肝炎ウイルスと代謝・免疫系の相互作用に関する包括的研究

文献情報

文献番号
200933034A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルスと代謝・免疫系の相互作用に関する包括的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-肝炎・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小池 和彦(東京大学 東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 岡上 武(大阪府済生会吹田病院)
  • 熊田博光(国家公務員共済組合 連合会虎の門病院 )
  • 石坂信和(東京大学医学部附属病院)
  • 水落利明(国立感染症研究所)
  • 勝二郁夫(神戸大学大学院医学系研究科)
  • 森屋恭爾(東京大学医学部附属病院)
  • 松浦善治(大阪大学微生物病研究所)
  • 小原恭子(熊本大学医学薬学研究部)
  • 林 純(九州大学大学院医学研究院)
  • 中本安成(金沢大学附属病院)
  • 相崎英樹(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
78,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)やB型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓に病気を起こすウイルスであるが、代謝および免疫系との相互作用が認められる。本研究においては、これまでの疫学的な検討によって明らかになってきたウイルス肝炎における代謝および免疫系の障害について、治療効果への影響を含めて、より臨床に密接した観点から明らかにし、次いで、基礎的研究によってその原因・機序を分子レベルで究明し、新規治療法の開発を目指す。
研究方法
HCVやHBVと代謝および免疫系の相互作用について、臨床に密接した観点から明らかにし、次いで分子医学的手法によりその機序を解析した。
結果と考察
1. 肥満を伴うC型肝炎症例ではSREBP1cの発現が肝脂肪化に関与していると考えられた。
2. HCV-1b高齢初発肝癌患者は、女性でHDL-コレステロール高値、空腹時インスリン低値、HOMA-IR低値、肝予備能が保たれている症例が多いことが確認された。
3. HCV持続感染は、頸動脈アテローム性動脈硬化症に対する脂質降下剤治療の効果を妨げることが示唆された。
4. C型肝炎症例では、非肝炎症例に比較して、インスリン抵抗性が亢進しているが、肥満度が低いなどメタボリックシンドロームとしての表現型は少ないことが示された。
5. 分枝鎖アミノ酸をHCVコア遺伝子発現マウスに投与すると肝臓の脂肪化が抑制され、インスリン抵抗性の悪化も減弱した。
6. 酵母膜ツーハイブリッド法を用いて、HCVコア蛋白と相互作用する宿主因子として3種のミトコンドリア蛋白を同定した。
7. コア蛋白質を発現している細胞では、ミトコンドリアのチトクロムCオキシダーゼ活性の低下が観察された。
8. HCV増殖に伴い、培養上清中のVLDLが増加し、LDL、HDLが低下することを見出した。
9. C型慢性肝炎患者の末梢血中のCD5陽性B細胞とCD5陰性B細胞とではアポトーシス感受性に大きな差が認められた。
考察
 C型肝炎と肥満、動脈硬化の関係について新しい知見が得られつつある。また、HCVコア蛋白変異と肝癌患者の予後、インスリン抵抗性に関する証拠が見いだされてきており、HCVと代謝の相互作用について明らかになってきた。
結論
HCV感染症は全身疾患であることが明らかにされた。この様な認識をもって感染者の管理・治療に当ることにより、患者の予後、QOLを大幅に改善することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
-