文献情報
文献番号
202306032A
報告書区分
総括
研究課題名
妊産婦のリスクに応じた分娩体制の維持に要する医療資源に係る研究
課題番号
23CA2032
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
板倉 敦夫(順天堂大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 海野 信也(北里大学 医学部産婦人科学)
- 味村 和哉(大阪大学医学部附属病院 遺伝子診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2024年度(令和6年度)から開始された「医師の働き方改革」では、2035年末(令和17年)までに、周産期母子医療センターで働く産婦人科医全員がA水準(時間外労働時間上限・年間960時間)を満たすことを目標としている。これを満たし、さらに妊産婦死亡率、周産期死亡率を上昇させない集約化のモデルを示すことを本研究の目的とした。
研究方法
これまで報告されている公的報告あるいは、厚生労働省研究補助金等による報告書より、2035年の出生数の予測から計算した適正なMFICUベッド数の試算を行った。続いて、2035年までにすべての周産期母子医療センター勤務の産婦人科医が医師の時間外労働時間の上限A水準を満たすために必要な人員等に関するアンケート調査を行った。さらにA水準を満たし、なおかつ妊産婦死亡率、周産期死亡率を上昇させない工夫について、9府県の中心的な大学に聞き取り調査を行い、大学にメールを利用してヒヤリングを行った。これらに関して考察を行い、目標達成にむけての提言を作成した。
結果と考察
全国のMFICU病床数の適正化は、周産期母子医療センターに従事する医師数が減少しなければ、MFICUのわずかな増床によって、2035年度末までには達成可能と考える。しかし、周産期母子医療センターに従事するすべての産婦人科医がA水準を満たすためには、周産期母子医療センターの積極的な集約化が必要である。統廃合によって現在の2/3まで減少させることを想定すると、「いわゆる大学病院本院を除いたA水準の施設では、現在の勤務医師数に従って、0~5人、現在の医師数が5人以上のA水準以外の施設では5~6人の補充が必要」であり、これが集約化の目安となる。さらに地域のローリスク妊娠・分娩管理を周産期母子医療センターの負担にならないようにする工夫、集約化後も安全性担保に向けた周産期施設の機能分担や母体搬送システムの改善も目標達成に必要であろう。
結論
こうした努力により、産婦人科医師の離脱の防止、産婦人科専攻医の増加を期待するが、次世代の周産期医療システムへのソフトランディングに向けた過渡期の医療であり、次世代の周産期医療システムの構築に向けた議論も必要である。
公開日・更新日
公開日
2024-05-31
更新日
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