動物由来クラミジアの自然界における存在様式の解明-比較ゲノム解析及び種特異的診断法の開発と実態調査

文献情報

文献番号
200931050A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来クラミジアの自然界における存在様式の解明-比較ゲノム解析及び種特異的診断法の開発と実態調査
課題番号
H21-新興・若手-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大屋 賢司(岐阜大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福士 秀人(国立大学法人 岐阜大学 応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
オウム病クラミジアChlamydophila psittaciを始めとした、人獣共通感染症の原因となりうる動物由来クラミジアを対象とする。
1)動物由来クラミジアの遺伝子・血清診断法を開発する。
2)動物由来クラミジアの比較ゲノム解析により、種特異的診断法開発・自然界における存在様式解明のための技術基盤とする。
3)鳥類を始めとした野生・飼育動物における実態調査を行う。
研究方法
これまでに決定していたC.psittaci暫定ゲノムのアノテーションを行い、既読他種クラミジアの配列と比較解析した。血清診断法の開発には、抗原候補の組換え蛋白質を作製した。組換え蛋白質を抗原としたELISAおよびウエスタンブロットの系を樹立し、感染、免疫血清との反応性を評価した。
結果と考察
#C.psittaci血清診断法の確立
多型外膜蛋白質(Pmp)に着目して研究を進めた。Pmpは、クラミジア種間における相同性が低く、種特異診断用抗原として有用であると考えている。組み換えPmpを抗原としたELISA及びウエスタンブロットを行ったところ、Pmpが診断用抗原として有用であることが示唆された。
#ネコクラミジアC.felis血清診断法の確立
感染特異抗原として同定したCF0218の診断用抗原としての有用性を、飼いネコ血清を検体とし、評価した。感染細胞を抗原とした蛍光抗体法とCF0218を抗原としたELISAの相関を検討した。CF0218はC.felis血清診断用抗原として有用であった。
#リアルタイムPCRによるC. psittaci遺伝子検出系の確立
外膜蛋白質envB領域を標的としたリアルタイムPCRによる検出系の検討を行った。我々が以前開発したnested PCR法より、感度・所要時間共に向上した検出系を樹立できた。
#C.psittaci国内分離株の全ゲノム配列決定
C.psittaci Mat116株の全ゲノム配列を決定した。C.psittaciゲノムには、他のクラミジアと比較して、特徴的な配列、領域が存在することを見いだした。
結論
今年度は以下の成果を得、動物由来クラミジアの実態把握にむけた基盤を構築することができた。
#C.psittaci国内分離株のゲノム配列を決定した。
#C.psittaci血清診断抗原候補の同定をした。
#C.felis血清診断法を確立した。
#C.psittaci遺伝子検出系を確立した。

公開日・更新日

公開日
2010-07-14
更新日
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