生活習慣病対策における行動変容を効果的に促す食生活支援の手法に関する研究

文献情報

文献番号
200928005A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病対策における行動変容を効果的に促す食生活支援の手法に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
武見 ゆかり(女子栄養大学 栄養学部 食生態学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 足達 淑子((財)日本予防医学協会)
  • 坂根 直樹(京都医療センター 臨床研究センター)
  • 西村 節子(大阪府立健康科学センター 健康開発部 栄養指導班)
  • 赤松 利恵(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科)
  • 林 芙美(女子栄養大学 食生態学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、食生活支援に焦点を当て、1)保健指導における減量の成功要因を量的・質的に検討し、2)体重管理において重要とされる誘惑場面の対策の検討を行う。以上をふまえ、効果的な支援手法の標準化を図る指導者用ツールとして「食・生活支援シート(第1案)」の枠組みの作成を目的とした。
研究方法
1.減量成功要因の量的検討:分担研究者の各フィールドの既存データを用いて、減量成功(6ヶ月時に体重4%以上減少)要因の量的検討を行った。検討対象は、3企業における特定保健指導の継続支援者計900名(足達),大阪府立健康科学センターで平成20年度特定保健指導を実施した707名中6ヶ月後調査に回答のあった男性463名(西村)、地域のグループ支援3回以上のダイエット教室参加者男女145名及び生活習慣病予備群男女538名(坂根)である。
2.減量成功要因の質的検討:5つの職域健保組合にて特定保健指導を受けた男性の中から、成功事例30例、非成功事例8例に、1人30分の個別インタビューを実施し、本人が認識している減量の成功(非成功)要因と保健指導の影響を詳細に検討した(武見、林)。
3.減量の誘惑場面での対策の検討:I健保組合の組合員752名を対象とした自記式質問調査結果から、減量の誘惑場面で講じられている対策を検討した(赤松)。
結果と考察
1.量的検討からは、減量成功に関わる要因として、目標とした身体活動量、非飲酒、取組み開始1ヵ月後の減量成績などが抽出された。しかし食生活に関する要因はほとんど抽出されず、また、現行の事前の標準的問診票、及び取組み方法だけでは減量の事前予測は困難であることが明らかとなった。2.質的検討からは、体重減少及び行動変容の成功要因として、「体型や健康上の問題の自覚」「制度がきっかけ」「プラン以外の実施内容」「支援内容への満足感」「効果の自覚」「良好な家族の関係性」などの要素が抽出された。3.体重管理における誘惑場面の対策として、行動置換,刺激統制,ソーシャルサポート,認知的対処,食べ方の5つの対策が示され,これらはTTMの変容ステージとも関連していた.このうち、食べ方(量を考える、小さめの皿に盛るなど)は食行動特有の対策であった。
結論
以上、およびTTMにおける先行研究のレビュー(林)をふまえ、より効果的な支援手法の標準化を図る指導者用ツールとして、「食・生活支援シート(第1案)」の枠組みを作成した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-03
更新日
-