文献情報
文献番号
202318018A
報告書区分
総括
研究課題名
公的医療及び社会の立場からのワクチンの費用対効果の評価法及び分析方法の確立のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HA1007
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
- 五十嵐 中(東京大学 大学院薬学系研究科)
- 白岩 健(立命館大学 総合理工学院 生命科学部)
- 森脇 健介(神戸薬科大学 薬学部)
- 小林 美亜(静岡大学 創造科学技術大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在、厚生科学審議会において定期接種化の必要性について検討中又は薬事申請中で、今後の定期接種化が見込まれているワクチン等について費用対効果の推計を行うとともに、諸外国の研究動向を調査しわが国における分析方法の確立に資する研究を行うことを目的とした。
研究方法
HPVワクチンの男性接種や帯状疱疹ワクチンの費用対効果について、国内外の先行研究のレビューを行うとともに、COVID-19ワクチンとHPVワクチンの男性接種の我が国における費用対効果の推計を行った。さらに、ワクチンの有用性評価における非ランダム化研究の利用状況について調査した。
結果と考察
HPVワクチンの男性接種および帯状疱疹ワクチンの費用対効果の先行研究では、推計の際に使用したデータソースや疾病推移モデル、生産性損失の算出方法などについて、さまざまな方法が用いられていた。HPVワクチン男性接種の推計では、男性の疾病の予防効果に限定して分析した場合、費用対効果は基準値を大きく超えていた。女性への間接的効果を考慮した場合も、女性の接種率が向上した場合には男性接種の費用対効果が悪い可能性が示唆された。TEE等のワクチン評価への利用については26例が把握でき、そのほとんどがCovid-19のワクチンの評価に関するものであった。
結論
我が国における各種ワクチンの定期接種化に向けた検討に資する情報を提供するため、HPVワクチンの男性接種および帯状疱疹の費用対効果について国内外の先行研究のレビューを行うとともに、COVID-19ワクチンおよびHPVワクチンの男性接種の我が国における費用対効果の推計を実施した。HPVワクチン男性接種は、男性の疾病の予防効果に限定して分析した場合、費用対効果は基準値を大きく超えていた。女性への間接的効果(子宮頸癌等の予防効果)を考慮した場合も、女性の接種率が向上した場合には男性接種の費用対効果が悪い可能性が示唆された。
COVID-19ワクチンの年1回接種は、非接種と比較してどの年齢集団・ワクチン価格設定でも費用対効果は良好であった。年2回接種は、年1回接種と比較して、高齢者 (80歳以上)に限って費用対効果は良好であった。増分費用効果比ICERの数値上は、「接種対象年齢層の拡大」が「高齢者への2回接種」よりも優先順位が高くなることが示された。
また、ワクチンの有用性評価におけるTTEをはじめとする非ランダム化研究の利用状況と課題を整理した。
COVID-19ワクチンの年1回接種は、非接種と比較してどの年齢集団・ワクチン価格設定でも費用対効果は良好であった。年2回接種は、年1回接種と比較して、高齢者 (80歳以上)に限って費用対効果は良好であった。増分費用効果比ICERの数値上は、「接種対象年齢層の拡大」が「高齢者への2回接種」よりも優先順位が高くなることが示された。
また、ワクチンの有用性評価におけるTTEをはじめとする非ランダム化研究の利用状況と課題を整理した。
公開日・更新日
公開日
2025-09-08
更新日
-