エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究

文献情報

文献番号
200926051A
報告書区分
総括
研究課題名
エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田中 茂穂(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 和子(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム )
  • 田畑 泉(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 金子 佳代子(横浜国立大学 教育人間科学部)
  • 井上 茂(東京医科大学 公衆衛生学)
  • 引原 有輝(千葉工業大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「日本人の食事摂取基準」におけるエネルギー必要量を決定するために、身体活動量や基礎代謝量などを通じてエネルギー消費量の推定法を改善・確立することが、本研究の目的である。
研究方法
1)成人男女を対象に、二重標識水(DLW)法および加速度計を用いて、体型・身体組成別に身体活動量の違いを検討した。2)成人の肥満男女を対象に、既存の基礎代謝量推定式の妥当性を検討した。2)地域住民を対象に、身体活動量調査への参加を依頼し、協力者と非協力者を比較することによって、調査結果のバイアスを検討した。4)中学生を対象に、DLW法および基礎代謝量の測定を実施し、得られた身体活動レベルと活動内容との関連を検討した。5)小学生を対象に、様々な活動における身体活動強度と加速度計との関係を検討し、成人用の推定式の妥当性を検討した。
結果と考察
1)DLW法や加速度計を用いた検討により、過剰な脂肪を有する日本人中高年女性は、1日の身体活動が少ない可能性が示唆された。2)特に男性では、国立健康・栄養研究所の式を用いた場合の誤差が小さく、系統誤差もほとんど見られなかった。3)加速度計調査に協力する者には身体活動度の高い者が多く含まれている可能性があり、これが選択バイアスの原因となっている可能性がある。回収率の高い調査にする工夫が必要であるとともに、調査結果の解釈では選択バイアスが発生している可能性を考慮する必要があるものと考えられた。4)PALの平均値がやや高い中学生の集団において、PALが特に高値を示す者は、運動部への参加、買い物や映画を見に行く、友達と遊ぶ、習い事へ行く等で外出する傾向があったが、今後、PALがより低いレベルでの判定法を検討する必要がある。5)合成加速度から小学生のMETsを推定する際に、成人で得られた推定式を用いると過大評価されることが明らかとなった。したがって、子どものMETsを評価する際には、子ども独自に作成した推定式を用いる必要がある。また、各活動時のエネルギー消費量を推定するには、安静時代謝量の推定法にも改善が求められる。
結論
特に脂肪が過剰な女性においてのみ身体活動量が少ないことや、当研究所における基礎代謝量推定式の有用性を明らかにするなど、新たな知見を提示した。また、成人および子どもにおける身体活動量を推定するにあたって、質問紙や加速度計からの推定の問題点を指摘するとともに、新たな方法を提示した。

公開日・更新日

公開日
2010-10-06
更新日
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