文献情報
文献番号
202318030A
報告書区分
総括
研究課題名
AMRに関するアジア太平洋ワンヘルス・イニシアチブ(ASPIRE)実行のための体制整備に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HA2006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
菅井 基行(国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 松永 展明(国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)
- 松尾 美樹(川田 美樹)(広島大学 医系科学研究科)
- 石金 正裕(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
38,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬剤耐性(AMR)は国際的な公衆衛生上の重要課題として認識されている。アジアAMR東京閣僚会議(2016年4月16日)は、①サーベイランス・モニタリング、②臨床対応(感染予防管理・抗微生物薬適正使用)、③抗微生物薬規制水準の向上・アクセス確保、④研究開発、について具体的なロードマップの策定・実行支援を行うための枠組みである「AMRに関するアジア太平洋ワンヘルス・イニシアチブ(ASPIRE)」の創設を宣言した。さらに、アジア諸国のアクションプランの策定・実行支援を行うために、日本のリーダーシップにて、「AMRワンヘルス東京会議」が過去4回にわたり開催され、2020年2月の同会議において、ASPIREに基づき「サーベイランスシステムと検査機関ネットワーク」、「医療マネジメント」、「抗微生物剤のアクセスと規制」、「研究開発」の主要な4項目について各ワーキンググループが設置された。2022年よりASPIREの枠組みでの具体的なロードマップの実行支援を厚生労働行政推進調査事業費研究「AMR に関するアジア太平洋ワンヘルス・イニシアチブ(ASPIRE)の実行に関する研究(21HA2009)」において実施した。
本研究では、それを引き継ぎ「サーベイランスシステムと検査機関ネットワーク」、「抗微生物剤のアクセスと規制」の2つのワーキンググループと協力し、その取組を支援することを目的とする。
本研究では、それを引き継ぎ「サーベイランスシステムと検査機関ネットワーク」、「抗微生物剤のアクセスと規制」の2つのワーキンググループと協力し、その取組を支援することを目的とする。
研究方法
・研究代表者(菅井 基行)
(1) 各国で得られたサーベイランスデータを効率的に集計してレポートを作成し、WHO提出のナショナルデータを作成可能なASIARS-Netシステムについて機能追加及び改良を行い、9月にベトナムでstep-by-stepの講習会(ウェビナー)を開催した。WHO協力センターのメルボルン大学のAMRシンポジウムやインドネシア微生物学会、韓国KDCAの2023ワンヘルスAMR 国際シンポジウムにおいてASIARS-Net紹介、及びtrialへの参加を呼び掛けた。
(2) アジア各国において、昨年度に引き続き三輪車プロジェクトのプロトコルを使用したESBL保有大腸菌サーベイランスを進めた。
・研究分担者(松永 展明)
(1) 欧米およびアジア諸国の抗菌薬のアクセス規制について文献調査を実施し、東京ワンヘルス会議にて報告した。
(2) 抗微生物薬適正使用の手引き第二版英訳、ベトナム語訳のドラフトを作成した。
(3) 抗菌薬適正使用プログラムの推進について、協力候補国(ベトナム、ブータン王国、ラオス)の担当者へ協力依頼をした。
(4) Transatlantic Taskforce on Antimicrobial Resistance 会議に参加し、AMR対策に関連する最新の知見を収集するとともに、欧州各国とコミュニケーションをとった。
・研究分担者(松尾 美樹)
(1) アジア諸国とのサーベイランスシステムの構築のため、研究プロジェクトに関する大学間協定の締結・送金作業を進めた。
(2) 収集した耐性菌について、性状解析を行うための準備を進めた。
・研究分担者(石金 正裕)
(1)医療機関への対応について啓発に関してHPを作成した
(2)地方自治体への対応について、公的検査機関対象に限定ホームページを作成し公開した。
(3)医療従事者を対象に「カンジダ・アウリスの臨床、行政対応アウトブレイクの備え」講習会を実施し、米国および日本国内での知見を共有した。
(4)国内のサーベイランス体制の構築について、検体・分離株搬送、連絡票や調査票の開発と試行及び質問票最終版の完成、業務フローの検討と最終版の完成、サーベイランスや調査に必要な説明資料の作成、厚生労働省・国立国際医療研究センター・国立感染症研究所の連絡体制の構築、などを実施した。
(5)「カンジダ・アウリスの診療の手引き第1.0版」を作成、PWA化も実施した。さらに、講習会の動画をe-learningとしてホームページに公開した。
(1) 各国で得られたサーベイランスデータを効率的に集計してレポートを作成し、WHO提出のナショナルデータを作成可能なASIARS-Netシステムについて機能追加及び改良を行い、9月にベトナムでstep-by-stepの講習会(ウェビナー)を開催した。WHO協力センターのメルボルン大学のAMRシンポジウムやインドネシア微生物学会、韓国KDCAの2023ワンヘルスAMR 国際シンポジウムにおいてASIARS-Net紹介、及びtrialへの参加を呼び掛けた。
(2) アジア各国において、昨年度に引き続き三輪車プロジェクトのプロトコルを使用したESBL保有大腸菌サーベイランスを進めた。
・研究分担者(松永 展明)
(1) 欧米およびアジア諸国の抗菌薬のアクセス規制について文献調査を実施し、東京ワンヘルス会議にて報告した。
(2) 抗微生物薬適正使用の手引き第二版英訳、ベトナム語訳のドラフトを作成した。
(3) 抗菌薬適正使用プログラムの推進について、協力候補国(ベトナム、ブータン王国、ラオス)の担当者へ協力依頼をした。
(4) Transatlantic Taskforce on Antimicrobial Resistance 会議に参加し、AMR対策に関連する最新の知見を収集するとともに、欧州各国とコミュニケーションをとった。
・研究分担者(松尾 美樹)
(1) アジア諸国とのサーベイランスシステムの構築のため、研究プロジェクトに関する大学間協定の締結・送金作業を進めた。
(2) 収集した耐性菌について、性状解析を行うための準備を進めた。
・研究分担者(石金 正裕)
(1)医療機関への対応について啓発に関してHPを作成した
(2)地方自治体への対応について、公的検査機関対象に限定ホームページを作成し公開した。
(3)医療従事者を対象に「カンジダ・アウリスの臨床、行政対応アウトブレイクの備え」講習会を実施し、米国および日本国内での知見を共有した。
(4)国内のサーベイランス体制の構築について、検体・分離株搬送、連絡票や調査票の開発と試行及び質問票最終版の完成、業務フローの検討と最終版の完成、サーベイランスや調査に必要な説明資料の作成、厚生労働省・国立国際医療研究センター・国立感染症研究所の連絡体制の構築、などを実施した。
(5)「カンジダ・アウリスの診療の手引き第1.0版」を作成、PWA化も実施した。さらに、講習会の動画をe-learningとしてホームページに公開した。
結果と考察
ASPIREに基づいた「サーベイランスシステムと検査機関ネットワーク」、「抗微生物剤のアクセスと規制」の2つのワーキンググループの活動は順調に計画を執行することができた。ASIARS-Netシステムの改良は進み、今後の導入を容易にすると思われる。三輪車サーベイランスはマレーシアでは特に順調に推移し、サンプリングした菌株を受け入れることができた。抗菌薬についての文献調査等についても順調に計画を実施できた。
結論
ASPIREに基づき、「サーベイランスシステムと検査機関ネットワーク」、「抗微生物剤のアクセスと規制」について日本のリーダーシップの下に、ASIARS-Netシステムの改良および紹介、アジアにおける三輪車サーベイランスの推進、抗菌薬についての文献調査等を実施した。
公開日・更新日
公開日
2025-06-23
更新日
-