ライフステージに応じた女性の健康状態に関する疫学的研究-10代から90代までの女性を対象とした長期縦断研究

文献情報

文献番号
200926049A
報告書区分
総括
研究課題名
ライフステージに応じた女性の健康状態に関する疫学的研究-10代から90代までの女性を対象とした長期縦断研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
下方 浩史(国立長寿医療センター 疫学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 富士子(愛知淑徳大学 医療福祉学部)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 山口 孝子(名古屋市立大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
若年期のやせ、閉経後の肥満、更年期の諸症状、乳腺症、子宮筋腫、子宮摘出の発生頻度、排尿障害など女性特有の、あるいは高頻度にみられるさまざまな障害を、女性のライフステージ別に明らかにすることを目的として研究を行った。
研究方法
人間ドックのデータベースを使用し、平成20年度に受診した20歳から90歳までの女性7,667名でのライフステージ別の健康問題の解析を行った。また、「国立長寿医療センター研究所・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第5次調査に参加した、40歳から87歳の女性1,194人のライフステージ別の症候や疾病について検討し、40歳以上日本人女性における各疾患の推定有病率を計算した。さらに65歳以上の在宅療養中の要介護高齢者を対象に横断的および3年間の縦断的観察調査をもとに、要介護者の性別よる背景ならびに3年間のイベントの相違などを検討した。若年女性の健康問題の抽出と健康阻害要因の解明を行うことを目的に大学女子学生を対象に質問紙調査も実施した。
結果と考察
若い世代では、喫煙や食生活の乱れ、運動不足が多く、やせ願望があり不要なダイエットを行う者、貧血や何らかの月経異常をもつ者が多くみられた。40代では子宮筋腫や卵巣のう腫、貧血が、閉経後になると糖尿病、高血圧症、脂質異常症があげられた。高齢期に大きな問題となるのは骨粗鬆症、やせ、貧血であり、栄養との関連が問題となっていると推定された。要介護高齢女性では重篤な併存症の有病率は男性に比較して低く、3年間の死亡率、入院率は男性要介護高齢者よりも低かった。一方介護施設への入所は男性よりも高かった。日本人全体の推計では、40歳以降の女性での有病率が高かったのは、高脂血症(推定2,077万人)、尿失禁(1,272万人)、高血圧症(1,255万人)、骨粗鬆症(805万人)、肥満(718万人)であった。これらの結果からライフステージ別の女性の健康対策が求められ、特に患者数の多い疾患については、早急な対応が必要であろう。
結論
女性のライフステージによってさまざまな健康問題があり、全体として特に栄養問題や生活習慣、閉経の影響が大きかった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-11
更新日
-