文献情報
文献番号
202310047A
報告書区分
総括
研究課題名
強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン・疾患レジストリに関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1018
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
浅野 善英(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 石井 智徳(東北大学病院 臨床研究推進センター)
- 植田 郁子(大阪大学 医学系研究科)
- 沖山 奈緒子(東京医科歯科大学)
- 金谷 泰宏(東海大学医学部基盤診療学系臨床薬理学)
- 川口 鎮司(東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター)
- 後藤 大輔(筑波大学 医学医療系 内科(膠原病リウマチアレルギー)/筑波大学附属病院・茨城県地域臨床教育センター 膠原病リウマチ科)
- 嶋 良仁(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 神人 正寿(和歌山県立医科大学皮膚科)
- 高橋 裕樹(札幌医科大学医学部消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
- 長谷川 稔(福井大学学術研究院医学系部門)
- 波多野 将(東京大学医学部附属病院循環器内科)
- 松下 貴史(金沢大学 医学系 皮膚分子病態学)
- 宮前 多佳子(東京女子医科大学 医学部)
- 茂木 精一郎(群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学)
- 安岡 秀剛(藤田医科大学 医学部)
- 山口 由衣(横浜市立大学 大学院医学研究科 環境免疫病態皮膚科学)
- 山本 俊幸(福島県立医大 医学部)
- 吉崎 歩(東京大学 大学院医学系研究科臨床カンナビノイド学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
全身性強皮症・皮膚線維化疾患はいまだ有効な治療がなく、難治で予後不良である。治療の遅れは手指・四肢の拘縮性機能障害や各種臓器の線維性機能障害を来たし、生命予後はもとより、QOL/ADLも低下する。早期診断・早期介入と標準治療の普及を推進し、予後改善を図る必要がある。本研究班の主な研究目的は、1) 診療ガイドラインの改訂、2) 患者会との連携による疾患啓発、3) 移行期医療の支援、4) 疫学研究の推進である。
研究方法
1) ガイドライン改訂
限局性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬のガイドライン(2016年初版)を改訂する。
2) 患者会との連携による疾患啓発
患者会と連携し、新ガイドラインに準拠した全身性強皮症Q&A集を作成する。患者向けの公開WEB講座を年2回実施する。
3) 移行期医療の支援
小児期発症全身性強皮症の移行期医療の質指標(QI)を作成する。
4) 疾患レジストリの構築
全身性強皮症早期重症例登録事業とAMED疾患レジストリ事業のそれぞれの特徴を活かした有効利用の方策を検討し、大規模な疾患レジストリ登録事業の実現を目指す。
5) 臨床個人票を活用した疫学研究
臨床個人票データを深層学習などの技術を用いて解析し、初診時の所見から症例を層別化し、新たな予後因子の特定を試みる。
6) AMED医師主導治験との連携
AMEDと連携し、「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するPAI-1阻害薬TM5614の第Ⅱ相医師主導治験」を行う。
限局性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬のガイドライン(2016年初版)を改訂する。
2) 患者会との連携による疾患啓発
患者会と連携し、新ガイドラインに準拠した全身性強皮症Q&A集を作成する。患者向けの公開WEB講座を年2回実施する。
3) 移行期医療の支援
小児期発症全身性強皮症の移行期医療の質指標(QI)を作成する。
4) 疾患レジストリの構築
全身性強皮症早期重症例登録事業とAMED疾患レジストリ事業のそれぞれの特徴を活かした有効利用の方策を検討し、大規模な疾患レジストリ登録事業の実現を目指す。
5) 臨床個人票を活用した疫学研究
臨床個人票データを深層学習などの技術を用いて解析し、初診時の所見から症例を層別化し、新たな予後因子の特定を試みる。
6) AMED医師主導治験との連携
AMEDと連携し、「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するPAI-1阻害薬TM5614の第Ⅱ相医師主導治験」を行う。
結果と考察
結果
1) 限局性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬のガイドライン改訂
パネル委員によりCQ候補のリストを提出してもらい、令和5年12月にCQ候補を絞り、令和6年2月に開催した全体会議でCQを固定した。その後、令和5年12月末までの文献を対象に文献検索を開始した。
2) 患者会との連携による疾患啓発
強皮症患者会「明日の会」に依頼し、全身性強皮症に関する質問を募った。令和5年8月末までに246項目の質問を得た。令和5年11月末までに各質問と診療ガイドラインのCQとの対応表を作成した。令和6年2月の全体会議で質問を固定し、各質問に対して診療ガイドライン準拠の回答作成を開始した。
令和5年9月、自己免疫班と合同で患者向けWEB講演会を開催し、令和5年度内に強皮症患者会「明日の会」主催の公開WEB講演会を5回開催した。
3) 移行期医療の支援
小児期発症全身性強皮症に関連したQI開発と診療ガイドラインに関する文献をEMBASEとMEDLINEを用いて検索した。令和6年1月からSRを開始している。
4) 疾患レジストリの構築
早期重症例登録事業において、本年度40名の登録を達成した。
5) 臨床個人票を活用した疫学研究
令和5年度に、2009年~2014年までに登録された症例についてデータクレンジングが完了した。
6) AMED医師主導治験との連携
令和5年9月4日に治験届を提出し、9月19日から被験者のエントリーを開始した。令和6年3月の時点で16例がエントリーされている。
考察
本研究班は、国際的にも活躍し実績のある強皮症・皮膚線維化疾患の専門家から構成されており、日本皮膚科学会・日本リウマチ学会等の関連学会とも連携して活動していくので、班研究終了時には以下の効果が期待できる。
1) 皮膚線維化疾患のガイドラインが改訂・公開されることにより、これらの疾患の標準治療が専門医・一般医に広く周知され、医療水準が向上し、患者の予後やQOL/ADLの改善につながる。
2) 患者会と連携し、患者目線に合った啓発活動を行うことにより、患者サイドの疾患理解が進み、患者の不安を取り除く一助になる。また、オンライン相談や専門医リストの整備により早期受診が促進されれば、早期介入による治療効果の向上が期待できる。
3) 小児期発症全身性強皮症の移行期医療の質指標の確立は、移行期医療への関心を高め、医療者と家族の協力による自立支援の質向上に繋がることが期待できる。また、小児期発症例の臨床的特徴の啓発にもつながり、早期介入による予後の改善やQOL/ADLの改善への波及効果も期待できる。
4) 疾患レジストリが整備されることにより、本邦例の臨床的特徴を明らかにすることが可能になる。臨床個人票を用いた深層学習により、患者層別化が実現し、活動性・予後規定因子が同定されれば、治療介入が必要な患者を予め特定でき、オーダーメイド治療を含めて、本症の治療のさらなる最適化が可能になる。
1) 限局性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬のガイドライン改訂
パネル委員によりCQ候補のリストを提出してもらい、令和5年12月にCQ候補を絞り、令和6年2月に開催した全体会議でCQを固定した。その後、令和5年12月末までの文献を対象に文献検索を開始した。
2) 患者会との連携による疾患啓発
強皮症患者会「明日の会」に依頼し、全身性強皮症に関する質問を募った。令和5年8月末までに246項目の質問を得た。令和5年11月末までに各質問と診療ガイドラインのCQとの対応表を作成した。令和6年2月の全体会議で質問を固定し、各質問に対して診療ガイドライン準拠の回答作成を開始した。
令和5年9月、自己免疫班と合同で患者向けWEB講演会を開催し、令和5年度内に強皮症患者会「明日の会」主催の公開WEB講演会を5回開催した。
3) 移行期医療の支援
小児期発症全身性強皮症に関連したQI開発と診療ガイドラインに関する文献をEMBASEとMEDLINEを用いて検索した。令和6年1月からSRを開始している。
4) 疾患レジストリの構築
早期重症例登録事業において、本年度40名の登録を達成した。
5) 臨床個人票を活用した疫学研究
令和5年度に、2009年~2014年までに登録された症例についてデータクレンジングが完了した。
6) AMED医師主導治験との連携
令和5年9月4日に治験届を提出し、9月19日から被験者のエントリーを開始した。令和6年3月の時点で16例がエントリーされている。
考察
本研究班は、国際的にも活躍し実績のある強皮症・皮膚線維化疾患の専門家から構成されており、日本皮膚科学会・日本リウマチ学会等の関連学会とも連携して活動していくので、班研究終了時には以下の効果が期待できる。
1) 皮膚線維化疾患のガイドラインが改訂・公開されることにより、これらの疾患の標準治療が専門医・一般医に広く周知され、医療水準が向上し、患者の予後やQOL/ADLの改善につながる。
2) 患者会と連携し、患者目線に合った啓発活動を行うことにより、患者サイドの疾患理解が進み、患者の不安を取り除く一助になる。また、オンライン相談や専門医リストの整備により早期受診が促進されれば、早期介入による治療効果の向上が期待できる。
3) 小児期発症全身性強皮症の移行期医療の質指標の確立は、移行期医療への関心を高め、医療者と家族の協力による自立支援の質向上に繋がることが期待できる。また、小児期発症例の臨床的特徴の啓発にもつながり、早期介入による予後の改善やQOL/ADLの改善への波及効果も期待できる。
4) 疾患レジストリが整備されることにより、本邦例の臨床的特徴を明らかにすることが可能になる。臨床個人票を用いた深層学習により、患者層別化が実現し、活動性・予後規定因子が同定されれば、治療介入が必要な患者を予め特定でき、オーダーメイド治療を含めて、本症の治療のさらなる最適化が可能になる。
結論
令和5年度~令和7年度の「強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン・疾患レジストリに関する研究」は、令和6年3月の時点でマイルストーンに従って順調に進んでいる。2年目も各グループと密に連携し、進めていく予定である
公開日・更新日
公開日
2025-07-03
更新日
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