文献情報
文献番号
200933024A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルスキャリア成立の分子基盤と新規治療薬開発のための基礎的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-肝炎・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
- 下遠野 邦忠(千葉工業大学 附属総合研究センター)
- 小池 和彦(東京大学 医学部)
- 小原 道法(東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所)
- 加藤 宣之(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 堀田 博(神戸大学大学院 医学系研究科)
- 松浦 善治(大阪大学 微生物病研究所)
- 瀬谷 司(北海道大学大学院 医学研究科)
- 深澤 秀輔(国立感染症研究所 生物活性物質部)
- 深澤 征義(国立感染症研究所 細胞化学部)
- 鐘ヶ江裕美(東京大学 医科学研究所)
- 澤崎 達也(愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
135,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HCVの生活環の分子機構を解明することによりC型肝炎治療薬開発のための新たな標的を見出す。阻害剤スクリーニングを行い創薬候補化合物を同定する。HCV感染に伴う病態、持続感染の成立に関与する分子機構を明らかにする。得られた知見を基にHCVキャリア対策に資する提案を行う。
研究方法
主に培養細胞でのHCV感染増殖系を利用した。
結果と考察
A. HCV複製増殖機構の解析: 1) HCVゲノム複製におけるNS4A結合因子CKBの重要性を見出した。NS4A antagonistはHCV複製へのCKBの介入を阻害し抗HCV作用を示した。2) HCV NS2のN末端側膜貫通領域、C末端領域が粒子形成に重要であることを示した。3) NS5A結合因子hB-ind1はコシャペロン活性を有しHCV複製調節に働く。4) 感染性HCV粒子産生にはリポ蛋白産生、アポリポ蛋白の介在が重要である。5) タイトジャンクション構造が感染過程に重要であることを示した。 B. HCV病原性発現機構の解析: 1) HCVは抗酸化系の一部を減弱させ酸化ストレスを増加させる。C型肝炎における他の肝炎よりも強大な酸化ストレス産生の機序が明らかにした。2) HCV複製・感染からの糖新生亢進に働くシグナル伝達経路を同定した。3) HCV NS3/4Aプロテアーゼによって切断される宿主リン酸化酵素を6種類同定した。 C. 持続感染機構の解析: TLR, RLR の特異アダプターTICAM-1, IPS-1 のKO マウス等を用いてウイルス感染、発がん抑制に関与する自然免疫の鍵因子を同定した。D. 新規HCV実験系の開発: リバビリンの抗HCV活性がイノシン一リン酸デハイドロゲナーゼの阻害によるものであることを明らかにした。2) 多目的型肝選択性遺伝子導入アデノウイルスベクターのためのコスミドカセットを作製した。E. 抗HCV薬の探索: 1) Tamoxifen、clomifene、raloxifene、SERMsに抗HCV活性を見出した。2) リポソーム製剤NS9が低用量でPEG-IFN以上の抗ウイルス活性を示すことを示した。
結論
HCVゲノム複製、粒子形成の新たな分子機構を明らかにし、NS4Aなど新規創薬標的を提示した。HCV病原性発現に関与する宿主因子を同定した。開発した実験モデルを使って創薬候補化合物を見出すとともに、既知治療薬の作用機序解明に貢献した。
公開日・更新日
公開日
2011-06-06
更新日
-