文献情報
文献番号
200932007A
報告書区分
総括
研究課題名
先進諸国を中心とした海外におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析
課題番号
H19-エイズ・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山本 太郎(長崎大学 熱帯医学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 奥村 順子(長崎大学 熱帯医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
流動人口に焦点をあて、わが国と行き来の多い中国、東南アジアを中心にHIV/エイズのハイリスク集団の特定と発生動向や対策を調査する。
研究方法
雲南省の3都市および上海市を中心としたHIV/AIDSの流行と流動人口に関連する情報を収集・解析した。また、在日外国人の推移とHIV/AIDS発生動向などのデータを収集し,在日外国人に対する保健医療システム構築の重要性についても検討した。
結果と考察
タイを中心とするメコン川経済圏諸国におけるHIV感染拡大とアジアにおける性産業従事者の移動状況、さらにはビザ無し外国人就労者の流れ、これら3つのパターンには共通点がある。タイでは、ビザ無し外国籍労働者を対象とする保健医療システムを構築し、HIV感染リスクとなる疾患の早期発見に努めてきた。同国におけるHIV対策には、対象者として外国人が明確に明記されており、積極的な対策プログラムが功を奏し、1990年代後半には新規HIV感染者数は減少し、現在もその傾向を維持している。
一方、メコン川経済圏諸国との往来が活発な中国南西部の雲南省では、1980年代半ばにHIVが持ち込まれ、この地に入ったHIV subtype B およびCは、その後CRF07_BCやCRF08_BCに変化し、現在も中国全土で確認されている。中国におけるHIV感染者数はわが国同様に増加傾向が見られ、有効な対策が検討・構築されつつある。しかしながら、外国人労働者に対する保健医療システムはほとんど実施されてはいない。
タイにおけるビザ無し外国籍労働者を対象とする保健医療システムの構築は、外国籍労働者におけるHIV感染リスクとなる疾患の早期発見を可能とし、HIV感染者数の減少に一部寄与していると考えられる。
中国におけるHIV感染者数はわが国同様に増加傾向が見られる。「正規に登録済みの在日外国人のうち約30%が中国国籍者であり、近年、日中の交流が活発である」こと、また「CRF07_BCは1990年代後半には台湾南部に拡がり、その後2002年には台北に拡大した」ことから、目下のところ、わが国のHIV感染例として報告されていないCRF07_BCの発生動向に注目する必要性が示唆される。
一方、メコン川経済圏諸国との往来が活発な中国南西部の雲南省では、1980年代半ばにHIVが持ち込まれ、この地に入ったHIV subtype B およびCは、その後CRF07_BCやCRF08_BCに変化し、現在も中国全土で確認されている。中国におけるHIV感染者数はわが国同様に増加傾向が見られ、有効な対策が検討・構築されつつある。しかしながら、外国人労働者に対する保健医療システムはほとんど実施されてはいない。
タイにおけるビザ無し外国籍労働者を対象とする保健医療システムの構築は、外国籍労働者におけるHIV感染リスクとなる疾患の早期発見を可能とし、HIV感染者数の減少に一部寄与していると考えられる。
中国におけるHIV感染者数はわが国同様に増加傾向が見られる。「正規に登録済みの在日外国人のうち約30%が中国国籍者であり、近年、日中の交流が活発である」こと、また「CRF07_BCは1990年代後半には台湾南部に拡がり、その後2002年には台北に拡大した」ことから、目下のところ、わが国のHIV感染例として報告されていないCRF07_BCの発生動向に注目する必要性が示唆される。
結論
本研究では、わが国と交流の頻繁な中国および東南アジアの国を調査対象に加え、対策と国内応用性に言及した調査となるところに特色があるといった点で、本研究実施の意味は大きいと考える。
公開日・更新日
公開日
2014-05-26
更新日
-