文献情報
文献番号
202308035A
報告書区分
総括
研究課題名
20 歳未満の喫煙、飲酒等の実態把握及び環境要因の解明のための研究
課題番号
23FA1008
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
金城 文(田原 文)(鳥取大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 尾崎 米厚(鳥取大学 医学部)
- 兼板 佳孝(日本大学 医学部)
- 神田 秀幸(岡山大学 学術研究院医歯薬学域)
- 樋口 進(久里浜医療センター)
- 井谷 修(国際医療福祉大学 医学部)
- 地家 真紀(池田 真紀)(昭和女子大学 食健康科学部)
- 大塚 雄一郎(日本大学 医学部)
- 吉本 尚(筑波大学 医学医療系)
- 真栄里 仁(琉球病院)
- 美濃部 るり子(久里浜医療センター)
- 桑原 祐樹(鳥取大学 医学部)
- 春日 秀朗(福島県立医科大学 医学部)
- 伊藤 央奈(高橋 央奈)(郡山女子大学 家政学部)
- 今本 彩(鳥取大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 井谷修 日本大学(令和5年4月1日~5年8月31日) → 国際医療福祉大学(令和5 年9月1日以降)
研究分担者 真栄里仁 久里浜医療センター(令和5年4月1日~5年5月31日) → 琉球病院(令和5 年6月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
20歳未満での喫煙や飲酒の開始は、青少年期から将来の健康や社会生活に影響を及ぼす。本研究は20歳未満の喫煙及び飲酒の状況や喫煙及び飲酒行動開始と関係する要因、受動喫煙の状況を把握し、関連する環境要因等の改善に資する施策やその費用対効果等を検討することを目的に、以下の3つの柱で研究を実施する:柱1.中高生の喫煙及び飲酒行動、受動喫煙の実態把握、柱2.18~20歳の喫煙及び飲酒行動の実態把握、柱3.20歳未満の喫煙及び飲酒を防止する有効な施策の検証
研究方法
柱1は、学校の中高生全国調査への協力意向や、学校が調査に参加しやすい要件を明らかにすることを目的に、全国から中学校2000校、高等学校1000校を無作為抽出し、令和5年11月から令和6年1月に学校調査を実施した。対象校は、回答時間が短い調査票サンプルを提示する群(以下、短縮調査群、中学校1000校、高等学校500校)、従来通りの詳細な調査票サンプルを提示する群(以下、詳細調査群、中学校1000校、高等学校500校)の2群に無作為に割り付けて調査を実施した。柱2は、既存資料を用いた18~20歳の喫煙率や飲酒率の実態を把握する方法を検討した。柱3は、20歳未満の喫煙及び飲酒を防止することを目的とした介入研究について、これまで行われた系統的レビューの文献調査を行った。
結果と考察
柱1は、中学校450校(短縮調査群220校、詳細調査群230校)、高等学校207校(短縮調査群87校、詳細調査群120校)から回答を得た。短縮調査群と詳細調査群において中高生全国調査へ協力する意向に差はなかったが、調査に協力できる要件の1つに、「短時間で回答できること」が挙がり、短縮版での中高生全国調査の実施はより多くの学校の協力が得られる可能性が示唆された。また、98%の学校がウェブで調査を実施できると回答した。本結果を受けて、健康日本21(第三次)のベースライン値を提供するための令和6年度中高生全国調査は、ウェブ回答方式、短縮版で実施する方針とした。一方、短縮版の調査では、中高生の喫煙及び飲酒行動の開始と関係する要因や、受動喫煙の状況等を把握することができず、施策に反映することができないため、詳細な調査項目を含む中高生全国調査も望まれる。そこで、令和7年度に詳細な調査項目を含む中高生全国調査(詳細版)を実施することとした。柱2で活用できる既存資料として、[1]娯楽と生活習慣に関する調査(2019年4月実施、18~24歳対象、訪問面接調査)、[2]鳥取・島根の事業者健診データ(2023年12月まで、事業者健診対象者)を用いる方針で、準備を進めた。柱3で、20歳未満の喫煙及び飲酒を防止することを目的とした介入研究について、これまで行われた系統的レビューの文献調査を行った結果、喫煙については、近年系統的レビューが行われており、新たに系統的レビューを行う意義が低いことが示唆された。飲酒については、家庭での予防プログラムは2019年に系統的レビューが行われているが、学校での予防プログラムは近年の系統的レビューがないため、学校での予防プログラムについて、今後系統的レビューを行うことは意義があることが確認された。令和6年度は、日本で実装可能な施策の観点から、社会レベルの施策も含め、検証する優先度の高い施策の検討と文献調査を行い、日本で実装可能な施策の効果量や施策を展開する上での留意点を示すための資料を収集する。
結論
令和5年度は、柱1:学校調査、柱2:既存調査を用いた18~20歳の喫煙及び飲酒の実態の分析方法の検討、柱3:20歳未満の喫煙や飲酒を予防する施策に関する文献レビューの予備調査を行った。柱1:学校調査の結果を元に、健康日本21(第三次)の評価指標を提供するため、令和6年度は調査項目を絞った短縮版での中高生全国調査をウェブ回答方式中心に実施する方針とする。一方、中高生の喫煙及び飲酒行動開始と関係する要因や、受動喫煙の状況等を把握し、施策へ反映するために、詳細版での中高生全国調査が必要である。そこで、令和7年度に、中高生全国調査詳細版を実施する方針とする。柱2や柱3で得られた結果は、令和7年度中高生全国調査詳細版の調査項目に反映させ、20歳未満での喫煙や飲酒行動開始に関連する環境要因等の改善に資する施策やその費用対効果等の検討に用いる。
公開日・更新日
公開日
2024-12-20
更新日
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