文献情報
文献番号
202310063A
報告書区分
総括
研究課題名
ミトコンドリア病の診療水準やQOL向上を目指した調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1034
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
三牧 正和(帝京大学 医学部小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 井川 正道(福井大学 医学部 地域高度医療推進講座)
- 大竹 明(埼玉医科大学 医学部)
- 岡崎 康司(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 小坂 仁(自治医科大学 医学部)
- 後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター メディカルゲノムセンター)
- 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
- 立花 眞仁(東北大学 医学部 大学院医学系研究科)
- 西野 一三(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
- 藤野 善久(産業医科大学 医学部)
- 村山 圭(順天堂大学 難治性疾患診断・治療学)
- 八ツ賀 秀一(福岡大学 医学部小児科)
- 今澤 俊之(独立行政法人国立病院機構千葉東病院)
- 武田 充人(北海道大学病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、ミトコンドリア病に診療に関する新しい知見に基づく診断基準の検証や改訂、医療者や一般社会への最新情報の周知、疾患啓発、診断・治療体制の整備を行い、広く医療行政に貢献することである。ミトコンドリア病の症状は多臓器に及ぶため、診療科横断的な対応が求められる。さらに、小児期発症の患者が成人年齢に至る例が増加し、小児科から成人診療科への移行期医療、縦断的診療連携も必要である。本研究では、多領域の専門家により診断基準や重症度分類の検討、診断・治療体制の整備を進める。特に、ミトコンドリア病の遺伝学的検査と遺伝カウンセリングの重要性が増しており、わが国全体のゲノム医療の推進に対応して遺伝子検査を位置づけてゆく。令和4年にミトコンドリア病の遺伝学的検査が保険収載されたことを受け、包括的な診断体制を構築するために、検査受注のシステムを整備する。また、診療マニュアルの改訂、発行を行い、その周知、啓発活動を通して診療レベルの向上、標準化、均霑化を推進する。生殖補助医療の課題も検討し、その内容を広く社会に広報する。また、患者レジストリの拡充を推進するとともに、ミトコンドリア病の疫学的研究を行う。
研究方法
1)診断体制の整備
ミトコンドリア病は核DNA上の病因遺伝子が350以上報告されているうえに、ミトコンドリアDNAの量的変化や質的変化も原因となるため、これらの病因を網羅的に検索するには困難を伴う。この課題に対応するために、これまで全国から遺伝学的検査を依頼されてきた順天堂大学と国立精神・神経医療研究センター(NCNP)とで検討し、順天堂大学にて血液検体を用いて病因の確定しているバリアントを調べる遺伝子検査を保険診療として開始することとした。NCNPでは、筋生検症例を中心に研究として遺伝学手検査を継続する方針とした。また、遺伝学的検査に必要な遺伝カウンセリングに資する「ミトコンドリア病ハンドブック」の改訂作業を行う。
2)治療体制の整備
AMED難治性疾患実用化研究班(村山圭代表)と協働して「ミトコンドリア病診療マニュアル2017」の改訂作業を進めた。さらに、医療者を対象とした研究会等の開催し、マニュアルの周知を通して診療の標準化、均霑化を図る。
3)患者レジストリの運用拡大
小児患者のレジストリシステム(J-MOバンク)においてLeigh症候群等の患者登録を進めている。NCNPにおいてはRemudy方式の患者レジストリを構築し、成人患者の登録を進める。
4)アウトリーチ活動
患者会との連携を深化させ、患者・家族のニーズを把握し、医療者・研究者が共有する環境を醸成させるために、市民公開フォーラム等を開催する。
5)ミトコンドリア病に対する生殖補助医療の検討
埼玉医科大学を中心に、難治性のミトコンドリア病に対する出生前診断、着床前診断を行い、知見を集積する。マウス受精卵を用いたPGTの基礎研究等も計画する。
6)疫学研究
特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、ミトコンドリア病患者の有病者数および有病者割合の推定をはじめとした疫学調査を行うこととした。
ミトコンドリア病は核DNA上の病因遺伝子が350以上報告されているうえに、ミトコンドリアDNAの量的変化や質的変化も原因となるため、これらの病因を網羅的に検索するには困難を伴う。この課題に対応するために、これまで全国から遺伝学的検査を依頼されてきた順天堂大学と国立精神・神経医療研究センター(NCNP)とで検討し、順天堂大学にて血液検体を用いて病因の確定しているバリアントを調べる遺伝子検査を保険診療として開始することとした。NCNPでは、筋生検症例を中心に研究として遺伝学手検査を継続する方針とした。また、遺伝学的検査に必要な遺伝カウンセリングに資する「ミトコンドリア病ハンドブック」の改訂作業を行う。
2)治療体制の整備
AMED難治性疾患実用化研究班(村山圭代表)と協働して「ミトコンドリア病診療マニュアル2017」の改訂作業を進めた。さらに、医療者を対象とした研究会等の開催し、マニュアルの周知を通して診療の標準化、均霑化を図る。
3)患者レジストリの運用拡大
小児患者のレジストリシステム(J-MOバンク)においてLeigh症候群等の患者登録を進めている。NCNPにおいてはRemudy方式の患者レジストリを構築し、成人患者の登録を進める。
4)アウトリーチ活動
患者会との連携を深化させ、患者・家族のニーズを把握し、医療者・研究者が共有する環境を醸成させるために、市民公開フォーラム等を開催する。
5)ミトコンドリア病に対する生殖補助医療の検討
埼玉医科大学を中心に、難治性のミトコンドリア病に対する出生前診断、着床前診断を行い、知見を集積する。マウス受精卵を用いたPGTの基礎研究等も計画する。
6)疫学研究
特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、ミトコンドリア病患者の有病者数および有病者割合の推定をはじめとした疫学調査を行うこととした。
結果と考察
ミトコンドリア病の正確な診断とそれに基づく適切な治療をめざして、診断基準・重症度スケールの検討、診療マニュアル改定版の発行とその啓発活動、生殖補助医療の検討や遺伝カウンセリングに資するハンドブックの作成、患者レジストリ拡充等を実施した。アウトリーチ活動については、AMED実用化班と協働して患者参加行事を開催した。患者レジストリについては、登録を増加させるとともに、さらなる拡充に向けた方策を検討した。「診療マニュアル2023」を発行し、周知、広報活動を行った。生殖補助医療については、出生前診断の知見を蓄積するとともに、核移植についての情報収集と基礎研究の支援を行い、日本での実現可能性について検討した。疫学研究においては、DPCデータを活用するため、抽出データの項目を検討してデータ提供を申請し、承認を得た。
結論
本研究班の活動はAMED実用化研究班(村山班)と連携しながら進めている。オールジャパン体制で診療体制の整備を行い、保険収載されたミトコンドリア病における遺伝学的検査を令和5年秋から開始し、大きな進展があった。しかし、血液だけではなく筋肉等の罹患臓器を用いた多種類の検査を必要とするなど、適切な保険適用検査の内容を明確にする必要に迫られている。これらの課題に対する医師向けの情報発信も重要である。また、令和5年6月に発刊した「診療マニュアル2023」の周知を通し、診療の標準化、均霑化を図る活動を展開していく。生殖補助医療については、国内の出生前診断の知見を整理し、情報発信していくことが求められる。患者レジストリの登録数を増やしたが、自然歴の把握や臨床試験に役立てるために、今後さらに拡充していく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-05-27
更新日
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