肝がんの新規治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200933039A
報告書区分
総括
研究課題名
肝がんの新規治療法に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
本多 政夫(金沢大学 医薬保健研究域保健学系)
研究分担者(所属機関)
  • 金子 周一(金沢大学医薬保健研究域医学系)
  • 中本 安成(金沢大学附属病院消化器内科)
  • 恩地 森一(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 汐田 剛史(鳥取大学大学院医学系研究科)
  • 横須賀 收(千葉大学大学院医学研究院)
  • 坂井田 功(山口大学大学院医学系研究科)
  • 林 紀夫(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 古瀬 純司(杏林大学医学部)
  • 上野 義之(東北大学大学院医学研究科)
  • 廣石 和正(昭和大学医学部)
  • 西口 修平(兵庫医科大学内科学肝胆膵科)
  • 工藤 正俊(近畿大学医学部)
  • 森脇 久隆(岐阜大学大学院医学系研究科)
  • 山本 和秀(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 池田 健次(虎の門病院肝臓センター)
  • 佐田 通夫(久留米大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
52,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分子標的薬ソラフェニブが欧米の進行肝がん症例の生存期間を有意に延長し、我が国において開発された非環式レチノイドの国内第Ⅲ相臨床試験がほぼ終了し、さらに複数の有望な新規抗がん剤の臨床治験が進行している。これらの抗がん剤と従来の治療法との位置づけは不明であり、重篤な副作用も懸念される。
班全体の研究として、新規抗がん剤を含めた化学療法の成績をまとめ、新規化学療法の評価と適正な患者対象の選択や使用法、副作用の課題を研究する。個別の研究として、新規治療薬の作用機序に関する研究、がん幹細胞を標的とする治療法の開発研究、免疫療法の条件の最適化を行う。また、新規抗がん剤の治療効果を予測するバイオマーカーを探索し、有用性を解析する。
研究方法
1.全体研究(研究分担者全員)
新規抗がん剤治療効果ならびに安全性調査
2.個別研究
新規抗がん剤、免疫療法、分子マーカーの同定を行う。
結果と考察
1. 全体研究(研究分担者全員)
全体研究ソラフェニブを中心とした新規抗がん剤の治療効果ならびに安全性調査を開始した。ソラフェニブ投与により高血圧(27%)、Hand‐Foot‐Syndrome(HFS)(9%)、及び肝機能障害(30%)が認められたが、より詳細な解析と治療効果判定には症例の蓄積と十分な観察機関を要した。
2. 個別研究
1)PDGF-C-Tgを用いて非環式レチノイドの肝線維化抑制作用、肝発がん抑制作用が示された。
2)IFNによる血管新生抑制を介した抗腫瘍効果発現の基礎的検討がなされた。
3)肝がん幹細胞の抗がん剤抵抗性の機序の一つとしてnuclear dUTPaseが重要な働きをしている可能性が示唆された。
4)循環がん細胞(circulating tumor cell: CTC)の同定は肝がんの転移症例でも特異性が高く有用であることが示唆された。
5)肝がん局所療法後の腫瘍抗原特異的CD8陽性T細胞の存在は治療予後と関連することが示された。
6)樹状細胞を用いたがん免疫療法の臨床試験が開始され、免疫学的効果及び安全性の評価がなされた。
結論
全体研究としてソラフェニブを中心とした新規抗がん剤の治療効果ならびに安全性調査を開始した。また、新規抗がん剤の分子機序の解明、癌免疫療法の開発、癌幹細胞をターゲットとした治療法の開発に関する研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
-