文献情報
文献番号
202310038A
報告書区分
総括
研究課題名
神経免疫疾患領域における難病の医療水準と患者のQOL向上に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1009
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
桑原 聡(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院神経内科学)
研究分担者(所属機関)
- 和泉 唯信(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
- 河内 泉(新潟大学 大学院医歯学総合研究科)
- 中島 一郎(東北医科薬科大学 医学部)
- 三澤 園子(千葉大学 医学部附属病院)
- 吉川 弘明(金沢大学 保健管理センター)
- 石垣 景子(東京女子医科大学 医学部)
- 磯部 紀子(黒木 紀子)(九州大学 大学院医学研究院)
- 鵜沢 顕之(千葉大学 医学部附属病院)
- 荻野 美恵子(国際医療福祉大学 医学部脳神経内科)
- 海田 賢一(埼玉医科大学総合医療センター 脳神経内科)
- 小池 春樹(佐賀大学 医学部)
- 佐藤 泰憲(慶應義塾大学 医学部)
- 清水 優子(東京女子医科大学 医学部 )
- 竹内 英之(国際医療福祉大学 医学部)
- 田原 将行(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
- 中辻 裕司(富山大学 学術研究部医学系脳神経内科)
- 中西 恵美(金沢医科大学 医学部)
- 中原 仁(慶應義塾大学 医学部内科学教室(神経))
- 新野 正明(国立病院機構北海道医療センター 臨床研究部)
- 畑中 裕己(帝京大学 医学部脳神経内科学講座)
- 藤原 一男(一般財団法人脳神経疾患研究所 多発性硬化症・視神経脊髄炎センター)
- 村井 弘之(国際医療福祉大学 医学部)
- 本村 政勝(長崎総合科学大学 工学部)
- 山村 隆(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所)
- 横田 隆徳(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
18,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では指定難病である7疾 患を対象として政策研究を行 う :1)重症筋無力症 (MC)、 2)多 発性硬化症/視神経脊
髄炎 (MS/NMO)、 3)慢 性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー (CIDP/MMN)、 4)ク ロウ 。深瀬症
候群、5)ア トピー性脊髄炎、6)ア イザックス症候群、7)、 ビッカースタッフ脳幹脳炎。 これらの疾患では病態解明や
治療が進歩 してお り行政、社会的支援の整備により予後は改善 しているものの未だ難治例は多く、 また寛解の維持に高額な医療費が必要であり医療経済を効率化する問題点も残されている。本研究では各疾患において診断基準・重症度分類・診療ガイ ドラインの策定・改訂を行 うのみならず、全国調査による疫学・病態変遷、治療による疾患アウトカムの変化の評価・検証、難病プラットホームを利用 した疾患 レジストリの構築、関連学会・患者会 との連携、関連するAMED研究班 との合同班会議を行 うことにより、厚生労働省の政策が患者の予後や経済的負担を合めたQOLに どのような変化をもたらしているかをオールジャパン体制で多方面から明らかにすることを目的とする。
髄炎 (MS/NMO)、 3)慢 性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー (CIDP/MMN)、 4)ク ロウ 。深瀬症
候群、5)ア トピー性脊髄炎、6)ア イザックス症候群、7)、 ビッカースタッフ脳幹脳炎。 これらの疾患では病態解明や
治療が進歩 してお り行政、社会的支援の整備により予後は改善 しているものの未だ難治例は多く、 また寛解の維持に高額な医療費が必要であり医療経済を効率化する問題点も残されている。本研究では各疾患において診断基準・重症度分類・診療ガイ ドラインの策定・改訂を行 うのみならず、全国調査による疫学・病態変遷、治療による疾患アウトカムの変化の評価・検証、難病プラットホームを利用 した疾患 レジストリの構築、関連学会・患者会 との連携、関連するAMED研究班 との合同班会議を行 うことにより、厚生労働省の政策が患者の予後や経済的負担を合めたQOLに どのような変化をもたらしているかをオールジャパン体制で多方面から明らかにすることを目的とする。
研究方法
各疾患において、全国調査 (CIDP、自己免疫性脳炎)、 診療ガイ ドラインの作成 (MG、MS、 CIDP/MMN、 クロウ・深瀬症候群)、 レジス トリ構築 (MG、MS、 CIDP/MMN、 クロウ・深瀬症候群)、 診断基準と重症度分類策定 (LEMS、 クロウ・深瀬症候群、ビッカース
タッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症、アイザックス症候群、ステイッフパーソン症候群)の作成、準備を進めた。
タッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症、アイザックス症候群、ステイッフパーソン症候群)の作成、準備を進めた。
結果と考察
MGの全国調査は本グループによりR元年に行われており研究成果を公表済みである。また診療ガイドラインはR4年度に改訂された。難病プラットホームを利用した疾患レジストリの立ち上げについては検討を進めている。MGは一部の症例が難治性に経過することがあり、また近年、分子標的薬の開発が盛んにおこなわれていることから、発症早期の病勢や治療反応性のバイオマーカーの確立が重要でありバイオマーカー検索を継続的に行っている。ランバート・イートン症候群(LEMS)については全国調査結果の公表、疾患概要・診断基準・重症度を確立しR4年度にガイドラインの作成が行われた。
MS、NMOSDの全国調査の解析を行い研究成果を公表予定である。また、診療ガイドラインの改訂をR5年度に行った。MSやNMOSDでは既存のバイオマーカーが重症度判定や予後の推定、治療反応性の予測などに有用と考えられ継続して探索を行った。全国調査により有用性が明らかになったものについては保険収載すべき検査項目として提言する。NMOSDにおいて、難病プラットホームを利用した疾患レジストリが開始となっている。MOG抗体関連疾患については、全国疫学調査を施行し結果の公表を行った。新規難病申請を目指して準備を進めている。
CIDP/MMNでは診療ガイドラインの改訂作業を進め、R6年に公表した。また全国調査を施行し、結果の解析を行い研究成果を公表した。現在、難病プラットホームを利用した疾患レジストリでの患者登録を進めている。レジストリによる症例の収集と実態把握の横断研究を行っていき、疾患自然歴、治療法の変化、長期予後についての縦断研究を進める予定としている。
クロウ・深瀬症候群等ではすでに立ち上げた全国レジストリ体制を拡充し、難病プラットホームへ移行して臨床的分析に有用なデータ収集を行う予定である。この結果に基づき診断基準と重症度分類の妥当性を検証し診療ガイドライン・標準的神経治療作成、再度の全国調査の準備を進めている。
ビッカースタッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症等ではNMDAR抗体陽性脳炎、LGI1抗体陽性脳炎はR4年度に全国調査を行った。結果の解析を行い近々論文化する予定である。また診療ガイドラインの作成に着手すべく準備を進めている。NMDAR抗体陽性脳炎については新規難病申請を目指し準備を行った。
アイザックス症候群、スティッフパーソン症候群では、R3年度にアイザックス症候群の全国調査を行い有病率を明らかにした。結果をまとめて論文作成を進めている。また、診断基準・重症度分類の検証を行う準備を進めている。スティッフパーソン症候群は診断基準の検証とバイオマーカー検索を進める予定である。指定難病に未指定であるため新規難病申請を目指し準備を行っている。
MS、NMOSDの全国調査の解析を行い研究成果を公表予定である。また、診療ガイドラインの改訂をR5年度に行った。MSやNMOSDでは既存のバイオマーカーが重症度判定や予後の推定、治療反応性の予測などに有用と考えられ継続して探索を行った。全国調査により有用性が明らかになったものについては保険収載すべき検査項目として提言する。NMOSDにおいて、難病プラットホームを利用した疾患レジストリが開始となっている。MOG抗体関連疾患については、全国疫学調査を施行し結果の公表を行った。新規難病申請を目指して準備を進めている。
CIDP/MMNでは診療ガイドラインの改訂作業を進め、R6年に公表した。また全国調査を施行し、結果の解析を行い研究成果を公表した。現在、難病プラットホームを利用した疾患レジストリでの患者登録を進めている。レジストリによる症例の収集と実態把握の横断研究を行っていき、疾患自然歴、治療法の変化、長期予後についての縦断研究を進める予定としている。
クロウ・深瀬症候群等ではすでに立ち上げた全国レジストリ体制を拡充し、難病プラットホームへ移行して臨床的分析に有用なデータ収集を行う予定である。この結果に基づき診断基準と重症度分類の妥当性を検証し診療ガイドライン・標準的神経治療作成、再度の全国調査の準備を進めている。
ビッカースタッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症等ではNMDAR抗体陽性脳炎、LGI1抗体陽性脳炎はR4年度に全国調査を行った。結果の解析を行い近々論文化する予定である。また診療ガイドラインの作成に着手すべく準備を進めている。NMDAR抗体陽性脳炎については新規難病申請を目指し準備を行った。
アイザックス症候群、スティッフパーソン症候群では、R3年度にアイザックス症候群の全国調査を行い有病率を明らかにした。結果をまとめて論文作成を進めている。また、診断基準・重症度分類の検証を行う準備を進めている。スティッフパーソン症候群は診断基準の検証とバイオマーカー検索を進める予定である。指定難病に未指定であるため新規難病申請を目指し準備を行っている。
結論
対象とする神経免疫疾患の診療実態、問題点を解決することにより診療ガイドラインが作成・改訂される。高額医療の適応が明確化し、医療経済の改善につながる。患者QOLの向上が達成される。AMED実用化研究班との連携により病態解明・治療法確立が達成され、疾患の克服につながる。
公開日・更新日
公開日
2025-06-27
更新日
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