日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究

文献情報

文献番号
200932022A
報告書区分
総括
研究課題名
日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
安岡 彰(長崎大学 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 照屋 勝治(国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 山本 政弘(国立病院機構九州医療センター 免疫感染症科)
  • 古西 満(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 永井 英明(国立病院機構東京病院 呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,813,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIVの日和見感染症の発生動向、および日和見感染症の診断と治療法を開発するとともに、日和見感染症の視点から医療機関におけるHIV感染者の早期発見を推進するためのデータ蓄積も目標とした。
研究方法
本年度は次の項目について検討した。
1)日和見合併症の動向調査
2)重点合併症の診断・治療法の開発
 (1)免疫再構築症候群
 (2)ニューモシスチス肺炎(PCP)の治療
 (3)HIV合併ノカルジア症
 (4)HIV感染者におけるプロカルシトニンの臨床的有用性
 (5)カポジ肉(KS)
 (6)HIV合併結核の診断法
3)病院におけるHIV検査の推進のための日和見合併症の特徴
結果と考察
1):合併症はニューモシスチス肺炎(PCP)、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ症、活動性結核と続いた。PCP、サイトメガロウイルス感染症等でCD4値が50以下の群で有意に死亡数が高かった。指標以外の悪性腫瘍は、173例あり、年齢調整罹患率では人口10万人当たり418.2と、日本人の癌罹患率の1.30倍であった。
2)(1):IRISの発症時にはTh1/Th2バランスが著明に上昇する可能性が示唆された。
(2):PCPの治療ST合剤治療では21日間の治療完遂率は21%であった。ST合剤→ペンタミジン→アトバコンと組み合わることにより、治療完遂率は94%となった。
(3):2004年以降に増加傾向がみられた。
(4):これまでに3例の患者で検討し、いずれも陰性(<0.5ng/ml)であった。
(5):KS症例は発症年齢がエイズ関連で非エイズ関連より有意に高かった。HHV-8の遺伝子型の解析ではエイズ関連KSからはAとCが、非エイズ関連からはA、CとDが検出された。
(6):全体の感度はQFT-2Gに対し有意にELISPOTで高値を示した。HIV感染者では、ELISPOTはQFT-2Gより高感度であると考えられた。
3):STDを契機に感染が判明した例数は10-30%であった。年間STD患者受診数は、平均135.7±240.3人であった。またSTDを契機にHIV抗体検査を勧めた患者数は、137人(平均15.2±32.5人)であり40人が検査を行い1名陽性が判明した。HIV患者の約30%に高ガンマグロブリン血症を認めた。
結論
日本におけるHIV関連日和見感染症と悪性腫瘍の動向及び新しい診断と治療、合併感染症を端緒とするHIV感染者の発見についてのデータを集積した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-