地域住民を対象とした生活習慣病予防等健康づくりの推進のための栄養・運動・休養複合型プログラム(対面・オンラインハイブリット型)の開発に向けた基盤研究

文献情報

文献番号
202308005A
報告書区分
総括
研究課題名
地域住民を対象とした生活習慣病予防等健康づくりの推進のための栄養・運動・休養複合型プログラム(対面・オンラインハイブリット型)の開発に向けた基盤研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FA1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
山田 宏(和歌山県立医科大学 医学部整形外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 橋爪 洋(和歌山県立医科大学 保健看護学部)
  • 吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター ロコモ予防学講座)
  • 大塚 礼(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 研究所 老化疫学研究部)
  • 木下 かほり(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター フレイル研究部)
  • 岡 敬之(東京大学 医学部附属病院 22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)
  • 陣内 裕成(日本医科大学 衛生学公衆衛生学)
  • 篠崎 智大(東京理科大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康寿命の延伸には身体機能の維持・向上が重要であり、個人が積極的に健康度を高める努力が求められている。しかし、従来の取り組みではさまざまな手法が乱立しており、健康日本21(第二次)の目標としても取り上げられている栄養(適切な量と質の食事)、運動(日常における歩数の増加と運動習慣の獲得)、休養(適切な睡眠と労働時間)の三要素に関して、各要素を単独で対策することが多い状況にある。これら三要素を適切に組み合わせた複合型の取り組みが有効と考えられるが、単独型の取り組みに比べて参加・継続のハードルが高くなる可能性があり、そうした難点を解消するための検討が必要である。

本研究では、地域から無作為抽出された中高年における食事・身体活動調査(大塚・木下)、自治体における栄養と運動機能調査(山田・橋爪・吉村・岡)、中高年労働者に対する健康増進プログラム開発(松平)、高齢者に対する転倒予防プログラム開発(松平・陣内)、社会実装された評価用アプリケーション開発(岡)に実績がある研究者が一丸となり、自治体や企業などのステークホルダーにとって参加・継続しやすい栄養・運動・休養複合型プログラムを作成することを目的としている。
研究方法
「要素を適切に組み合わせた複合型の取り組みが、国民の健康増進に有効である」という観点から、年代(20-29、30-39、40-49、50-59、60-)・性別(男、女)にて留意すべき項目を文献をもとに整理し、10種類の複合型プログラム(案)リーフレットを開発した。本年度は、昨年度改善したプログラム内容をステークホルダーに提供し、評価を行った。

また、身体機能の維持・向上に有用な対策と考えられる複合型プログラムの提供を継続させる方法の確立を目指し、働く世代を対象に、教育と運動療法をセットにしたアプリケーション(ヴァーチャルパーソナルアシスタントシステム)を引き続き企業に提供することにより評価を行った。
結果と考察
昨年度は開発した複合型プログラム(案)の改善点を模索するパイロット研究を実施し、プログラム案を改訂した。
本年度はステークホルダー昨年度の2施設に引き続き4施設で200名、研究対象者を募集した。昨年度の参加者の意見に基づき、具体的な食事メニューの追加、食事量に関しての修正、スマートフォンにて実装した際の視認性を高めるレイアウト修正をおこなった。ステークホルダー200名にてプログラムを実践し、実施頻度は93%、満足度は91.5%の満足度であった。
昨年度通常指導のみを継続した参加者(51名)、モバイルアプリを併用した参加者(44名)とも、本年度はモバイルアプリを使用して評価を行った。
評価期間は12 週間であり、実施頻度として提供期間の75%以上でアプリケーションを利用した参加者は81名、82.9%であった。全体的健康観が改善し満足したと回答したのは77名、77.8%であった。

結論
複合型プログラムに関しては単独型の取組に比べて参加・継続のハードルが高くなる可能性があり、そうした難点をできるだけ解消するための検討が必要である。本研究においては、参加・継続しやすい複合型プログラム策定のために、栄養・運動を軸とした複合型プログラムをステークホルダー・企業に提供し、評価を行うとともに、その後の維持のための指導を行い、健康増進に関する取組を継続した。

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202308005B
報告書区分
総合
研究課題名
地域住民を対象とした生活習慣病予防等健康づくりの推進のための栄養・運動・休養複合型プログラム(対面・オンラインハイブリット型)の開発に向けた基盤研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FA1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
山田 宏(和歌山県立医科大学 医学部整形外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 橋爪 洋(和歌山県立医科大学 保健看護学部)
  • 松平 浩(東京大学 医学部附属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)
  • 吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター ロコモ予防学講座)
  • 大塚 礼(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 研究所 老化疫学研究部)
  • 木下 かほり(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター フレイル研究部)
  • 岡 敬之(東京大学 医学部附属病院 22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)
  • 陣内 裕成(日本医科大学 衛生学公衆衛生学)
  • 篠崎 智大(東京理科大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
松平浩が東京大学を退職したためH5年度より研究分担者を外れている

研究報告書(概要版)

研究目的
健康寿命の延伸に向けては身体機能の維持・向上が重要であり、個人が積極的に健康度を高める努力が求められているものの、従来の取組に関しては様々な手法が乱立するとともに、健康日本21(第二次)の目標としても取り上げられ重要な要素である栄養(適切な量と質の食事)・運動(日常における歩数の増加と運動習慣の獲得)・休養(適切な睡眠と労働時間)の三要素に関して、各要素を単独で対策することが多い状況にあった。これら三要素を適切に組み合わせた複合型の取組が有効と考えられるが、単独型の取組に比べて参加・継続のハードルが高くなる可能性があり、そうした難点をできるだけ解消するための検討が必要である。
 本研究では、地域から無作為抽出された中高年における食事・身体活動調査(大塚・木下)、自治体における栄養と運動機能調査(山田・橋爪・吉村・岡)、中高年労働者に対する健康増進プログラム開発(松平)、高齢者に対する転倒予防プログラム開発(松平・陣内)、社会実装された評価用アプリケーション開発(岡)に実績がある研究者が一丸となり、自治体や企業などのステークホルダーにて参加・継続しやすい栄養・運動・休養複合型プログラムを作成することが目的である。
研究方法
初年度は「これら三要素を適切に組み合わせた複合型の取組が、国民の健康増進に有効である」という観点から年代(20-29, 30-39, 40-49, 50-59, 60-)・性別(男,女)にて留意すべき項目を文献をもとに整理して、10種類の複合型プログラム(案)リーフレットを開発した。
次年度は開発したプログラムを実行することにより、生活の満足度や生活習慣に変化があるかとプログラム内容の改善点を模索するパイロット研究を実施した。 
さらに身体機能の維持・向上に有用な対策と考えられる複合型プログラムの提供継続させる方法の確立を目指し、働く世代を対象に、教育と運動療法をセットにしたアプリケーション(ヴァーチャル パーソナルアシスタントシステム)の有用性を非盲検のランダム化並行群間試験により評価した。
最終年度には昨年度改善したプログラム内容をステークホルダーに提供するとともに、教育と運動療法をセットにしたアプリケーション(ヴァーチャルパーソナルアシスタントシステム)を引き続き企業に提供することにより、評価を行った。
結果と考察
複合型プログラムのステークホルダーでの実践に関して2年目には参加者の意見に基づき、具体的な食事メニューの追加、食事量に関しての修正、スマートフォンにて実装した際の視認性を高めるレイアウト修正をおこなった。
 最終年度ステークホルダー200名にてプログラムを実践し、実施頻度は93%、満足度は91.5%の満足度であった。
 通常指導のみを継続した参加者群と比較して、モバイルアプリを併用して活用した参加者群では、12 週後の身体症状の自覚的改善 度(3.2 vs 3.8; difference between groups −0.5, 95% CI −1.1 to 0.0; p=.04)に加え、身体症状に関連した運動恐怖(−2.3 vs 0.5; difference between groups −2.8, 95% CI −5.5 to −0.1; p=.04)、さらには健康関連 QOL(EuroQoL 5 Dimensions 5 Level: 0.068 vs 0.006; difference between groups 0.061, 95% CI 0.008 to 0.114; p=.03)が統計学的に有意に改善さ れた。
12 週の期間中、75%以上の日数で運動実施を達成した群は、達成率が 75%未満の群または通常指導のみを継続した群よりも、労働生産性(QQ 法)、痛みの程度を示す尺度(NRS スコア)、慢性身体症状によって日常生活が障害される程度 を示す尺度(RDQ-24)の改善が大きく示された。
最終年度には昨年度通常指導のみを継続した参加者(51名)、モバイルアプリを併用した参加者(44名)とも、本年度はモバイルアプリを使用して評価を行った。
評価期間は12 週間であり、実施頻度として提供期間の75%以上でアプリケーションを利用した参加者は81名、82.9%であった。全体的健康観が改善し満足したと回答したのは77名、77.8%であった。

結論
複合型プログラムに関しては単独型の取組に比べて参加・継続のハードルが高くなる可能性があり、そうした難点をできるだけ解消するための検討が必要である。本研究においては、参加・継続しやすい複合型プログラム策定のために、栄養・運動を軸とした複合型プログラムをステークホルダー・企業に提供し、評価を行うとともに、その後の維持のための指導を行い、健康増進に関する取組を継続した。

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202308005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の成果により、負担が少ない健康増進モデルが構築されることで、医療費用・介護給付費用が減少することが見込まれ医療経済面において大きく貢献するものと考えられる(医療経済への直接的な貢献)。
臨床的観点からの成果
本研究で開発したプログラムは、臨床医学、リハビリテーション医学、公衆衛生、医用情報工学、労働衛生、行政(自治体)等、複数の視点と経験を踏まえ遂行されるため、エビデンスに基づいた合理的な複合型プログラムの確立と健康増進の施策や指針に活用可能な成果となるものと見込まれる(直接反映の可能性)。
ガイドライン等の開発
大塚礼. (主執筆者:八谷寛、副執筆者:大塚礼)
肥満・肥満症の要因(成因).
肥満症診療ガイドライン2022. 日本肥満学会編
東京:ライフサイエンス出版,2022;32-37.
吉村典子.分担執筆
変形性関節症診療ガイドライン2023
日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会編
東京:南江堂
その他行政的観点からの成果
陣内裕成:健康日本21における身体活動・運動のアクションプランにおいて、アクティブガイド活用を促進するための助言を行い、その結果「注意点として、ADLが低い者や急性期患者等に安静を指示する場合、その期間を伝えることで、漫然と安静指示が継続されないようにする」との文言が追加された。
その他のインパクト
複合型プログラムのパンフレットを作成し、茂原市をはじめとした自治体にて講演活動を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
17件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
10件
講演10件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Iwata S, Hashizume H, Yamada H, et al
Osteoporosis, spinal degenerative disorders, and their association with low back pain, activities of daily living, and physical performance in a general population
Sci Rep. , 14 (1) , 15860-  (2024)
10.1038/s41598-024-64706-0
原著論文2
Sasaki T, Hashizume H, Yamada H, et al.
Prevalence of accessory navicular in Japanese children: A cross-sectional study using ultrasound-Katsuragi Integrated Defense for Locomotive Syndrome in children study.
PLoS One , 20 (1) , e0318014-  (2025)
10.1371/journal.pone.0318014
原著論文3
Kido Y, Hashizume H, Yamada H, et al.
The single-leg stand-up test as a simple and effective tool for assessing motor function in children -KID locomo study.
J Orthop Sci.  (2025)
10.1016/j.jos.2025.01.004
原著論文4
Inoue S, Hashizume H, Yamada H, et al.
Association between central sensitization and multisite pain in the general population: A cross-sectional analysis of The Wakayama Health Promotion Study.
J Orthop Sci.  (2025)
10.1016/j.jos.2025.02.001
原著論文5
Murata S, Hashizume H, Yamada H, et al.
Longitudinal study of central sensitization and chronic low back pain in a Japanese cohort during the COVID-19 pandemic.
Sci Rep. , 15 (1) , 8012-  (2025)
10.1038/s41598-025-93178-z
原著論文6
Iwane N, Hashizume H, Yamada H, et al.
Lumbar Disc Degeneration and Vertebral Fracture at the Thoracolumbar Junction Are Risk Factors for Chronic Low Back Pain With Disability: Seven Years’ Follow-Up of the Wakayama Spine Study
Cureus , 17 (5) , e84291-  (2025)
10.7759/cureus.84291
原著論文7
Iwane H, Hashizume H, Yamada H, et al.
Sex- and Age-Specific Distribution of Skeletal Muscle Mass and Paraspinal Muscle Indices and Their Association With Spinal Sagittal Alignment: The Research on Osteoarthritis/Osteoporosis Against Disability (ROAD) Study
Cureus , 17 (5) , e84972-  (2025)
10.7759/cureus.84972

公開日・更新日

公開日
2024-05-27
更新日
2025-06-11

収支報告書

文献番号
202308005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,210,000円
(2)補助金確定額
15,203,000円
差引額 [(1)-(2)]
7,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,233,462円
人件費・謝金 2,152,066円
旅費 571,660円
その他 7,737,396円
間接経費 3,508,416円
合計 15,203,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-01-06
更新日
-