予防・健康づくりのための住環境整備のための研究

文献情報

文献番号
202308036A
報告書区分
総括
研究課題名
予防・健康づくりのための住環境整備のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1009
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
林 基哉(北海道大学 大学院工学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学 医学部)
  • 杉山 大典(慶應義塾大学 看護医療学部)
  • 池田 敦子(荒木 敦子)(北海道大学 大学院保健科学研究院)
  • 長谷川 兼一(秋田県立大学 システム科学技術学部)
  • 森 太郎(北海道大学 大学院工学研究院)
  • 桑沢 保夫(建築研究所 環境研究グループ)
  • 東 賢一(関西福祉科学大学 健康福祉学部)
  • 阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 開原 典子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 金 勲(キム フン)(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 本間 義規(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 住環境と生活習慣病の関係に関するエビデンスの収集・整理,予防・健康づくりのための住環境条件に関する整理,住宅環境整備による予防・健康づくりに対する効果に関する分析をおこない,予防・健康づくりのための住環境ガイドライン作成のための基礎資料とし,生活習慣病・健康づくりにかかる住環境整備の普及・啓発のための提案を行う。住環境や居住リテラシー(住生活の習慣や知恵)と健康の関係に関する国内外のエビデンスの収集整理,住宅環境の実態と関連施策動向を踏まえた住宅環境に係る健康影響の把握,今後の状況を推定する技術の整備によって,公衆衛生学,看護学,医学,建築学等の関係専門分野に関する科学的根拠を得る。住環境の向上が生活習慣病の予防,健康寿命の延伸など,国民のQOL向上に資する機序を総合的に想定することで,国民の生活習慣病の予防・健康づくりの基礎となる住環境整備に関するガイドラインの整備,その普及と啓発に関する提案を行う基礎が得られる。
研究方法
本研究は以下の3項目によって構成され,本年度は,B1,B2を実施した。
B1.住環境と生活習慣病の関係に関するエビデンスの収集・整理
 住宅環境と生活習慣病を中心とした健康影響・健康増進に関する最新情報を収集してガイドラインに向けて,①WHO等国際機関,海外機関の動向・文献の調査,②国土交通省等の国内機関の動向・文献の調査,③生活習慣病関連ガイドライン等における住環境要因の扱いに関する動向の調査および内容の整理,を行う。
B2.予防・健康づくりのための住環境条件に関する整理
 ①生活習慣病に関連する住環境条件(温熱,空気,音,光等)の整理,②生活習慣病に関連する居住リテラシー(暖冷房,換気,掃除,着衣,生活スケジュール,その他の生活習慣)の整理を,行う。
B3.住宅環境整備による予防・健康づくりに対する効果に関する分析
 ①住宅ストックと低炭素(省エネルギー)等の施策を踏まえた住環境の将来予測,②住環境整備による生活習慣病の予防・健康づくり効果に関する調査・分析を,行う。
以上のように,本研究は既往の文献および公表データに基づいており,個人情報を全く使用せず,倫理面の問題は発生しない。
結果と考察
 住環境と生活習慣病の関係に関するエビデンスの収集・整理では,以下の知見を得た。慢性冠動脈疾患患者の管理ガイドライン,循環器疾患予防のガイドラインで,空気汚染(特にPM2.5)制御が勧告され,欧州環境庁報告書(2023/6)で,空気汚染,騒音,温度,受動喫煙,有害物質などの循環器疾患への関係と予防の可能性が示された。イングランドの住宅健康安全格付けシステム導入後に,最も有害性が高い住宅は,2008年から2020年に22.7%から9.4%に低減した。日本の冬期温熱環境に関する以下の知見を得た。暖房器具,結露や室温,浴槽温度等を調査(671名)し,脱衣洗面(51.6%),トイレ(45.3%),浴室(39.3%),廊下(34.9%)の寒さが指摘された。2025年度の省エネ基準適合義務付けの後の断熱性能基準は,暖冷房にかかる一次エネルギー消費量を概ねそれぞれ30%,40%削減できるレベルである。東北地方日本海側の調査では,断熱等級4は1割程度であるが,高断熱化は湿度環境の形成にも寄与する。一般地域住民(神戸研究NEXT-527名)におけるWHOの冬季室温推奨の認知度は高くなく,生活習慣病予防を目的とした住環境整備の一環としての訴求が必要である。
 予防・健康づくりのための住環境条件に関する整理では,以下の知見を得た。人口動態統計と医療費の分析から,死亡率は低断熱の温暖地域で外気温低下の影響をより受け,医療費が大きい傾向がある。居住リテラシーに関する分析により、除菌・消毒の意識と行動に相関を確認し,住環境の意識付けの重要性を示した。出生コーホートデータ(北海道3462人)の解析により,築年経過後のカビ臭と水漏の予防の重要性,窓開け換気による湿疹の予防的効果が示唆された。高齢者(奈良県1127名)の住宅、睡眠、排尿の調査から、非入浴者より入浴者の夜間頻尿オッズ比が低く,夜間騒音が多いと睡眠効率が低く中途覚醒時間が長い。エアロゾル(COVID-19)等の室内空気質の評価事例(DALYs)を収集し、換気性状の重要性を示した。室内環境及び健康等と血液に関する文献レビューでは、健康な対象に関する文献が希少であることを確認した。
結論
 住環境と健康影響、特に健康予防づくりの関係について多面的な調査研究が国内外で行われて、冬期の室温などの室内環境の重要性が指摘されている。WHOは住宅の室内環境に関するガイドラインを示してるが、国内においてが広く浸透していない。住宅における省エネルギー化・低炭素化と共に、住環境に関する健康リテラシーの普及が必要である。

公開日・更新日

公開日
2025-04-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-04-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202308036Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,940,000円
(2)補助金確定額
5,396,000円
差引額 [(1)-(2)]
544,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,442,598円
人件費・謝金 738,715円
旅費 1,632,812円
その他 1,041,993円
間接経費 540,000円
合計 5,396,118円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-01-06
更新日
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