青年期発達障害の円滑な地域移行への支援についての研究

文献情報

文献番号
200929004A
報告書区分
総括
研究課題名
青年期発達障害の円滑な地域移行への支援についての研究
課題番号
H19-障害・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 臨床研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 江藤 文夫(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局)
  • 中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 高木 晶子(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局 秩父学園)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 神尾 陽子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 北村 弥生(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害者が成人後も地域で自立して生活するためには、学校卒業と就労を迎える青年期における支援体制の確立が不可欠であるが、どのような障害保健福祉制度の枠組みを構築することが必要であるのか明らかになっていない。本研究では、通常教育学校を卒業する発達障害者の就労および就労維持に関する支援体制の構築を試み、発達障害支援センターを中心とする就労支援体制構築を目標とする大規模モデル事業実施のための基盤となるエビデンスの集積を目的とした。
研究方法
青年期発達障害者の円滑な地域生活移行を支援する地域モデルとして福祉、医療、就労支援機関連携等による所沢モデルを構築し、運用した。同モデル適用者のうち9例を対象に更生訓練所にて福祉サービスを提供した(平均提供期間約1年)。対象者の大半はひきこもりで、未診断であった。また通常学校卒業であるが、WAIS結果の検討では知的境界?軽度障害にあった。更生訓練所では、自立支援法に基づく事業サービスと同様に、生活および就労移行における課題をアセスメントし、個別支援計画書を作成し、自立訓練、就労移行支援を施行した。また、個別支援の検討のため生活技能に関するアセスメント票、個別支援計画書を新たに開発した。さらにSRS-A、PARS、AQ-J、就職レディネス・チェックリスト、就労移行支援のためのチェックリスト、自己概念測定尺度、福祉用具心理評価スケール(PIADS日本語版)、WHO-QOLをアセスメントとして施行した。SRS-A,自己概念測定尺度については介入前後で施行し比較した。
結果と考察
自立支援法下の自立訓練・就労移行支援は発達障害成人に有効であり、全例で対人技能、社会的コミュニケーション等に好ましい変化が得られた。9名のうち、3名が一般就職、1名が大学進学、2名が就職活動継続、1名が医療機関紹介、2名が通所中である。
結論
就労・就学を果たした事例でも新たな環境での支援に大きな不安をもっており、就労後の職場定着や生活支援について、地域支援機関との連携は重要なポイントと考える。福祉、医療、雇用支援、地域の各機関が連携することにより、現在の障害者福祉制度のなかで福祉サービスを利用しての、発達障害成人の地域生活移行支援について、1つのモデルを提唱した。

公開日・更新日

公開日
2010-08-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200929004B
報告書区分
総合
研究課題名
青年期発達障害の円滑な地域移行への支援についての研究
課題番号
H19-障害・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 臨床研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 江藤 文夫(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局)
  • 中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 高木 晶子(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局 秩父学園)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 神尾 陽子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 北村 弥生(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 小倉 加恵子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害者が成人後も地域で自立して生活するためには学校卒業と就労を迎える青年期における支援体制の確立が不可欠であるが、どのような障害保健福祉制度の枠組みを構築することが必要であるのか明らかになっていない。我々は通常教育学校を卒業する発達障害者の就労および就労維持に関する支援体制の構築を試行し、発達障害支援センターを中心とする就労支援体制構築を目標とする大規模モデル事業実施のための基盤となるエビデンスを集積する。
研究方法
青年期発達障害者の円滑な地域生活移行を支援する地域モデルとして福祉、医療、就労支援機関連携等による所沢モデルを構築し、運用した。同モデル適用者のうち9例を対象に更生訓練所にて福祉サービスを提供した(平均提供期間約1年)。対象者の大半はひきこもりで、未診断であった。また通常学校卒業であるが、WAIS結果の検討では知的境界?軽度障害にあった。更生訓練所では、自立支援法に基づく事業サービスと同様に、生活および就労移行における課題をアセスメントし、個別支援計画書を作成し、自立訓練、就労移行支援を施行した。さらにSRS-A、PARS、AQ-J、就職レディネス・チェックリスト、就労移行支援のためのチェックリスト、自己概念測定尺度、福祉用具心理評価スケール(PIADS日本語版)、WHO-QOLをアセスメントとして施行した。SRS-A,自己概念測定尺度については介入前後で施行し比較した。
結果と考察
自立支援法下の自立訓練・就労移行支援は発達障害成人に有効であり、全例で対人技能、社会的コミュニケーション等に好ましい変化が得られた。9名のうち、3名が一般就職、1名が大学進学、2名が就職活動継続、1名が医療機関紹介により研究参加中止、2名が通所中である。
結論
就労・就学を果たした事例でも新たな環境での支援に大きな不安をもっており、就労後の職場定着や生活支援について、地域支援機関との連携は重要なポイントと考える。福祉、医療、雇用支援、地域の各機関が連携することにより、現在の障害者福祉制度のなかで福祉サービスを利用しての、発達障害成人の地域生活移行支援について、1つのモデルを提唱した。

公開日・更新日

公開日
2010-08-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200929004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
青年期発達障害者の円滑な地域生活移行を支援する地域モデルとして福祉、医療、就労支援機関連携等による所沢モデルを構築し、運用した。福祉、医療、雇用支援、地域の各機関が連携することにより、現在の障害者福祉制度のなかで福祉サービスを利用しての、発達障害成人の地域生活移行支援について、1つのモデルを提唱した。
臨床的観点からの成果
特に社会的引きこもりの状態にあった青年期発達障害者に訓練所内の個人スペースから徐々に職場体験なども含めた多様な場面へ、スモールステップで継続的な支援によりポジティブな経験をさせることにより、比較的短期間に対人不安やコミュニケーション、ソーシャルスキルの点で良好な変化が見られた。同じPDD診断を有しているものの、個人要因・環境要因が大きく異なる対象者で共通の望ましい変化が得られた点は今後青年期発達障害者への支援手法を開発する上で意義は大きい。
ガイドライン等の開発
発達障害者の多様性を考慮した長期的な支援に必要な定量的行動評価尺度を開発した。また、ユーザーニーズに対応した工学的シーズを開拓した。
その他行政的観点からの成果
青年期発達障害者支援の選択肢として,雇用支援と並び福祉サービスの有用性を示唆した。今後成人期支援体制構築を目指す上の基盤となるエビデンスとなる。
その他のインパクト
第46回日本リハビリテーション医学会学術集会、第50回日本児童青年精神医学会総会等において青年期発達障害者に対する自立訓練および就労移行支援について発表した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
その他成果(普及・啓発活動)
15件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
北村弥生
モンタナ州における発達障害者の就労支援
いとしご , 11  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
2017-05-23