大規模コホートとリアルワールドデータを用いた口腔と全身疾患の関連についての研究

文献情報

文献番号
202308049A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模コホートとリアルワールドデータを用いた口腔と全身疾患の関連についての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1022
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 健(東北大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 相田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野)
  • 葭原 明弘(新潟大学 大学院医歯学総合研究科口腔保健学分野)
  • 岩崎 正則(北海道大学 歯学部)
  • 二宮 利治(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野)
  • 財津 崇(東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野)
  • 大野 幸子(東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座)
  • 福田 治久(九州大学 大学院医学研究院)
  • 古田 美智子(九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野)
  • 寳澤 篤(国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 竹内 研時(東北大学大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大規模コホートやリアルワールドデータを用いて口腔と全身疾患との関係について解析を行うこと。
研究方法
大規模コホートであるJAGES日本老年学的評価研究機構、久山町研究、LIFE STUDY、東北メディカル・メガバンク機構、Tokyo Longitudinal Study on Aging、北九州市職域コホート、国民健康栄養調査・歯科疾患実態調査、リアルワールドデータであるJMDCを用いて、口腔と全身疾患との関係について解析を実施した。
項目は以下の通り。
1)2)口腔の健康状態と全身の健康状態および食事の質との関連 3)口腔状態と認知機能との関連
4)5)日本の65歳以上の高齢者において、歯科レセプトから推計した現在歯数と、アルツハイマー病および肺炎球菌感染症との関連
6)高齢者の口腔の健康と包括的に測定されたWell-beingの関連
7)歯の喪失リスクを把握するための予測モデルを検討
8)リアルワールドデータ(JMDCデータベース)を用いて、2型糖尿病患者における歯周病治療が血糖コントロールに与える影響
9)自立高齢者における鬱症状と根面う蝕との関連
10)メタボロームと認知機能低下との関連
11)自立高齢者を対象に、日常的な歯みがきと肺炎の関係
結果と考察
1)炎症制御や骨代謝と関連する血中25(OH)D濃度は歯周ポケット炎症面積PISAと非線形な関連を示された。
2)舌苔を検体とする歯周ポケット測定によらない評価法から得られる歯周組織の健康状態は腎機能と関連することが示された。
3)認知症発症のリスクが歯数19本以下の人では1.12倍、歯がない人では1.20倍高くなることが示された。咀嚼困難のある人で1.11倍、口腔乾燥のある人で1.12倍、認知症のリスクが高いことも明らかになった。
4)アルツハイマー病をアウトカムとした分析は30,207人(平均年齢:76.1±7.2歳、男性:40.9%)が分析対象となり、3年間の追跡期間中のアルツハイマー病の発生リスクは、現在歯数が20本以上の人と比較して、10–19本の人は1.06倍(95%信頼区間:0.94–1.18)、1–9本の人は1.19倍(95%信頼区間:1.04–1.35)であった。
5)肺炎球菌感染症の発生リスクは、現在歯数が20本以上の人と比較して、10–19本の人は1.12倍(95%信頼区間:1.04–1.21)、1–9本の人は1.29倍(95%信頼区間:1.17–1.42)であった。
6)0~9本で補綴物なしの人に比べ、20本以上で補綴物なしの人はWell-being得点が0.33点(95%信頼区間:0.28-0.39)高かった。推定されたWell-being得点は現在歯数10-19本で補綴物ありの人で6.54点(95%信頼区間: 6.51-6.56)、現在歯数0-9本で補綴物ありの人で6.49点(95%信頼区間: 6.24-6.50)、現在歯数10-19本で補綴物なしの人で6.44点(95%信頼区間: 6.40-6.48)、現在歯数0-9本で補綴物なしの人で6.31点(95%信頼区間:6.26-6.36)だった。
7)歯周治療を受けた患者は血糖コントロールが改善する傾向があり、特にHbA1c値7.0-7.9%の群で有意な改善が見られた。
8)歯の喪失の予測因子として、年齢、喫煙、糖尿病、歯周治療経験、職業、少数歯の残存が挙げられた。
9)ポアソン回帰分析によると、GHQ-30スコアは、根面う蝕の増加と独立してかつ有意に正の関連があることが示された(調整IRR: 5.74、p = 0.008)。
10)2,940人が解析に含まれ(男性:49.0%、平均年齢:67.6歳)、1.9%に認知機能低下がみられた。多変量解析の結果、必須アミノ酸が多いPC1は、認知機能が良好な方向に関連し(OR=0.89;95%CI,0.80-0.98)、ケトン体が多いPC2は、認知機能低下と関連していた(OR=1.29;95%CI,1.11-1.51)。
11)高齢者17,217人(平均年齢73.4±5.8歳,男性46.1%)において過去5年以内に肺炎球菌のワクチン接種を受けた人は43.4%、受けていない人は56.5%であった。対象者の4.5%が過去1年間に肺炎を経験した。機械学習を用いた分析の結果、肺炎球菌ワクチン未接種群では、歯みがき1日に1回以下の群では、1日3回以上の群と比較して、肺炎経験を有するオッズが1.57倍(95%信頼区間:1.15-2.14)高かった。一方、肺炎球菌ワクチン接種を受けた群では、歯みがきの回数と肺炎経験との間には有意な関連は見られなかった。
結論
口腔の健康状態と全身疾患との関係が確認された。

公開日・更新日

公開日
2024-08-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-08-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202308049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,970,000円
(2)補助金確定額
8,970,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,840,637円
人件費・謝金 1,705,196円
旅費 670,306円
その他 2,683,861円
間接経費 2,070,000円
合計 8,970,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-12-19
更新日
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