医薬品・医療機器等の費用対効果評価における分析ガイドラインの改定に資する研究

文献情報

文献番号
202301016A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品・医療機器等の費用対効果評価における分析ガイドラインの改定に資する研究
課題番号
22AA2007
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
  • 下妻 晃二郎(学校法人立命館 立命館大学 総合科学技術研究機構)
  • 齋藤 信也(岡山大学大学院保健学研究科看護学分野基礎看護学領域)
  • 石田 博(山口大学大学院医学系研究科 医療情報判断学)
  • 能登 真一(新潟医療福祉大学 医療技術学部)
  • 森脇 健介(立命館大学 総合科学技術研究機構)
  • 赤沢 学(明治薬科大学 公衆衛生・疫学)
  • 田倉 智之(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科 医療経済政策学講座)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 経営管理研究科)
  • 佐藤 大介(千葉大学 千葉大学医学部付属病院 次世代医療構想センター)
  • 白岩 健(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
19,934,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品・医療機器の費用対効果評価については、新規に承認された品目について評価が進められている。企業側の分析、公的分析ともに費用対効果に関する分析ガイドラインに基づいて分析を実施することとなっている。分析ガイドラインは企業分析・公的分析ともに従うべき、分析に関する共通手法をまとめたものであり、これらは2年に一度の診療報酬改定の際に、定期的に見直されているところである。本研究班においては、費用対効果評価における分析ガイドラインの改定作業と、費用対効果評価の新たな学術的動向について研究を行うことを目的としている。
研究方法
本研究では、研究目的を達成するために、分析ガイドラインにおける以下の点について、諸外国における実態調査、既存文献のレビュー、必要に応じて定量的調査を行うことにより、専門家間のコンセンサスを確立し、それらの課題や解決策を明らかにしていく。1) 分析の立場、2) 分析対象集団、3) 比較対照技術、4) 追加的有用性、5) 効果指標の選択、6) 費用の算出、7) その他
結果と考察
1) 分析の立場: 分析の立場については、公的介護費を考慮する「公的医療・介護の立場」について、介護データベースなどを活用することで認知症患者の公的介護費用を推計できる可能性はあるが、その妥当性や重症度ごとの介護費用の推計、軽度の認知障害患者の特定、関連費用の推計には課題がある。
2) 分析対象集団:評価対象品目に関する現在の臨床実態や使用実績等を考慮して、長期的な観点からの患者割合(特許期間の累積患者数に基づく患者割合等)を推計し、長期的な観点からの推計が困難である場合には、上市から一定期間後の安定した状態における断面の患者割合を用いてもよいという考え方を示した。
3) 比較対照技術: 評価対象技術によって代替されると想定されるもののうち、治療効果がより高いもの、すなわちcost-effectiveness frontierの先端の技術を比較対照技術として取り扱うことを原則する。
4) 追加的有用性: 「追加的有用性の検討」については、HTA(Health Technology Assessment)の文脈におけるTTE(Target Trial Emulation)をはじめとする非ランダム化研究の利用状況と課題を整理した。
5) 効果指標の選択: 「効果指標の選択」については、2023年度末までに費用対効果評価制度において分析結果が公表されている27品目について、健康効用値(Health State Utility Values: HSUV)の状況をまとめた。
6) 費用の算出
「費用の算出」については、レセプトデータベースで健康状態の定義や推計方法を巡る指針の策定に向けたチェック項目を抽出し整理した。
結論
本研究では、費用効果分析手法の最新動向や諸外国での分析ガイドライン等の検討、さらにこれまで日本で実施された費用対効果評価の結果等を踏まえて、医薬品・医療機器の費用対効果評価制度で用いられている分析ガイドラインについて、第4版の作成を行った。

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202301016B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品・医療機器等の費用対効果評価における分析ガイドラインの改定に資する研究
課題番号
22AA2007
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 下妻 晃二郎(学校法人立命館 立命館大学 総合科学技術研究機構)
  • 齋藤 信也(岡山大学大学院保健学研究科看護学分野基礎看護学領域)
  • 石田 博(山口大学大学院医学系研究科 医療情報判断学)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
  • 赤沢 学(明治薬科大学 公衆衛生・疫学)
  • 田倉 智之(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科 医療経済政策学講座)
  • 能登 真一(新潟医療福祉大学 医療技術学部)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 経営管理研究科)
  • 白岩 健(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
  • 森脇 健介(立命館大学 総合科学技術研究機構)
  • 佐藤 大介(藤田医科大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品・医療機器の費用対効果評価については中医協等の議論の結果、令和元年度から制度的に導入された。新規に承認された品目について評価が進められている。企業側の分析、公的分析ともに費用対効果に関する分析ガイドライン(「中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドライン」)に基づいて分析を実施することとなっている。分析ガイドラインは企業分析・公的分析ともに従うべき、分析に関する共通手法をまとめたものであり、学術的な見解に基づいて作成されるのが原則である。これらは2年に一度の診療報酬改定の際に、分析者からのフォードバックや学術的進歩の影響を受けて、定期的に見直されているところである。本研究班においては、費用対効果評価における分析ガイドラインの改定作業と、それらの研究者間のコンセンサスを得るための費用対効果評価の新たな学術的動向について研究を行うことを目的としている。
研究方法
本研究では、研究目的を達成するために、分析ガイドラインにおける以下の点について、諸外国における実態調査、既存文献のレビュー、必要に応じて定量的調査を行うことにより、専門家間のコンセンサスを確立し、それらの課題や解決策を明らかにしていく。1) 分析の立場、2) 分析対象集団、3) 比較対照技術、4) 追加的有用性、5) 効果指標の選択、6) 費用の算出、7) その他。その他については特に、「諸外国の費用対効果評価制度の実態」「人材育成に関する研究」「アプレイザルのあり方」について検討を行った。
結果と考察
1) 分析の立場: 分析の立場については、公的介護費を考慮する「公的医療・介護の立場」について、介護データベース等を用いた推計可能性について検討を行った。ただし、公的医療よりも幅広い費用を医療経済評価に含める場合、その範囲をどこまでとすべきか、どのように推計するか、その際にどのような問題が生じるかについては十分に検討が必要であることが示された。
2) 分析対象集団:分析ガイドライン第4版においては、評価対象品目に関する現在の臨床実態や使用実績等を考慮して、長期的な観点からの患者割合(特許期間の累積患者数に基づく患者割合等)を推計することを原則とすることとした。
3) 比較対照技術:「比較対照技術」については、文献調査等の結果から、ガイドラインにおける考え方をまとめた文書等を作成した。また、記載がわかりにくいという指摘があり、明確に示す方針が中医協においても示されたことから、これまでの選定方法と趣旨は変わらないようにしつつ、記載の見直しを行った。
4) 追加的有用性:分析ガイドライン第4版において、非RCTの扱いやネットワークメタアナリシス実施の際の注意点(ネットワークの広さ、投与量等)を記載することとした。
5) 効果指標の選択: 分析ガイドライン第4版で推奨するQOL値の測定方法について、推奨順位および利用する際の留意点を記載する形で提案することとした。日本におけるQOL値データベースのアップデートを行った。
6) 費用の算出
「費用の算出」については、レセプトデータベースで健康状態の定義や推計方法を巡る指針の策定に向けたチェック項目を抽出し整理した。
結論
本研究では、費用対効果評価制度で用いられている分析ガイドラインについて、第4版の作成を行った。これらについては、令和6年1月27日に開催された中央社会保険医療協議会において了承され、令和6年度より使用される予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202301016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
分析ガイドラインについては、研究班において作成した改訂版を中医協に提案し、次年度からの分析に用いられるようになった。NDBを用いた疾患別医療費の分析方法やQOL値の測定ツールについては、実際に費用対効果評価の分析において用いることができるものであり、これら標準的な手法の確立により、費用対効果評価制度の推進に貢献するものと期待される。翻訳されたCHEERS声明は、医療経済評価の報告の質の担保や向上に有用なものであり、費用対効果評価における報告様式への活用も期待される。
臨床的観点からの成果
医薬品・医療機器等の費用対効果評価を分析ガイドラインに沿って実施した結果は、臨床における医薬品等の適正使用にも結びつくものと期待される。
ガイドライン等の開発
研究班で改訂を行った「中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドライン 2024年版」については2024年1月27日 の中医協総会了承を経て、2024年4月以降の指定品目の評価に際して適用されることとなった。
その他行政的観点からの成果
中央社会保険医療協議会における費用対効果評価制度は今後、その対象を拡大していくことが想定されており、本研究の成果から分析方法の標準化や研究体制の充実などを図ることにより、効率的な医療提供に向けた施策に貢献するものと思われる。
その他のインパクト
改訂した分析ガイドラインは中医協での指定品目の評価のためのものであるが、それ以外の保健・医療分野における費用効果分析でも本ガイドラインに準拠した方法での研究が多くされるようになってきており、我が国における費用効果分析の標準的な方法として浸透しつつある。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-07-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202301016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,934,000円
(2)補助金確定額
19,148,000円
差引額 [(1)-(2)]
786,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,765,052円
人件費・謝金 3,967,548円
旅費 8,130,952円
その他 3,285,250円
間接経費 0円
合計 19,148,802円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-10-09
更新日
-