混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200936038A
報告書区分
総括
研究課題名
混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-030
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
三森 経世(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 隆夫(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
  • 澤井 高志(岩手医科大学 病理学第一講座)
  • 川口 鎮司(東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター)
  • 高崎 芳成(順天堂大学 医学部 膠原病内科)
  • 川畑 仁人(東京大学 医学部附属病院 アレルギー・リウマチ内科)
  • 田中 廣壽(東京大学 医科学研究所)
  • 桑名 正隆(慶應義塾大学 医学部 内科)
  • 岡田 純(北里大学 健康管理センター)
  • 吉田 俊治(藤田保健衛生大学 リウマチ感染症内科)
  • 三森 明夫(独立行政法人国立国際医療研究センター)
  • 京谷 晋吾(独立行政法人国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
混合性結合組織病(MCTD)は本邦に多い疾患であり,独自の病像と自然歴を有し,肺高血圧症(PH)を主な死因とする.しかし,MCTDの病態形成機序はなお不明であり,予後不良のPHの治療法についてもなお多くの問題がある.MCTDの病態解明と治療法確立のため,抗U1RNP抗体や他の液性因子の病因的意義,MCTDに合併するPHの病態解明と治療,MCTDの診断の手引の検証と改訂,を重点研究課題とし未解決であった課題の解決を目指した.
研究方法
多施設共同研究による抗U1RNP抗体陽性膠原病患者のPAHに対するステロイド療法の検討,抗U1RNP抗体および新たな抗血管内皮細胞抗体の病原性の追及,ヌードマウスへのT細胞移入による抗U1RNP抗体産機序の解析,血管運動性に関与する液性因子や転写因子によるMCTD-PHの病態形成機序の追及,PHの診断法の検討,およびPHへの血管拡張療法の適応と有用性の検討,MCTD診断基準の検証,MCTD生体試料バンク構築を行なった.
結果と考察
1)抗U1RNP抗体陽性PHに対するステロイドの有用性を検証する前向き試験で9例をエントリーし,臨床症状と肺動脈圧の改善を認めたが,効果は短期的と考えられた.2)MRL/lprマウスより作成した抗U1-Cモノクローナル抗体がマウス脾臓細胞のIL-6産生を亢進させた.3)肺動脈血管内皮細胞に特異的に反応する自己抗体の対応抗原候補を同定した.4)T細胞をヌードマウスに移入するモデルで移入細胞が濾胞性ヘルパーT細胞に分化し,抗U1RNP抗体を産生することを示した.5)PHに関わる因子として,血管拡張因子NOの合成酵素NOS2遺伝子多型,血管平滑筋増殖を抑制するHEXIM1,D-ダイマーとsICAM-1が解析され,PHの新たな診断と治療への方向性が示唆された.6)アンギオテンシン変換酵素に対する新たな自己抗体が血管病変を持つ膠原病患者で同定された.7)MCTDにおけるPHのスクリーニング法,軽症PHの経時的経過,PHと関連する臨床症状が検討された.7)膠原病PHにおけるタダラフィルの有効性を明らかにした.8) MCTD診断手引の有用性を検証し,PH診断基準の改訂作業を進めた.9)MCTD生体試料バンクの構築を開始した.
結論
MCTDの病態解明と治療法確立のため,自己抗体の病因的意義,MCTD-PHの病態の解明と治療法の確立を重点研究課題とし,新たな成果を得た.

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-