国内外の精神科医療における疾病分類に関する研究

文献情報

文献番号
200935030A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外の精神科医療における疾病分類に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-こころ・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
飯森 眞喜雄(東京医科大学 精神医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 丸田 敏雅(東京医科大学 精神医学講座)
  • 染矢 俊幸(新潟大学 医学部 精神科診断学)
  • 中根 秀之(長崎大学 医学部 社会精神医学)
  • 針間 博彦(都立松沢病院)
  • 新井 平伊(順天堂大学 医学部)
  • 大久保 善朗(日本医科大学 医学部)
  • 三國 雅彦(群馬大学 医学部)
  • 小澤 寛樹(長崎大学 医学部)
  • 大野 裕(慶應義塾大学 保健管理センター)
  • 青木 省三(川崎医科大学 児童・思春期精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際疾病分類第11版作成がWHO主導により進められており、本研究班も班設立以来この過程に関わってきた。本研究ではICD-10の「精神と行動の障害」の問題点を抽出分析し、ICD-11へ我が国の意見を反映できるような提言を作成し、ICD-11がより我が国の臨床業務、研究および精神保健行政を行う上で有益となるような成果を得ることを目的とする。
研究方法
本研究において以下の研究方法が採用された。
1)WHO本部からの情報収集および調整
ICDの精神分野改訂に関する最高意思決定機関である分野別専門委員会(Topical Advisory Group; 以下TAG)へ参加し、WHOからの情報収集およびWHOとの研究における提携を担当している。
2)我が国における診断分類の特徴とプライマリケアにおける診断分類作成に関する研究
診断分類システムの使用状況、におけるICDのさらなる普及およびICDの臨床的有用性向上の観点から研究が行われた。具体的には、司法精神医学領域におけるICDの使用状況、プライマリケア(精神科以外の医療)において最適な診断分類の検討において研究が行われた。
3)各カテゴリーの診断分類や診断基準に対する専門家の提言
ICDにおけるF0からF9計10の大きなカテゴリーに対し、有識者会議や電子メールによる情報交換を中心に、ICD-10の問題点の指摘・検討を行った。
結果と考察
1)2009年9月フィールドスタディ実施の中核となるTAG下位組織(Formative Field Studies Coordinating Group; FFSCG)が結成され、正式に承認された。この組織への参加国は、現時点で日本を含む9カ国の参加が決定している。本組織はICDの現在臨床的有用性向上に向けて研究計画を作成および実施段階に入っており、本研究班も日本国内における実施に大きく貢献している。
2)日本国内におけるICDおよびDSM改訂への意識は高いが、実際に積極的に情報を集めている精神科医はごく少数であることが明らかになった。また次版の核診断分類システムに対し、大幅な改訂は避けるべきとの考えが強い実態が明らかとなった。
3)器質性精神障害の分野においては、近年発展がめざましい基礎・臨床研究をベースとした診断分類システムのあり方が協議された。気分障害においては、バイオマーカーに関する研究結果を診断分類システムの組み入れる方向性について検討を行った。
結論
ICD-11「精神および行動の障害」に向け、包括的な研究を行った。このような研究は未だなく、本研究の結果はWHOにも大きな影響を与えるものと確信する。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-