肝炎の予防および治療対策に関する費用対効果分析

文献情報

文献番号
200933043A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎の予防および治療対策に関する費用対効果分析
課題番号
H20-肝炎・若手-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
井出 博生(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国にはB型、C型を合わせて250万人の肝炎ウイルスキャリアがいると推計されている。現在、B型の母子感染の防止、輸血・血液製剤による感染の防止については考えうる対策がとられたため、問題は感染の予防、治療とその予後であり、その経済的な側面に関する分析が不可欠になっている。本研究では感染の予防(B型)、治療とその予後に関する費用対効果分析を行うことを目的としている。また、本年度は費用対効果分析の基礎的なデータを得ることも目的とし、劇症肝炎の症例の発生や転帰等に関する情報を得るためにDPCデータベースを利用することの可能性を検討した。
研究方法
本年度の研究では多くの研究で用いられているマルコフモデルではなく、費用対効果分析にマイクロシミュレーションを取り入れることとし、シミュレーションモデルを構築した。また、マイクロシミュレーションとマルコフモデルの双方の間の差異について検討することも踏まえ、一世代による感染者数等について複数のシミュレーションを行った。DCPデータベース上の項目で「主傷病名」、「入院の契機となった傷病名」、「医療資源を最も投入した傷病名」のいずれかに「劇症肝炎」等と記載された症例を検索した。データベースからは、症例毎の生年月日、入院経路、転帰、手術等の内容等も抽出した。
結果と考察
ワクチンによる免疫効果の逓減率を8%としてケースでは、HBV感染者数は0歳時のセレクティブ・バクシネーションから0歳時のユニバーサル・バクシネーションへ転換することによって約2/3に低減された。0歳時接種よりも15歳時接種の方が効果は大きいが、免疫効果の逓減率も結果に対して大きな影響を与えていたことがわかった。平成20年度の7?12月のDPCデータから、男性114例、女性81例、合計195例の劇症肝炎であると考えられる症例が抽出された。転帰については死亡が65例であった。今回の検索の結果を参考にして、今後の詳細な検討のために病名、治療法、投薬情報について検索方法の検討を行った。また、DPCデータベースの検索による劇症肝炎や急性肝炎の発生数集計の補助は可能であるが、感染症報告等を参照しながら得られた結果を検討する必要がある。
結論
次年度にはシミュレーションモデルを拡張し、主に費用関連のパラメーターを設定することにより、費用対効果分析を実施する。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-