国民健康づくり運動の推進に向けた飲酒の社会的影響に関するエビデンスの創出

文献情報

文献番号
202308016A
報告書区分
総括
研究課題名
国民健康づくり運動の推進に向けた飲酒の社会的影響に関するエビデンスの創出
課題番号
22FA1012
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
池原 賢代(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 磯 博康(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター)
  • 山岸 良匡(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
  • 金城 文(田原 文)(鳥取大学 医学部)
  • 髙田 碧(大阪健康安全基盤研究所 公衆衛生部)
  • 澤田 典絵(倉橋 典絵)(国立がんセンター がん対策研究所 コホート研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、コホート研究における飲酒状況と疾患リスクとの関連に関する文献レビューを行い、エビデンスを整理し、飲酒ガイドライン及び次期健康づくりプラン策定に寄与することを目的とした。また、飲酒状況の把握のための実態調査として既存コホート研究データを用いた集計を行うこととした。さらに、既存資料を用いた社会的損失の推計を行うことにより、飲酒の社会的影響を明らかにすることを目的とした。
研究方法
飲酒ガイドラインの公表に向けて、昨年度の文献レビューをもとに、飲酒状況と疾患リスクとの関連に関するエビデンスの整理を行った。また、健康日本21(第三次)の学術的観点からのサポートとして、目標達成に向けて自治体・健康づくり関連団体 が取組むべき健康増進施策(アクションプラン)案の作成を行った。
実態調査については、既存コホート研究であるCIRCS研究及びJPHC-NEXT研究の5年後調査データを用いて、性別、年齢別、地域別に飲酒状況の集計を行った。
アルコール関連問題のコスト推計については、既存資料より2017年の推計を行った。
結果と考察
飲酒ガイドライン作成において、飲酒状況と疾患リスクとの関連に関する先行研究を整理し、飲酒ガイドラインの作成・施行に貢献した。健康日本21(第三次)については、アクションプラン案の作成が求められ、飲酒分野について、ロジックモデル及び「介入のはしご」に沿ってアクションプラン案を作成した。また、CIRCS研究及びJPHC-NEXT研究のデータを用いた飲酒状況の実態調査においては、地域や年齢による飲酒状況の差が示された。既存資料を用いた社会的損失の推計では、2017年の日本の飲酒パターンを考慮したアルコール寄与割合を用いて、2017年のアルコール関連問題のコストを推計した。
実態調査では、CIRCS研究では3地域、JPHC-NEXT研究では7地域を対象に、年齢別、地域別の飲酒状況の集計を行ったところ、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者や大量機会飲酒の割合等に地域や年齢での差異が確認され、自治体ごとに飲酒状況を把握し、ターゲットとなる集団を明確にしたアプローチを行うことがアルコール対策において必要であると考えられた。
既存資料を用いたアルコール関連問題のコスト推計では、先行研究の手法を参考に、2017年の飲酒パターンを考慮したアルコール寄与割合(Alcohol attributable fraction: AAF)を用い、複数の検討を重ね、施策の評価におけるコスト推計の活用の可能性について寄与し得る結果を示すことができたと考えられた。
飲酒ガイドラインや健康日本21(第三次)は開始されたばかりであり、その国民に対する浸透への周知方法や、効果的な実施、評価に向けた取り組みの促進が望まれる。
結論
本研究では研究計画に沿って、飲酒ガイドライン作成や次期健康づくり運動プランの策定・施行への貢献、実態調査及びアルコール関連問題の社会的影響の推計を進めることができた。最終年度である次年度も研究計画に沿って研究事業を実施したい。

公開日・更新日

公開日
2024-11-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-11-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202308016Z