文献情報
文献番号
200934009A
報告書区分
総括
研究課題名
膠原病の生命予後規定因子である肺合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発に関する研究
課題番号
H19-免疫・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 信之(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
研究分担者(所属機関)
- 稲瀬 直彦(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学)
- 金子 祐子(慶應義塾大学 医学部内科学血液・感染・リウマチ内科)
- 亀田 秀人(慶應義塾大学 医学部内科学血液・感染・リウマチ内科)
- 川口 鎮司(東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター)
- 杉山 温人(国立国際医療センター 呼吸器科)
- 高崎 芳成(順天堂大学 医学部膠原病内科)
- 田中 良哉(産業医科大学 第一内科)
- 當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
- 土肥 眞(東京大学 医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
- 西岡 安彦(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 針谷 正祥(東京医科歯科大学 薬害監視学講座)
- 保田 晋助(北海道大学 大学院医学研究科病態内科学講座・第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
膠原病専門医と呼吸器専門医とが協同研究を行うことにより、膠原病の最大の生命予後規定因子である肺合併症の早期診断法、鑑別法及び治療法の再評価と新規開発を行い、その成果を診療マニュアルとして公開することにより、国民に対する良質な医療を提供することを目的とする。
研究方法
膠原病の肺合併症診断および治療法に関する後ろ向き研究の目的で、膠原病各疾患の外来受診患者数を調査し、さらに分担研究者の所属医療機関に入院した膠原病患者のうち、特にRA ・SLE・PM・DM・SSc・MCTD・MPA・WGのいずれかを有する患者で、入院中に間質性肺炎(IP)・肺高血圧(PH)・肺胞出血・肺肉芽腫および肺感染症の治療が施行された患者数を調査した。また、膠原病における免疫抑制療法下の肺感染症に関する前向き研究を行い、肺感染症のリスク因子を同定した。データ収集は、本研究班で設置をしたWebサイトから登録を行った。また、膠原病に合併する間質性肺炎に対するタクロリムスの有効性と安全性の検討について、個別研究を行った。
結果と考察
膠原病患者における肺合併症としてIP及び肺感染症が入院患者、死亡患者共に多く認められ、特にこの2つの肺合併症が膠原病患者の生命予後に重要であることが確認された。難治性病態としては肺高血圧症、肺胞出血が抽出された。疾患別には皮膚筋炎の生命予後がもっとも悪く、IPが最大の生命予後不良因子としてクローズアップされた。膠原病における免疫抑制療法下の肺感染症の感染リスク候補因子として肺疾患合併・既往、心不全合併、糖尿病合併、非重篤感染症合併、嚥下障害などが挙げられた。また、膠原病に合併する活動性IPに対するタクロリムスの有用性が明らかにされたが、一方で治療抵抗例の存在も確認された.
「膠原病の肺合併症診療マニュアル」が完成した。
「膠原病の肺合併症診療マニュアル」が完成した。
結論
膠原病患者における肺合併症としてIP及び肺感染症が入院患者、死亡患者共に多く認められ、特にこの2つの肺合併症が膠原病患者の生命予後に重要であることが改めて確認された。さらに、膠原病の肺合併症診療マニュアル」の使用により、難治性病態とされてきた膠原病における肺合併症の早期診断と早期からの適切な治療が可能となることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2010-10-19
更新日
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