沖縄県における男性同性愛者へのHIV感染予防介入に関する研究

文献情報

文献番号
200932041A
報告書区分
総括
研究課題名
沖縄県における男性同性愛者へのHIV感染予防介入に関する研究
課題番号
H20-エイズ・若手-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 慶(国立大学法人横浜国立大学 大学院環境情報研究院 社会環境と情報部門)
研究分担者(所属機関)
  • 金城 克哉(国立大学法人琉球大学法文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究が対象とする沖縄県は、平成19 年までのHIV 感染者・AIDS 患者の報告数が、東京都に次いで全国第二位(2.34人/10 万人)と高い数値を示しており、その82.6%が同性間性的接触を理由としている。これまで大都市圏を対象に、その社会的背景と予防情報の提供に関する研究は行われてきたが、沖縄県のような非大都市圏を対象にした研究は行われていない。なぜ沖縄県において、この様な現象が発生しているのか。社会構造の特性はいかなるものか。そしてどのような情報提供が予防啓発に効果的であるのか。本研究の独自性はこの点を拠点病院と協力しながら、ゲイコミュニティにおけるHIV 予防啓発組織(CBO)を構築し解明しようとする、課題対策型の問題解決指向研究である点にある。
研究方法
沖縄県の同性愛当事者組織と協働による「当事者参加型アクションリサーチ」による研究を行う。
結果と考察
2 年目は1 年目の調査で明らかとなった予防介入対象層(観光客ほか)をターゲットに、CBOによる感染予防介入・陽性者ケアを実施・継続した。感染予防介入にあたっては、沖縄県内、県内外におけるゲイバー・クラブイベントとの連携が重要であることから連携強化をはかり、キーパーソンとの連携を行った。その上で、非大都市圏において活動するCBO が持続的に活動するための、運営方法と課題について検討を行った。また、厚生労働省同性愛者等コミュニティセンター事業・財団法人エイズ予防財団「同性愛者等へのHIV/エイズ予防啓発事業」の実施を受け、本研究班が実施者として沖縄県那覇市に「コミュニティセンターmabui」の開設・運営開始をした。
結論
沖縄県内のゲイのテニスイベントにおいて性行動やHIV知識等に関する量的調査を行った。平成20年11月より本研究が開発し、CBO「なんくる」により配布をした感染予防資材の認知率は、沖縄県在住者のうち76.7%、観光客等県外在住者のうちでは33.3%が認知していた。また、沖縄県外居住者の参加者が全体の32.1%であり、東京都からの参加者が最も多かった。沖縄県内在住者の多数のゲイに対して本研究による感染予防資材が認知されていることが指摘できる。また、離島県である沖縄のゲイコミュニティは県外、とく東京との関係性が強いことが示唆された。以上より、沖縄県の男性同性愛者への感染予防介入を継続して実施することが重要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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