文献情報
文献番号
202310055A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1026
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
田中 篤(帝京大学 医学部内科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
- 持田 智(埼玉医科大学 医学部 消化器内科・肝臓内科)
- 井戸 章雄(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- 大平 弘正(福島県立医科大学 医学部)
- 小森 敦正(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター難治性疾患研究部)
- 波多野 悦朗(京都大学大学院医学研究科)
- 原田 憲一(金沢大学医薬保健研究域医学系 人体病理学)
- 伊佐山 浩通(順天堂大学 医学部)
- 長谷川 潔(東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学 肝胆膵外科)
- 阿部 雅則(愛媛大学 医学系研究科)
- 梅村 武司(信州大学 医学部 消化器内科)
- 古市 好宏(東京女子医科大学 医学部)
- 大藤 さとこ(大阪公立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
14,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の対象疾患は、肝・胆道の指定難病である自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、特発性門脈圧亢進症(IPH)、バッド・キアリ症候群(BCS)の5疾患、および肝外門脈閉塞症(EHO)、肝内結石症、急性肝不全(ALF)、Fontan術後肝合併症(FALD)、多発性肝嚢胞である。
・疫学専門家の助言を受けつつ各疾患について疾患レジストリを構築・アップデートし、国内の患者動向を明らかにして患者のアンメットニーズを把握する。
・門脈血行異常症では専門医へのアクセスを容易にする診療ネットワークを構築する。
・疾患レジストリを活用し、AIHでは新規治療薬による治療成績や治療反応性を検証する。PBCでも合併症、ことに脂肪肝や門脈圧亢進症合併例の実態を把握する。
・PSCではレジストリを活用して病態解明に向けた研究を行う。またリアルワールドデータ活用促進事業に参加する。
・小児発症例が存在する疾患(AIH、PSC、EHO、ALF、FALD)について移行期を含む成人・小児を一体化した診療体制を構築する。
・AIH・PBC・PSCの非典型例、ALF、AIHの急性発症例・重症例、FALD、多発性肝嚢胞では未だ診断基準ないし治療指針が存在せず、これを策定する。
・既存の診断基準および重症度分類、診療ガイドラインを関連学会の協力を得ながら改訂し、承認を得る。
・研究成果を広く患者・国民へ周知する。
・疫学専門家の助言を受けつつ各疾患について疾患レジストリを構築・アップデートし、国内の患者動向を明らかにして患者のアンメットニーズを把握する。
・門脈血行異常症では専門医へのアクセスを容易にする診療ネットワークを構築する。
・疾患レジストリを活用し、AIHでは新規治療薬による治療成績や治療反応性を検証する。PBCでも合併症、ことに脂肪肝や門脈圧亢進症合併例の実態を把握する。
・PSCではレジストリを活用して病態解明に向けた研究を行う。またリアルワールドデータ活用促進事業に参加する。
・小児発症例が存在する疾患(AIH、PSC、EHO、ALF、FALD)について移行期を含む成人・小児を一体化した診療体制を構築する。
・AIH・PBC・PSCの非典型例、ALF、AIHの急性発症例・重症例、FALD、多発性肝嚢胞では未だ診断基準ないし治療指針が存在せず、これを策定する。
・既存の診断基準および重症度分類、診療ガイドラインを関連学会の協力を得ながら改訂し、承認を得る。
・研究成果を広く患者・国民へ周知する。
研究方法
主たる施設で倫理審査を受け承認を得たのち、多施設共同研究によって多数の症例を登録して疾患レジストリを構築する。このレジストリに登録された臨床情報を研究目的に合わせて解析する。
結果と考察
・門脈血行異常症について、EDCシステムを用いた定点モニタリングの協力施設として新たに9施設を追加し、協力施設は計57施設へ拡大した。登録症例数も2021年12月時点で93例、2022年12月時点で161例と増加している。
・PBCについてはEDCシステムにより第17回全国実態調査を実施しており、令和5年12月15日時点で新規・継続症例合わせて3,122例が登録された。
・PSCについてはAMED・難病プラットフォームと連携し、個人情報・臨床情報・生体試料を備えた疾患レジストリの構築を開始し、国内73施設から小児例も含む134例が新規登録された。また近年問題となっている免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連副作用(irAE)硬化性胆管炎について全国調査を実施し、46施設から111症例の調査票を回収した。また、PSCレジストリを対象としてPMDAによるリアルワールド活用促進事業に実施機関Bとして参加した。
・AIHについてもEDCシステムによりレジストリへの症例登録を進め、令和5年11月末日時点での新規登録は30施設344例、過去症例の登録は147施設2,754例となった。
・急性肝不全については全国実態調査を今年度も施行し、結果を解析している。
・肝内結石症については第9期全国横断調査を準備している。
・FALDについては既に全国疫学調査が終了し、追加調査についても今年度中に終了見込みである。これを基に、日本肝臓学会、日本成人先天性心疾患学会、日本小児循環会学会と連携して「FALD診療の手引き」の作成を計画している。
・今年度から新たに研究対象疾患とした多発性肝嚢胞については日本腎臓学会、日本肝移植学会と連携して全国調査を実施している。
・肝外門脈閉塞症、PSC、AIH、急性肝不全は小児発症例が存在し、FALDについてはもともと小児例の多い疾患であることから、移行期医療への取り組みは欠かせない。これらの疾患についての全国調査・レジストリ構築にあたっては小児担当施設をも対象としており、今年度も多数の小児例が登録された。なお、研究代表者は令和6年1月に設立される日本消化器病学会附置研究会「成人移行支援のあり方研究会」の代表幹事を務めており、関連学会・研究班と協働して令和6年4月に第1回研究会を主催した。
・以上の研究対象疾患はいずれも根本的な治療法がなく、進行例では肝移植が唯一の救命手段となる。多発性肝嚢胞については上記の通り既に日本肝移植学会との連携が進んでいる。PBCについては移植例の前向き登録研究を実施しており、既に予定していた症例登録が終了し、現在経過観察中である。PSCについては移植後の再発が問題となっており、移植後再発の診断基準作成を行っている。
・これらの研究成果を広く社会に周知・還元すべく様々な広報活動を行っている。今年度は東京都難病医療ネットワーク、神戸市難病団体連絡協議会、高知県難病支援相談センター、東京肝臓友の会が主催する医療講演会へ講師を派遣した。
・PBCについてはEDCシステムにより第17回全国実態調査を実施しており、令和5年12月15日時点で新規・継続症例合わせて3,122例が登録された。
・PSCについてはAMED・難病プラットフォームと連携し、個人情報・臨床情報・生体試料を備えた疾患レジストリの構築を開始し、国内73施設から小児例も含む134例が新規登録された。また近年問題となっている免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連副作用(irAE)硬化性胆管炎について全国調査を実施し、46施設から111症例の調査票を回収した。また、PSCレジストリを対象としてPMDAによるリアルワールド活用促進事業に実施機関Bとして参加した。
・AIHについてもEDCシステムによりレジストリへの症例登録を進め、令和5年11月末日時点での新規登録は30施設344例、過去症例の登録は147施設2,754例となった。
・急性肝不全については全国実態調査を今年度も施行し、結果を解析している。
・肝内結石症については第9期全国横断調査を準備している。
・FALDについては既に全国疫学調査が終了し、追加調査についても今年度中に終了見込みである。これを基に、日本肝臓学会、日本成人先天性心疾患学会、日本小児循環会学会と連携して「FALD診療の手引き」の作成を計画している。
・今年度から新たに研究対象疾患とした多発性肝嚢胞については日本腎臓学会、日本肝移植学会と連携して全国調査を実施している。
・肝外門脈閉塞症、PSC、AIH、急性肝不全は小児発症例が存在し、FALDについてはもともと小児例の多い疾患であることから、移行期医療への取り組みは欠かせない。これらの疾患についての全国調査・レジストリ構築にあたっては小児担当施設をも対象としており、今年度も多数の小児例が登録された。なお、研究代表者は令和6年1月に設立される日本消化器病学会附置研究会「成人移行支援のあり方研究会」の代表幹事を務めており、関連学会・研究班と協働して令和6年4月に第1回研究会を主催した。
・以上の研究対象疾患はいずれも根本的な治療法がなく、進行例では肝移植が唯一の救命手段となる。多発性肝嚢胞については上記の通り既に日本肝移植学会との連携が進んでいる。PBCについては移植例の前向き登録研究を実施しており、既に予定していた症例登録が終了し、現在経過観察中である。PSCについては移植後の再発が問題となっており、移植後再発の診断基準作成を行っている。
・これらの研究成果を広く社会に周知・還元すべく様々な広報活動を行っている。今年度は東京都難病医療ネットワーク、神戸市難病団体連絡協議会、高知県難病支援相談センター、東京肝臓友の会が主催する医療講演会へ講師を派遣した。
結論
令和5年度も研究目的に沿った結果が得ることができた。
公開日・更新日
公開日
2025-05-30
更新日
-