文献情報
文献番号
200936080A
報告書区分
総括
研究課題名
先天白内障の原因究明と診断治療基準の創生
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-025
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
東 範行(国立成育医療センター 第二専門診療部 眼科)
研究分担者(所属機関)
- 不二門 尚(大阪大学大学院医学研究科感覚機能形成学分野)
- 石橋 達朗(九州大学大学院機能制御医学部門構造機能学講座眼科学部門)
- 佐藤 美保(浜松医科大学眼科学教室)
- 近藤 峰生(名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座)
- 大鹿 哲郎(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻眼科学)
- 黒坂 大次郎(岩手医科大学医学部眼科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天白内障は小児で重篤な視力発達障害を起こし、早期発見・治療が必要である。本研究は日本の主要治療機関と連携し、診断と機能評価および治療適応の決定に用いる基盤的資料を収集する。
研究方法
1.先天白内障の全国調査: 1,141病院に2007、2008年に手術を検討した先天白内障症例について書面調査を行った。388施設より回答を得た。2.小児部分白内障で波面センサーを用い高次収差を測定した。3.新しい小児電気生理学的検査(ERG)を開発した。4.1)小児中心角膜厚の日本人データを得た。2)ビデオ撮影による眼位および中間透光体異常の早期発見法を開発した。3)OCTで固視点記録し、弱視の関連を検討した。5.先天白内障に有用と思われる検査、手術法を検討した。6.シングルピース又はスリーピースアクリル眼内レンズ(IOL)の術後等価球面値を検討した。7.両眼白内障で一眼に非球面IOL他眼に球面IOLを挿入し術後評価した。
結果と考察
1.先天白内障の全国調査:2007年211例、2008年251例で年間約200例の新規発生である。男性56%、女性44%、両眼性63%、片眼性47%。75%に手術が行われた。術前眼合併症は34%、全身合併症は27%あった。術式は水晶体切除53%、IOL挿入47%、生後から12歳まで行われ、視力発達感受性が高い6ヶ月前に行われたのは30%に過ぎなかった。術後合併症は23%に生じ、視力不良は両眼性44%、片眼性16%だった。手術不施行は両眼性42%、片眼性58%で、発見遅れによる弱視が27%あった。本調査で発症率、手術の現状と問題点が明らかになった。2.部分白内障で不正乱視が大きく、最終視力と相関し、予後判定に有用である。3.不安を与えずにERGを記録でき、術前評価で有用である。4.日本人小児の中心角膜厚は白人よりも薄く黒人よりも厚い。前眼部検査は眼位や角膜、水晶体の異常を発見するのに役立つ。OCTで固視点を観察することができる。5.術式は水晶体吸引術+後嚢切開+経毛様体前部硝子体切除術が基本で、PMMAかアクリルIOLを使用した。6.シングルピース、スリーピースで術後屈折変化に差はなく安定していた。7.両IOLは日中視には差がないが,夜間のコントラスト感度に有意な差がある。
結論
全国調査で年間約200例の発生、合併症や早期発見されていない状況が判明した。部分白内障は不正乱視が大きい。新しいERGを開発した。中心角膜厚データを得、眼位、中間透光体異常の早期発見法、OCTの固視点記録法と開発した。シングルピースアクリルIOLは術後屈折変化が少ない。非球面IOLは暗所視が良い。
公開日・更新日
公開日
2010-04-20
更新日
-