高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進及び効果検証のための研究

文献情報

文献番号
202301022A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進及び効果検証のための研究
課題番号
23AA2006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学 栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
  • 渡邊 裕(北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)
  • 田中 和美(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
  • 樺山 舞(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
13,916,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和2年度からの「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」(以下、一体的実施)では、実施市町村数は年々増加しているが、効果的な事業実施や事業評価などに課題を抱える後期高齢者医療広域連合(以下、広域連合)、市町村が少なくない。
本研究では本事業の評価方法の検討と効果検証に取り組み、自治体がPDCAサイクルを回して一体的実施に取り組むためのツールや方法を提案することにより、本事業の推進に寄与することを目的とする。
研究方法
① 先行研究班の「一体的実施・実践支援ツール」を検証、再構築に向けた提案を行う。
② 実施計画書及び実績報告書よりストラクチャー、プロセス評価の標準的な方法について検討する。
③ 広域連合よりKDBデータ(質問票、健診、医療、介護)を複数年分収集し、抽出基準に基づいた高齢者の健康状態とその変化を確認する。
④ ③のデータベース等の分析により高齢者の保健事業の効果的な実施に資するエビデンスを提供する。
結果と考察
①「一体的実施・実践支援ツール」について自治体、広域連合等に評価をしてもらい、その結果に基づき再構築を提案した。令和6年4月国保中央会より実用化版のツールを公表することができた。
② 自治体の実績報告書等をもとにしたストラクチャー、プロセス評価の検討を行った。現在の書式は自由記載欄が多く、評価になじまないため、今後の継続的な評価のためには分析しやすい様式が必要である。研究班では記載事項を読み取り、評価可能かを検討中である。
③ 2広域連合より75歳以上のデータ180万人分の提供を受け、研究用データセットを構築した。健診・質問票データの登録率は約3割(53万人)で、市町村間差があった。低栄養、口腔、薬剤、身体的フレイル、重症化予防、健康状態不明者の抽出(支援ツール基準)における性・年齢階級別の質問票の該当率、抽出条件別の該当率(性・年齢階級別)、該当者のプロフィール(傷病、質問票の回答状況、要支援・要介護認定者の割合、服薬等)、医療費、介護給付費の水準、令和2年度から令和3年度の推移を確認、後期高齢者の健康状態や各抽出基準該当者の特徴の把握ができた。各保健事業対象者の特徴を把握し、保健事業フローへの提案につながった。
後期高齢者の質問票を用いて評価した身体的フレイル事業対象者は質問票回答者の20.2%で、要介護認定の予測に加えて介護給付費の増額と関連した。
重症化予防(受診勧奨)は健診受診者の2.7%で、翌年度対象から外れる割合が66.7%と受診につながったことが考えられた。
地域特性と後期高齢者医療制度保険者インセンティブ評価指標のアウトカム評価項目でいくつかの関連が認められた。
結論
2広域連合の大規模データベースにより、一体的実施抽出基準該当者の状況、その要因や推移を分析した。また要介護、医療費等への関連を検討した。今後の本事業の在り方や効果評価に向けてさらなる検討を進めたい。

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202301022Z