委員会による審査を受審し承認を得ている。
結果と考察
ジストニアの遺伝子診断システムを拡充し、DYT1、DYT5、PANK2、TH、SGCE、DRD2に加え、DYT3遺伝子の検査を可能とした。各遺伝子異常によるジストニア別に、症状の特徴や現在考えられる治療介入の可能性についてのまとめを行っている。
痙性斜頚、眼瞼痙攣に対するボツリヌス治療の有効性は確立されているが、海外報告などから、四肢のジストニアや痙性発声障害への有効性も確認できた。今後、適応拡大に向けた努力を要する。
先端医療開発特区として採用されている、より安全性の高いボトックス製剤(NTX)の開発では、NTXが従来型のものより、拡散せず注射部位特異的に効果を持ち、抗体誘導率も低いことが明らかとなった。
ジストニアに対する内服加療では、国内、海外ともに使用は多いが、十分なエビデンスは得られていない状況であるが、現時点で各病型で試みられることができる薬剤を選択した。また、エビデンスを得るための研究での評価時の留意点なども検討した。また、ゾルピデムが一部のジストニア患者に有効であることを確認した。
脳深部刺激術の有効性は確立しているが、各病型での適応と、刺激部位の選択についての現状の課題を明らかとした。
反復大脳磁気刺激法による検討で運動野の可塑性のダイナミズムの維持に、補足運動野の神経活動がメタ可塑性などといった恒常性制御機構を介して深く関わっていることが明らかとなった。ジストニアの運動野の過剰な可塑性を正常化するために補足運動野の連続磁気刺激が有用である可能性が示唆された。
職業性ジストニアや遺伝性ジストニアなどの治療指針の試案の一部を作成し得た。
結論
ジストニアに関する治療指針を作成することを目的とし、合わせて病態の研究を通して画期的な新規治療法を開発することも目標とし研究を行った。引き続き研究を行い、治療指針の策定を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-07-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936110C