離島・農村地域における効果的な生活習慣病対策の運用と展開に関する研究

文献情報

文献番号
200926047A
報告書区分
総括
研究課題名
離島・農村地域における効果的な生活習慣病対策の運用と展開に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 木山 昌彦(大阪府立健康科学センター)
  • 佐藤 眞一(千葉県衛生研究所)
  • 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
  • 山岸 良匡(筑波大学大学院)
  • 谷川 武(愛媛大学大学院)
  • 小林 美智子(活水女子大学)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院)
  • 岸本 拓治(鳥取大学)
  • 白井 こころ(琉球大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、離島・農村地域において社会環境や健医療分野の人材・資源を活用し、特定健診・特定保健指導を効果的に運用、評価するとともに、非肥満者のハイリスクグループへの保健指導の効率的な実施とポピュレーションアプローチを加えた生活習慣病予防対策を体系的に整備して、実践するモデルを形成することである。
研究方法
地域特性の異なる4離島、4農村、対照地域としての1大都市近郊を対象として、1)社会環境・保健医療資源の実態把握、2)生活習慣病(高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム)の実態把握、3)特定健診・特定保健指導の実施と評価を行った。
結果と考察
離島地域と、大洲市では核家族世帯、高齢者単身世帯が多い特徴があった。医療・保健施設や人材に関しては、農村地域に比べて離島地域でより程度充実している傾向が見られた。
メタボリックシンドロームの有病率(40-64歳)は男性で地域差が大きく認められ、知夫村が40%で最も高く、新上五島町が17%で最も低かった。高血圧の有病率も男性で大きな地域差がみられ、知夫村が51%と最も高く、協和地区が31%と最も低かった。
特定健診の受診率は対象地域の間で26%から56%と大きな開きがあり、大洲市が最も低く、井川町が最も高かった。また、特定保健指導の受講達成率においても対象地域の間で10%から76%と大きな開きがみられ、岩瀬地区を含む桜川市が最も低く、大洲市が最も高かった。
茨城県筑西市協和地区では、「野菜の摂取量増加」と「地産地消」を推進するため,野菜を使ったスイーツのレシピを募集し,ベジタブル・スイーツコンテスト並びに地域食育大会を開催した。
平成22年1月18‐19日に鹿児島県奄美市で学術専門職と保健・医療行政専門職との研修・意見交換会を実施した。

結論
離島・農村地域において、生活習慣や生活習慣の有病率および特定健診受診率・特定保健指導の実施状況に地域差が確認された。また、中年男性においては、肥満や糖尿病の増加が懸念されているが今後の動向を見守る必要がある。特定健診受診率、受講達成率の高低の要因を抽出し、有望な方策は他の地域に導入し、その効果を検証していく計画である。各地域の生活習慣の形成、生活習慣病の発症における特徴や、その改善・予防のために必要な環境整備を明らかにすることにより、わが国の離島・農村での効果的な生活習慣病対策の運用と展開方策を追求してゆく。

公開日・更新日

公開日
2010-10-06
更新日
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