COPD等における難治性感染症の病態把握等に関する研究

文献情報

文献番号
200931027A
報告書区分
総括
研究課題名
COPD等における難治性感染症の病態把握等に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 義継(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究分担者(所属機関)
  • 河野 茂(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 二木 芳人(昭和大学医学部 臨床感染症学講座)
  • 小川 賢二(国立病院機構東名古屋病院 臨床研究部)
  • 安藤 常浩(日本赤十字社医療センター 呼吸器内科)
  • 山越 智(国立感染症研究所 生物活性物質部 )
  • 掛屋 弘(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 亀井 克彦(千葉大学真菌医学研究センター)
  • 渡邊 浩(久留米大学医学部 感染医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,005,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
COPD等における慢性壊死性肺糸状菌感染症は、疾患概念が曖昧であり、明確な診断指針が確立されていない。代表疾患である慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)は、長期的予後が不良であり、予後や治療の有効性を検証する臨床研究の実施が望まれている。本研究の目的は、CNPAの診断基準の策定に加え、的確な診断法の確立および有効性の高い治療法の開発の促進である。その成果は、患者予後や生活の質の改善、ならびに医療の効率化等に貢献するものと期待される。本年度は2年目であり、昨年度までの成果を活用し、さらに発展・応用することを目標として、それぞれ検討を行った。
研究方法
臨床小班では、昨年より引き続き、疾患概念と患者背景、検査法、症状の検討を行った。基礎小班では、診断基準の科学的根拠の創造、および、有効な治療法の開発等を目標として、病理組織像の検証および疫学、新規診断法の開発研究、病原性に関する研究、および難治化因子に関する研究を実施した。
結果と考察
臨床小班での研究の結果、CNPAの診断に必須と考えられる項目として、下記4項目を提案する。1)アスペルギルス症に起因すると考えられる、咳嗽、血痰・喀血、等の呼吸器症状、および全身性炎症反応に伴う、発熱、CRP上昇。2)数ヶ月以内の肺の新たな陰影の出現、または既存のアスペルギローマ等の陰影の増悪。3)真菌学的検査所見。4)他の疾患の除外。
また、患者の基礎疾患及び遺伝子背景の解析の結果、本邦では、COPDに加え、肺抗酸菌症後遺症が重要であることが示唆され、遺伝子背景としては、本邦での特異的な遺伝子多型が存在する可能性があることが推察された。
新規診断法に関する研究では、2つの手法による網羅的標的検索の結果、新規診断法の標的抗原となりうる蛋白質を発見した。そのほか、病理像および疫学に関する新たな知見、Y1遺伝子と病原性との関連、およびfetuinとバイオフィルムとの関連が示された。
結論
臨床小班では、CNPAの診断基準の作成における必須項目の暫定案が示された。また、それらの項目に関して、基礎疾患、症状および検査、画像所見に関する評価が行われた。基礎小班では、CNPAの病理像、新規診断法、病原因子および難治化因子に関する良好な結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2010-07-13
更新日
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