アレルギー疾患の予後改善を目指した自己管理および生活環境改善に資する治療戦略の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200934042A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患の予後改善を目指した自己管理および生活環境改善に資する治療戦略の確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大田 健(帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 一男(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 足立 満(昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科)
  • 棟方 充(福島医科大学呼吸器内科学講座)
  • 森川 昭廣(社会福祉法人希望の家附属北関東アレルギー研究所)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学)
  • 眞弓 光文(福井大学医学部小児科学)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院医学系研究院耳鼻咽喉・頸部腫瘍科学)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学医学部皮膚科学、大学院医科学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 海老澤 元宏(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー疾患研究部)
  • 山口 正雄(帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
主なアレルギー性疾患には、喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物等アレルギーが挙げられる。本研究では、各アレルギー疾患の自己管理と個別化医療を目指した早期診断基準と早期治療法の確立を達成し、自己管理と生活環境の整備の方策を具体化して推進し、各アレルギー疾患の予後を改善することを大きな目的とする。
研究方法
平成20年度に完成した「アレルギー疾患の早期診断、早期治療のための診療指針」を実地医療の場で関連施設の協力を得て、症例を集積し検討する。喘息では、喘息死ゼロ作戦の指針の実行を推進して究極の予後改善を達成するための戦略を確立する。その他、診断と治療における呼気NOの気道炎症の指標としての評価、喘息の重症化を予知する遺伝子リスク診断の確立、ダニ特異IgE抗体陽性の喘息における環境中のダニアレルゲンへの曝露量と臨床症状との関連性の検討、抗原負荷試験に代わるSCIDマウスによるアレルゲン同定法の確立などを実行する。患者からの検体収集は三省合同「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿って行う。
結果と考察
成人を対象に、1) 症状(反復する咳嗽or喘鳴or呼吸困難)、2) FeNO≧40ppb、3) 他疾患の除外、を気管支喘息早期スクリーニング基準として前向きに検討したところ、臨床的に有用であることが判明した。また、就学前児童を対象に喘鳴群と喘息群について検討した結果、FeNOは喘鳴を呈する非喘息群と喘息群を鑑別するのに有用であった。FeNOを活用して喘息を早期に正しく診断することにより、リモデリングの防止、予後改善が期待できる。
遺伝子リスク診断については、遺伝子多型・変異がパネル化され、今後の検討が期待される。喘息の臨床症状とダニ抗原暴露量との関連の検討では、成人喘息の重症度に応じてDer1量の増加を認め、重症度にダニ抗原暴露が影響していることが示唆された。

結論
アレルギー疾患の予後改善を目指した自己管理および生活環境改善に資する治療戦略の確立、そして究極の目標である喘息死ゼロを達成することは決して容易ではないが、それに向かって各班員が精力的に研究を進めている。各アレルギー疾患の自己管理および生活環境改善の達成は、疾患の予後やQOLを改善し、個人及び国の医療負担の軽減をもたらし、我が国のより良い医療体制の確立に大いに貢献するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-