文献情報
文献番号
202308001A
報告書区分
総括
研究課題名
適切な睡眠・休養促進に寄与する「新・健康づくりのための睡眠指針」と連動した行動・習慣改善ツール開発及び環境整備
課題番号
21FA1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 健一(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部)
研究分担者(所属機関)
- 兼板 佳孝(日本大学 医学部 社会医学系公衆衛生学分野)
- 尾崎 章子(東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻 老年・在宅看護学分野)
- 田中 克俊(北里大学大学院医療系研究科)
- 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学 医学部 疫学・予防医学講座)
- 三島 和夫(国立大学法人秋田大学 大学院医学系研究科医学専攻 病態制御医学系 精神科学講座)
- 鈴木 正泰(日本大学医学部 精神医学系精神医学分野)
- 角谷 寛(滋賀医科大学 精神医学講座)
- 渡辺 範雄(名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学)
- 岡田 清夏(有竹 清夏)(公立大学法人埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
- 駒田 陽子(東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院)
- 志村 哲祥(東京医科大学 精神医学分野)
- 井谷 修(日本大学医学部 社会医学系公衆衛生学分野)
- 竹島 正浩(秋田大学大学院医学系研究科 精神科学講座)
- 吉池 卓也(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部)
- 橋本 英樹(株式会社プロアシスト R&D企画部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,780,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
適正な睡眠時間の確保とともに「睡眠休養感」の向上が健康寿命の延伸に貢献することが明らかとなった。これに従い、睡眠時間の確保を妨げ、睡眠休養感の悪化防止・改善に寄与する行動・習慣を明らかにし、国民一人ひとりが健康増進に役立てるシステム構築が求められている。本研究課題では、次期「健康づくりのための睡眠指針」の改定案の作成および、個人および地域・職域の健康管理者が利用可能な睡眠健康増進システムの開発を目的とする。
研究方法
令和5年度は、前年度までに実施してきた、次期「健康づくりのための睡眠指針」案を完成させるとともに、「健康づくりのための睡眠指針」に準拠し、より理解を促進するためのブリーフガイドの作成に取り組む。これと並行して、個人が自身の睡眠状況を確認する資材と睡眠健康を改善させるために必要な事項をまとめた助言資材の作成にも取り組む。
さらに、働き盛り世代の健康増進を目指す上では、職場における取組が有効であることから、労働者を対象とした、睡眠健康チェックと睡眠衛生指導を組み合わせた職域コホート研究を進め、働き盛り世代の休養・睡眠健康を増進するための、職場における取組の基本的枠組み(モデル事業)を提案する。また、この研究を通じて、ウェアラブルデバイス等を用い、適正な睡眠時間の評価を含めた睡眠状態の客観計測の有用性を検証し、これを用いて個人が自発的に睡眠健康を定期観察し、睡眠健康を改善すること可能とする社会システムの構築を目指す。
さらに、働き盛り世代の健康増進を目指す上では、職場における取組が有効であることから、労働者を対象とした、睡眠健康チェックと睡眠衛生指導を組み合わせた職域コホート研究を進め、働き盛り世代の休養・睡眠健康を増進するための、職場における取組の基本的枠組み(モデル事業)を提案する。また、この研究を通じて、ウェアラブルデバイス等を用い、適正な睡眠時間の評価を含めた睡眠状態の客観計測の有用性を検証し、これを用いて個人が自発的に睡眠健康を定期観察し、睡眠健康を改善すること可能とする社会システムの構築を目指す。
結果と考察
これまでの研究成果を活用し、「健康づくりのための睡眠指針2023」の最終案を作成した。さらに、「健康づくりのための睡眠指針2023」に準拠したブリーフガイドである、ぐっすり(Good Sleep)ガイドも作成した。国民が自身の健康づくりに役立てるための睡眠チェックシートおよび、睡眠健康を改善させるための助言資材であるアドバイスシートを作成した。
職域コホート研究は研究期間内に目標症例数をクリアすることができなかったため、以降も継続して実施する方針とした。この成果は、国際医科学誌等で発表し、今後の国民の健康づくり事業に役立てることとした。
職域コホート研究は研究期間内に目標症例数をクリアすることができなかったため、以降も継続して実施する方針とした。この成果は、国際医科学誌等で発表し、今後の国民の健康づくり事業に役立てることとした。
結論
「健康づくりのための睡眠指針2023」案を作成した。これは、最終的にはより精緻・簡潔にブラッシュアップされ、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」という名称で厚生労働省より公開されるに至った。さらに、睡眠休養感を向上し、睡眠時間を確保するために必要な生活習慣・睡眠衛生を網羅し、国民の睡眠健康改善に寄与する睡眠チェックシート、アドバイスシートは国民個人が利用するだけでなく、地域や職域の健康管理者が活用し、所属集団における睡眠健康増進にも役立つことを想定して作成されている。さらに、これらを、ウェアラブルデバイス等を利用して日常睡眠習慣データを客観的に収集する状況に対応しうる、デジタルベースのプラットフォームにシステムアップさせるための工夫も試みている。次世代デジタル睡眠観察・評価システム開発への橋渡しとして、睡眠チェックシート・アドバイスシートに基づくオンラインアプリケーション開発のためのAPI作成を目指しており、将来これらを活用した健康増進システムの確立を目指す。
職域コホート研究の成果は、労働世代の睡眠健康を増進するための、職場における取組の基本的枠組み(モデル事業)を提案することに役立てられるが、前述のデジタルベースのプラットフォームの活用法を提案するものでもある。このため、今後も継続して実施する意義は大きい。
労働世代以外の睡眠健康増進には、睡眠チェックシートおよびアドバイスシートを地域・自治体などでも活用することが望ましい。このために、今後の活用拡大を目指したアクションプランの作成を進める必要がある。
これらがそろうことで、睡眠健康増進に係る1次予防・2次予防システムの充実が期待でき、睡眠障害検査・診療システムがさらに充実することで、他の生活習慣病と同等の睡眠健康・障害ケアに係る包括システムの構築が可能となり、国民の睡眠健康をシームレスに守ることが可能となる。
職域コホート研究の成果は、労働世代の睡眠健康を増進するための、職場における取組の基本的枠組み(モデル事業)を提案することに役立てられるが、前述のデジタルベースのプラットフォームの活用法を提案するものでもある。このため、今後も継続して実施する意義は大きい。
労働世代以外の睡眠健康増進には、睡眠チェックシートおよびアドバイスシートを地域・自治体などでも活用することが望ましい。このために、今後の活用拡大を目指したアクションプランの作成を進める必要がある。
これらがそろうことで、睡眠健康増進に係る1次予防・2次予防システムの充実が期待でき、睡眠障害検査・診療システムがさらに充実することで、他の生活習慣病と同等の睡眠健康・障害ケアに係る包括システムの構築が可能となり、国民の睡眠健康をシームレスに守ることが可能となる。
公開日・更新日
公開日
2024-08-16
更新日
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