文献情報
文献番号
202308033A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器疾患及び糖尿病、COPD 等の生活習慣病の個人リスク及び集団リスクの評価ツールの開発と応用のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
村上 義孝(東邦大学 医学部医学科社会医学講座医療統計学分野)
研究分担者(所属機関)
- 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
- 二宮 利治(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野)
- 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 山岸 良匡(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
- 玉腰 暁子(北海道大学大学院医学研究院 社会医学分野公衆衛生学教室)
- 小久保 喜弘(国立循環器病センター予防健診部)
- 三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座公衆衛生学部門)
- 原田 亜紀子(滋賀医科大学 NCD疫学研究センター)
- 大西 浩文(札幌医科大学 医学部)
- 寳澤 篤(国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
- 櫻井 勝(金沢医科大学 医学部)
- 立川 佳美(放射線影響研究所臨床研究部)
- 丹野 高三(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 清水 悠路(大阪健康安全基盤研究所 疫学解析研究課)
- 石川 鎮清(自治医科大学情報センター)
- 八谷 寛(名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
保健医療デジタルトランスフォーメーションの進展にともない、特定健診情報をマイナポータルで閲覧する体制整備が進む中、個人・集団の健康情報の利活用法の整備と実装は喫緊の課題である。循環器疾患のリスク因子評価でもベースライン測定値のみだけでなく、健康情報として蓄積された経年的なリスク因子の推移・変動が疾患発症・死亡にどう影響するかの研究が国内外で進んでいる。厚生労働科学研究として構築されたEPOCH-JAPAN(Evidence for Cardiovascular Prevention From Observational Cohorts in Japan)データベースを発展・拡充させて、日本人集団における科学的根拠に基づいたリスク評価や行動変容を効果的に促すツールの開発と実装を目指すことを目的とする。
研究方法
3年研究計画の中の1年目である本年度は、EPOCH-JAPANのデータベース更新・拡張するために、分担研究者から新たにコホート研究データの提供をうけ、中央事務局にて統合データベースを作成した。その際、必要となる倫理審査等の手続きを完了した。また既存の統合データベースにではエンドポイントの種類として発症と死亡、疾患は循環器疾患のほか、糖尿病、COPDを新たに加えた。
班会議等で、前回村上班の研究活動および成果を総括し課題について検討した結果、経年的なリスク因子の疾患への影響を包括的・機動的に検討可能なデータベースの必要性が指摘された。また分担研究者から個別解析された結果をまとめメタアナリシスの手法で統合する集合的方法(Aggregated Approach)の限界や、分担研究者の個別データを統合したデータベースを作成し、そのデータベースを解析するIPD-Meta analysisの必要性などが指摘された。以上より、経時データをもつコホートの分担研究者から個人レベルのデータの提供をうけ、中央事務局において共通コードを用いてデータを統合する手法が採択された。データ統合に関しては、国際的なデータ標準(CDISC)に基づき、統合データベースを作成した。個人のリスク因子の変動・変化が循環器疾患、糖尿病の発症等に及ぼす影響を検討するため、研究事務局にてデータ解析の解析計画書の作成をおこなった。データ解析の解析計画書の作成にあたっては、前回村上班で実施した方法を参考にしつつ、前述した経時データの統合コホートデータにあうよう、作成をすすめた。
班会議等で、前回村上班の研究活動および成果を総括し課題について検討した結果、経年的なリスク因子の疾患への影響を包括的・機動的に検討可能なデータベースの必要性が指摘された。また分担研究者から個別解析された結果をまとめメタアナリシスの手法で統合する集合的方法(Aggregated Approach)の限界や、分担研究者の個別データを統合したデータベースを作成し、そのデータベースを解析するIPD-Meta analysisの必要性などが指摘された。以上より、経時データをもつコホートの分担研究者から個人レベルのデータの提供をうけ、中央事務局において共通コードを用いてデータを統合する手法が採択された。データ統合に関しては、国際的なデータ標準(CDISC)に基づき、統合データベースを作成した。個人のリスク因子の変動・変化が循環器疾患、糖尿病の発症等に及ぼす影響を検討するため、研究事務局にてデータ解析の解析計画書の作成をおこなった。データ解析の解析計画書の作成にあたっては、前回村上班で実施した方法を参考にしつつ、前述した経時データの統合コホートデータにあうよう、作成をすすめた。
結果と考察
(1)5つのコホート研究(久山町、大迫、YKK,放影研、愛知勤労者)から統合コホートデータベースを構築し、対象者数15,982人(男性:8,909、女性:7,073)、延観察人数83,453人(男性:44,974、女性:38,479)、一人あたりの測定回数は5.22回、ベースライン時の平均年齢は男性52,6歳(標準偏差:10.4歳)、女性58.2歳(標準偏差:12.7歳)、アウトカム(イベント)は発症・死亡で測定されており、CVD:948(男性:502、女性:446) 、CHD:288(男性:198、女性:90)、脳卒中:562(男性:291、女性:271)であり、わが国最大級の長期観察コホートの経時データベースが完成した。(2) EPOCH-JAPAN循環器死亡データベース(対象者147,465人)に対し、糖尿病、COPDの調査項目を加える作業を行い、糖尿病については項目追加の作業を完了した。 (3)個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査では、各コホートら数多くの論文が公表され、統合研究・個別研究で総計64本の論文が学術雑誌に掲載された。
結論
EPOCH-JAPANデータベースを拡充し、それを用いて特定健診や健康増進事業等の場で本人の行動変容を効果的に促す情報ツールの開発と実装を目的とした本班の初年度として、5つのコホート研究から統合コホートデータベースを構築し、わが国最大級の経時データの長期観察コホートデータベースを完成させた。またEPOCH-JAPAN循環器死亡データベースに対し、糖尿病、COPDの調査項目を加える作業を行い、糖尿病については項目追加の作業を完了した。
公開日・更新日
公開日
2024-08-16
更新日
-