インターネット利用層への行動科学的HIV予防介入とモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200932042A
報告書区分
総括
研究課題名
インターネット利用層への行動科学的HIV予防介入とモニタリングに関する研究
課題番号
H20-エイズ・若手-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
日高 庸晴(関西看護医療大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 浩司(東京大学大学院 人文社会系研究科)
  • 橋本 充代(獨協医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
MSMのインターネット利用層におけるHIV感染予防行動の動向把握と予防介入に資するために、行動科学手法によるインターネット利用層への予防介入研究(研究1)、行動科学的手法を用いた行動変容の予防介入に関する文献研究(研究2)、HIV陽性MSMの感染リスクとHIV対策をめぐる意味づけと行為の検討(研究3)を実施した。
研究方法
研究1:認知行動理論など複数の行動理論によるプログラムを開発、インターネットによる介入研究を行った。対象者は、16歳以上の男性、過去6ヶ月間に男性とコンドーム不使用のアナルセックス経験あり、HIV陰性あるいはHIV感染状況を知らないこととした。
研究2:文献検索を医学中央雑誌によって実施、基準に基づき53文献を検討対象とした。
研究3:合目的的なサンプリングをもとにした、対面およびメールによる個人インタビュー調査を行った。対面インタビューは3名に対して1回限り約1時間半、メールインタビューは4名に対して行い、5~6回程度のやり取りが2名、脱落が2名であった。データ分析は継続比較法を応用した。
結果と考察
研究1:研究参加者総数は328名であったが、介入プログラム実施中にもセックスがあった者を分析対象とし、有効回答数は157名(介入群60名、対照群97名)であった。事後評価の結果、HIV/STI知識正当割合、コンドーム使用の自信度、セイファーセックスの認知、アナルセックス時のコンドーム常用割合の上昇が、介入群においてのみ有意であった。
研究2:介入プログラムの対象は、生活習慣35.8%、疾病34.0%、心理的要因22.6%、健康教育7.5%であった。内訳は、食習慣、運動習慣、筋力向上、減量、睡眠習慣、糖尿病、血液透析者、ストレス、抑うつ、不安度、禁煙等である。介入手法は認知行動療法、回想法、変容ステージモデル、社会認知・学習理論、行動療法、認知リハビリテーション等であった。
研究3: HIV非陽性のMSMと同じく、ハッテン場は基本的にステディな交際関係を求める場ではなく、純粋に性交渉をもつ場であり、ステディな交際相手がいる場合はまったく行かなくなるか行く回数が減るということがわかった。次に、感染後の性交渉におけるコンドーム使用は、常用から相手次第で使用状況が変わるといったものまで様々であった。
結論
新しい予防介入のあり方としてインターネットの活用が本格的に試行・検討され、今後はプログラム内容のさらなる改変・発展・普及が必要である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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