進行性腎障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936041A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性腎障害に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-033
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松尾 清一(名古屋大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 仁(金沢医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 田口 尚(長崎大学医学部 腎臓病理学)
  • 渡辺 毅(福島県立医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 湯澤 由紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
  • 丸山 彰一(名古屋大学医学部附属病院 腎臓内科学)
  • 富野 康日己(順天堂大学医学部 腎臓内科学)
  • 川村 哲也(東京慈恵会医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 城 謙輔(国立病院機構千葉東病院 腎臓病理学)
  • 山縣 邦弘(筑波大学人間総合科学研究科 腎臓内科学)
  • 槇野 博史(岡山大学医歯薬学総合研究科 腎臓内科学)
  • 今井 圓裕(名古屋大学大学院医学研究科 腎臓内科学)
  • 斉藤 喬雄(福岡大学医学部 腎臓膠原病内科学)
  • 堀江 重郎(帝京大学医学部 泌尿器科学)
  • 奴田原 紀久雄(杏林大学医学部 泌尿器科学)
  • 成田 一衛(新潟大学医歯学総合研究科 腎臓内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
58,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性腎臓病の中でも治療法が確立していない4つの重点疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎RPGN、難治性ネフローゼ、多発性嚢胞腎PKD)に焦点を当てて、その克服のために調査研究を行うことを使命としている。また、本研究班の最終的なアウトカムとして、日本人に適した診療指針の作成・改訂を行う。
研究方法
日本腎臓学会と密接に連携して腎臓病総合レジストリーシステム(JRBR= Japan Renal Biopsy Registry, JKDR = Japan Kidney Disease Registry)を構築し、このデータベースをもとにした対象4疾患の個別研究は2次研究と位置付けられる。また、「疫学分科会」、「腎病理分科会」、「遺伝性腎疾患の遺伝子解析分科会」を横断的分科会として位置付ける。
結果と考察
レジストリーを用いた具体的な研究が開始されたことが、今年度の大きな成果である。21年度末までに、合計6,400例(男性3,481例, 女性2,907例, 性別不明12例;年齢1?99歳, 平均47.0歳)が登録された。患者登録システム(J-RBR/J-KDR)における疾患別の分布については、疫学分科会のアンケート調査による日腎研修施設の疾患分布を概ね反映していた。病型分類についても、JRBRと病理WGにおける各疾患頻度はほぼ同様であり、概ね妥当と考えられた。IgA腎症に関しては、本邦において積極的に扁摘パルスが行われている現状が確認された。治療の適応基準や効果には施設間差異を認めた。RPGN診療に関しては、我々の提唱してきたマイルドな免疫抑制療法を行うことにより、確実な進歩を遂げていることが判明する一方、診療指針のエビデンスレベル、寛解維持療法の確立、感染症対策、抗GBM抗体型RPGNの予後改善等幾つかの課題が浮き彫りとなった。難治性ネフローゼに関しては、膜性腎症にに対するPSL+CyA試験において、CyA 1日1回一括食前投与の有効性、とくにC2値が600ng/mL以上となった場合の有効性が示された。ADPKD患者では、腎容積とeGFRとは相関関係があり、ベースのeGFRが低いものほど、急速に腎障害を来たしやすいこと、しかし腎容積の変化は必ずしも腎障害のsurrogateとはならないことが明らかになった。遺伝性腎疾患の遺伝子解析に関しては、既存の資料を用いることも含め、倫理委員会に計画申請中である。
結論
腎臓病総合レジストリーシステムが構築された。今後このレジストリーをもとに調査研究が大きく進展するものと期待される。また、診療指針の改訂作業も進行中である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-01
更新日
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