アトピー性皮膚炎の予防・治療法の開発及び確立に関する研究

文献情報

文献番号
200934039A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の予防・治療法の開発及び確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
清水 宏(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 真志(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 有田 賢(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 戸倉 新樹(産業医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、皮膚バリア機能の破綻に伴う慢性抗原刺激がアトピー性皮膚炎(AD)の主要な病因であるという、新しい仮説のもとに、世界で初の試みとなる、1.フィラグリン遺伝子変異の有無を指標としたADのテーラーメイド治療の確立、2.フィラグリンをターゲットにしたADの新しい治療法、予防法の確立を目指すものである。
研究方法
1.フィラグリン遺伝子変異を指標としたADのテーラーメイド治療の確立
平成22、23年度の介入試験に向けて、全国の皮膚科・小児科施設の協力の下、現在、症例のさらなる集積を積極的に進めている。
2.フィラグリンをターゲットにしたADの新しい治療法(リードスルー治療)および予防法の開発
リードスルー活性を測定可能なレポータージーンアッセイシステムを作成し、ゲンタマイシン等につき、リードスルー活性を測定した。
3.ADに伴うアレルギー性疾患の予防法の開発
気管支喘息患者のDNAを用い、その病因についてフィラグリン遺伝子変異との関連性を検討した。
結果と考察
ADのテーラーメイド治療の確立を目指し、AD症例の集積とフィラグリン遺伝子変異検索を精力的に行い、AD患者の一部に新規フィラグリン遺伝子変異を同定することに成功し、日本人AD患者の約30%が既知の変異を含めた8種類のフィラグリン遺伝子変異のいずれかを持つことを明らかにした。
ADに対する新しい治療の開発に向けては、ゲンタマイシンがin vitroで高いリードスルー活性を有することを明らかにした。
また、日本人AD患者に続発する気管支喘息がフィラグリン遺伝子変異と有意に相関することを本邦で初めて示すことができた。この事実は、フィラグリン遺伝子変異に伴う表皮バリア機能を改善することでADのみならず、ADに続発する気管支喘息の発症を予防できる可能性が高いことを示唆している。
結論
本研究の1年目である本年度は、介入試験に向け、症例の集積に努め、これまでに約200例のADの症例を集めることに成功した。さらに、薬剤のリードスルー活性を測定可能なレポータージーンアッセイシステムを確立することに成功し、ゲンタマイシンが高いリードスルー活性を持つことを明らかにした。ADに続発する気管支喘息とフィラグリン遺伝子変異との間に有意な相関関係が認められ、フィラグリン遺伝子変異に伴う表皮バリア障害が、外因性ADの発症に大きく関わっていることを示した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-19
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
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