独居認知症高齢者等の地域での暮らしを安定化・永続化するための研究

文献情報

文献番号
202316006A
報告書区分
総括
研究課題名
独居認知症高齢者等の地域での暮らしを安定化・永続化するための研究
課題番号
22GB1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 認知症未来社会創造センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 毅(東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
  • 津田 修治(東京健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 石山 麗子(国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科)
  • 涌井 智子(東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 井藤 佳恵(東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 堀田 聰子(慶應義塾大学 大学院健康マネジメント研究科)
  • 大塚 理加(国立研究開発法人防災科学技術研究所 災害過程研究部門)
  • 菊地 和則(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 桜井 良太(東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加とヘルシーエイジング研究チーム)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 川越 雅弘(公立大学法人埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
12,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、独居認知症高齢者等の尊厳ある地域生活の継続と安定化をめざして多様なステークホルダー向けのガイドラインと自治体向けガイドライン(改訂版)を作成することにある。
研究方法
上記の目的を達成するために、2023年度は12の分担研究課題を設定して、各分担研究課題の目的達成に向けて事例調査、系統的文献レビュー,インターネット検索、アンケート調査,ヒアリング調査、既存資料の調査等を実施した。
結果と考察
1)認知症疾患医療センターの診断後支援に関する研究:認知症疾患医療センターでは独居認知症高齢者に対して6つのカテゴリーに分類される診断後支援のプロセスが多職種協働で実践されており、その実践の前提には4つの視点があることを示した。2)生活支援ネットワークを構築する地域拠点に関する研究:地域在住高齢者を対象とするアンケート調査から,一人暮らしの高齢者が認知症になってもこの地域で暮らしていけるというエフィカシーを高めるためには、「生活圏に相談相手がいること」、「地域の集いの場を利用していること」が重要であることを示した。3)プライマリケアにおける独居認知症高齢者等への支援に関する研究:経験豊富な訪問看護師の専門家パネルでDelphi調査を行い、独居認知症高齢者の本人が望む生活を支えるための訪問看護師の活動のチェックリストを作成した。4)独居認知症高齢者等へのケアマネジメントに関する研究:地域包括支援センター職員と居宅介護支援事業所の介護支援専門員にアンケート調査を行い、地域包括包括支援センターと居宅介護支援事業所の居宅介護支援専門員に共通して支援実施度と重要度がともに低かったのは、活動、趣味・娯楽や仕事等への参加と別居家族の支援に関することであることを示した。5)地域在住の独居認知症高齢者の家族支援に関する研究:何らかの認知症症状がある高齢者の介護者を対象にオンライン調査を行い、独居認知症高齢の別居介護では、同居介護とは質の異なる介護状況と介護負担があることを明らかにした。6)複雑困難状況にある独居認知症高齢者等への支援に関する研究:特定自治体で実施されている高齢者を対象としたアウトリーチ型相談事業の関係者を対象にヒアリング調査を行い、同事業の実践には3つの課題があること示し、課題克服に向けたモデルを考案した。7)独居認知症高齢者等の社会参加促進に関する研究:認知症当事者のインタビュー調査の記録の分析から、とりわけ独居認知症者においては、他者との交流の機会があることが支えと喜びになっていることが示唆された。8)独居認知症高齢者等の災害対策に関する研究:被災地の介護支援専門員を象とするアンケート調査から,被災後及びパンデミック下での介護サービス停止が要介護高齢者の機能低下、高齢者のQOL低下、家族の介護負担に影響すること(研究1、研究2)、インタビュー調査から高齢者の災害対応に関する他部署との連携の重要性を示すとともに、平時は支援を受けずに生活していても、災害時に支援が必要となる「グレーゾーン」の高齢者の存在することを明らかにした。9)独居認知症高齢者等の行方不明対策に関する研究:2022年度の研究で示した認知症による高齢者行方不明発生率を用いて全国の認知症による行方不明高齢者の数は、毎年警察庁が公表している数値の3.73倍に及ぶことを示した。10)見守り支援に資するテクノロジーに関する研究:系統的文献レビュー及び社会実装されている見守り機器の検索から、科学的検証がなされた独居高齢者に対する見守り機器はほとんど社会実装されていないこと、AIを用いたシステムは技術的に社会実装のレベルには至っていないこと、電気使用料を用いた見守りサービス利用者の質問紙調査から、利用している独居高齢者には社会的孤立者が多く、抑うつ、主観的物忘れを訴える者が多い傾向が認められた。11)KDBシステム等を用いた自治体事業の質の評価に関する研究:特定自治体においてKDBシステム「突合データ(CSV)」と地域在住高齢者を対象とするアンケート調査のデータを突合し、KDBデータで把握した認知症の病名登録や抗認知症薬処方の有無を把握するなどの基盤構築を進めた。12)介護保険データを用いたサービス及び地域システムの質の評価に関する研究:第9期介護保険事業計画の記載内容の分析、市町村認知症施策担当者へのヒアリング、事業マネジメント研修会参加者へのアンケートによって認知症施策の現状・課題を把握し、市町村における事業マネジメント力強化に向けた対応策を提案した。
結論
本年度の研究成果に基づき,独居認知症高齢者等の尊厳ある地域生活の継続と安定化をめざして多様なステークホルダー向けのガイドラインと自治体向けガイドラインを作成することが次年度の目標である。

公開日・更新日

公開日
2024-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202316006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,912,000円
(2)補助金確定額
15,713,000円
差引額 [(1)-(2)]
199,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,590,967円
人件費・謝金 3,322,741円
旅費 1,392,925円
その他 4,735,189円
間接経費 3,672,000円
合計 15,713,822円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-07-16
更新日
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