門脈血行異常症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936034A
報告書区分
総括
研究課題名
門脈血行異常症に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-026
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森安 史典(東京医科大学 内科学第四講座)
研究分担者(所属機関)
  • 橋爪  誠(九州大学大学院医学研究院 災害・救急医学)
  • 川崎 誠治(順天堂大学医学部 肝胆膵外科)
  • 北野 正剛(大分大学医学部 腫瘍病態制御講座第一外科)
  • 前原 喜彦(九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科)
  • 馬場 俊之(昭和大学医学部 消化器内科学)
  • 塩見  進(大阪市立大学大学院医学研究科 核医学)
  • 小嶋 哲人(名古屋大学医学部 保健学科検査技術科学専攻 )
  • 國吉 幸男(琉球大学医学部 生体制御医科学講座機能制御外科学分野)
  • 兼松 隆之(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 移植・消化器外科)
  • 廣田 良夫(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
  • 中沼 安二(金沢大学大学院医学系研究科 形態機能病理学)
  • 鹿毛 政義(久留米大学医学部病理学教室)
  • 松谷 正一(千葉県立保健医療大学健康科学部 看護学科)
  • 吉田  寛(日本医科大学多摩永山病院 外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特発性門脈圧亢進症(IPH)、肝外門脈閉塞症(EHO)、バッドキアリ症候群(BCS)などを対象疾患とし、これらの病因および病態の追求とともに、患者発生状況、治療法、予後などの実態を正確に把握し、予後の向上のために診断、治療上の問題点を明らかにするところにある。
研究方法
IPH、EHO、BCSの病因病態の解明のため、以下の項目を検討した。1)病理学的・分子生物学的検討、2)臨床的検討、3)疫学的検討
結果と考察
【病理学的・分子生物学的検討】特発性門脈圧亢進症(IPH)における免疫異常の関与を検討し、肝、脾組織内および末梢血において制御性T細胞(Treg)が減少しており,免疫亢進状態が惹起されていると考えられた。 IPH肝における特異的蛋白の検索と、蛋白ネットワークの解析質量分析を行った。IPH肝臓において発現が同定された蛋白数は151であり、IPH 2症例に共通の蛋白発現種を認めた。 門脈圧亢進症の脾臓の病理学的検討を行い、肝硬変脾においては、marginal zoneの萎縮、B細胞の減少が認められた。【臨床的検討】食道静脈瘤のFICE(Flexible Imaging Color Enhancement)を併用した内視鏡により、食道静脈瘤の診断能を向上させることが出来た。 門脈圧亢進症の肝移植術について検討し、門脈圧が高い症例(25mmHg以上)では脾動脈結紮により、移植後の難治性腹水を軽減させる可能性を示した。 IPHにおける脾摘術の有効性を検討した。脾臓摘出術はIPH症例に対し、有効な治療法であると考えられた。 BCS患者に対する直視下根治術を施行し、その発症様式・病態における地域間の相違に関する検討を行った。術前の凝固異常は沖縄県外患者群において高率に認められ、肝静脈の閉塞、狭小化が県外患者群で多い傾向にあった。 【疫学的検討】2001年度から2007年度の間に特定疾患医療受給者証の交付を受けたBudd-Chiari症候群患者の、電子入力された臨床調査個人票の情報を利用し、臨床疫学特性を検討した。受診状況、最近の経過を集計解析した結果、Budd-Chiari症候群における予後不良例は比較的少ない可能性が示された。
結論
最新の分子生物学的手法を用いることで、門脈血行異常症(IPH、EHO、BCS)の病因病態をより深く解明することができた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-