特定機能病院の評価指標の開発に資する研究

文献情報

文献番号
202306020A
報告書区分
総括
研究課題名
特定機能病院の評価指標の開発に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23CA2020
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
楠岡 英雄(独立行政法人国立病院機構 )
研究分担者(所属機関)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,044,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 特定機能病院は、医療施設機能の体系化の一環として、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院について、厚生労働大臣が個別に承認するものである。平成4年の第2次医療法改正により医療法に位置づけられ、令和4年12月1日時点で88医療機関が承認されている。承認要件については累次の見直しを図ってきているが、特定機能病院の名称承認のために審議を行う医療分科会において、最近、外形的な基準は満たすものの、その名称にふさわしい医療水準かどうか疑義が呈される事例が相次いでいる。
 特定機能病院を取り巻く課題としては、①特定機能病院の役割の明確化(高度の医療・派遣機能・特定領域型の内容)、②特定機能病院の質の維持、③組織としての安全・ガバナンスの向上、④外来機能報告及び紹介受診重点医療機関(病院・診療所)の創設を踏まえた対応の課題がある。医療安全についても近年医療機関を対象としたサイバー攻撃事例が発生している。
 本研究は、既存の特定機能病院の業務状況についての実態調査及び特定機能病院が備えるべき能力についての検討を行う。その上で、各特定機能病院の能力や担う役割は多様であることが想定されることから、病院の特性に基づき、高度性や派遣機能の観点から類型化が可能か討することを目的とする。
研究方法
 以下によりデータを収集し、検討を加えた。
1.令和元年~令和4年度の特定機能病院業務報告書
2.令和元年~令和4年度の病床機能報告
3.令和4年度の外来機能報告
4.特定機能病院ならびに高度大規模病院へのアンケート調査
1)「国立大学病院 病院機能指標」の項目
2)大学病院を特徴付ける項目(新たに設定したもの)
5.一般市民が特定機能病院に抱いているイメージについてのWebアンケート調査
結果と考察
【結果】特定機能病院の特徴としては、一般病床数、常勤医指数、常勤看護師数、放射線科専門医、麻酔科専門医、1日あたり平均外来患者数が多いこと、必要医師数に対し医師数が2倍以上いることがあげられる。一方、先進医療の種類数、取り扱い患者数は多くなく、特定集中治療室管理料を算定する施設も多くない。研究費、論文発表等の実績は病院間の差が大きい。研修を受けた医師数は多いが、医師以外への研修等は少ない。医療安全管理等に関する事項では病院間で差が大きい。
 特定機能病院と高度大規模病院とは、先進医療実施数では特定機能病院が多いが、手術件数は高度大規模病院の方が多い。しかし、手術技術度D,Eの手術は特定機能病院が多い。新規入院患者数、クリニカルパスの使用等は高度大規模病院が多い。初期研修医の採用には差がないが、臨床研修指導医数、専門研修新規登録者数等は特定機能病院が多い。企業治験等は特定機能病院が圧倒的に多い。臨床研究専門職等も特定機能病院が圧倒的に多い。救命救急患者数は高度大規模病院が圧倒的に多い。地域への医師派遣は高度大規模病院ではなかった。
 市民向けアンケートからは、特定機能病院のことを知らない人が半数以上あり、名称の知名度が高くはないことが明らかとなった。知っていても「特定の病気を治療する病院」との回答が半数を占め、知らない人も「特定の病気を治療する病院」との認識が半数あった。つまり、特定機能病院の名称を知っているか否かにかかわらず、約半数の人が特定機能病院の役割について、「特定の病気を治療する病院」と誤解していた。
【考察】特定機能病院のほとんどが大学附属病院であり、その結果、高度の医療の提供と共に、研究、研修に重点がある傾向が見て取れ、高度大規模病院の比較において明らかとなった。ただ、大学附属病院でない特定機能病院では、特定領域を対象としている場合は診療内容が明確であるが、総合的な診療を行っている病院では高度大規模病院との区別は明瞭でなかった。今後、大学附属病院ではない総合的な病院については担う役割等の明確化が必要と思われる。
 市民アンケートからは、特定機能病院として必要なこととして、高度な医療、詳しい検査、難しい手術といった患者の立場として受ける診療のことが主であり、臨床研究・治験、教育・研修の役割については意識されていなかった。このような認識のもとで医療を受け、特にその結果が望ましくなかった場合には、患者が「きちんとした医療を受けられなかった」などネガティブな感情を持ち、医療者への不信感につながりかねない危険性が感じられた。
結論
 今後、大学附属病院、特定の診療領域を担う病院、総合的な診療を行う病院など、その病院の特性に応じた特定機能病院の担う役割やその条件の明確化が必要と思われる。
患者・家族を含め、一般市民には、特定機能病院の担う役割を十分に伝え、理解してもらわないと、単なる高度大規模病院と誤解し、その結果、不信感につながりかねない危険性が感じられた。

公開日・更新日

公開日
2026-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-01-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202306020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特定機能病院のほとんどが大学附属病院であり、その結果、高度の医療の提供と共に、研究、研修に重点を置いている傾向が見て取れ、これは特定機能病院でない高度大規模病院の比較において明らかとなった。ただ、大学附属病院でない特定機能病院では、癌などの特定領域を対象としている場合は診療内容が明確であるが、総合的な診療を行っている病院では高度大規模病院との区別は明瞭でなかった。
臨床的観点からの成果
市民アンケートからは、特定機能病院として必要なこととして、高度な医療、詳しい検査、難しい手術といった患者の立場として受ける診療のことが主であり、臨床研究・治験、教育・研修の役割については意識されていなかった。このような認識のもとで医療を受け、担当が研修医だったり、試験的な治療だったりした場合、特にその結果が望ましくないものであった場合には、患者が「きちんとした医療を受けられなかった」などネガティブな感情を持ち、医療者への不信感につながりかねない危険性が感じられた。
ガイドライン等の開発
令和6年7月から開催されている「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」において検討資料として使用された。
その他行政的観点からの成果
現在すでに承認されている特定機能病院、及び将来的に特定機能病院を目指す可能性のある大規模病院が担っている医療・研修・研究について、現状を科学的に示すことで、令和6年度に開催を検討している特定機能病院のあり方検討会において、承認要件の見直しを議論する際の基礎資料として使用された。
その他のインパクト
患者・家族を含め、一般市民には、特定機能病院の担う役割を十分に伝え、理解してもらわないと、単なる高度大規模病院と誤解し、その結果、不信感につながりかねない危険性が感じられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-05-23
更新日
2025-06-04

収支報告書

文献番号
202306020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,805,000円
(2)補助金確定額
8,805,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 60,000円
旅費 0円
その他 6,331,150円
間接経費 1,761,000円
合計 8,152,150円

備考

備考
①人件費:結果の詳細な分析を行う必要があり、研究協力者の意見聴取の回数が増加したため。
②物品費:データ整理のための消耗品の購入を予定していたが、不要であったため。
③旅費:班会議をメール会議にて行ったため、当初想定していた金額は不要であった。
④委託費:入札により予定価格より低下で契約できたため。
経費の変動はあったが、研究に支障はなく、研究目標を達成できた。

公開日・更新日

公開日
2026-01-20
更新日
-