文献情報
文献番号
202308014A
報告書区分
総括
研究課題名
健康寿命の延伸及び健康格差の縮小に影響を与える要因の解明のための研究
課題番号
22FA1010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会疫学分野)
研究分担者(所属機関)
- 相田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野)
- 田淵 貴大(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
- 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 医学研究支援センター医療統計室)
- 村山 洋史(東京大学高齢社会総合研究機構)
- 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
- 細川 陸也(京都大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
登録情報未更新
研究分担者 村山洋史
東京大学高齢社会総合研究機構(~令和2年3月31日)
→東京都健康長寿医療センター研究所(令和2年4月1日~)
所属機関異動
研究分担者 田淵貴大
大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(~令和6年3月31日)
→国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科(令和6年4月1日~)
研究報告書(概要版)
研究目的
インターネットの急激な普及やCOVID-19の影響など、近年の社会変化を踏まえつつ、国内の主要なコホートデータ等を二次利用して健康寿命の延伸及び健康格差の縮小に影響を与える要因を疫学的に明らかにし、その結果を踏まえて次期国民の健康づくり運動プラン(健康日本21第三次)への提案をすることを目的とした。
研究方法
人口動態統計や国内の主要なコホート研究のデータを分析した。また二回の全体班会議、および各分担班で定期会議を行い分析をすすめた。政策研究についてはワーキンググループを組織して、主にオンライン環境で複数回の会議やメールでのやりとりを行い、分析・提案作成を行った。
結果と考察
国民健康保険の保険者努力支援制度データの分析では、特定健診受診率・特定保健指導実施率・メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率、重複・多剤投与者に対する取組の事業評価スコアと健康寿命の改善との関連がみられた。人口動態統計データでは、都道府県別社会経済指標と健康寿命・平均寿命の関連を示す視覚化Webツールを開発した。また健康寿命や死因別死亡率に対する社会経済状況の違いによる相対リスクや集団寄与リスクを算出し、不慮の事故で特に格差が大きいことがわかった。日本老年学的評価研究(JAGES)からは、高齢者の趣味の取得や通いの場を増やすことが健康格差縮小に貢献し得ることが示された。JASTISのデータからは、ストロング系チューハイを介した問題飲酒の社会格差が示された。養父コホートからは、抑うつと関連する地域レベルのソーシャルキャピタルに男女間に大きな違いがあることがわかった。これらの結果を踏まえつつ、健康日本21(第3次)の各自治体での取組の効果を検証するための「標準調査票」をまとめた。
結論
健康日本21(第三次)の推進に向けては、趣味や社会参加、飲酒行動など、個人の健康づくりに関連する社会生活を個人が適正にコントロールしやすくするような社会環境整備をすすめつつ、行政活動から集まるデータや既存のコホートデータを積極的に活用してその効果をモニタリングすることが有益と思われる。また、標準的な調査票を全国的に活用することで、社会生活に関する健康リスクのモニタリングが可能となる。
公開日・更新日
公開日
2024-08-29
更新日
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