特定保健指導プログラムの成果を最大化及び最適化する保健指導介入方法に関する研究

文献情報

文献番号
200926030A
報告書区分
総括
研究課題名
特定保健指導プログラムの成果を最大化及び最適化する保健指導介入方法に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
今井 博久(国立保健医療科学院 疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 成木 弘子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部 )
  • 佐田 文宏(国立保健医療科学院 疫学部 )
  • 福田 吉治(山口大学 医学部)
  • 中尾 裕之(国立保健医療科学院 疫学部 )
  • 千葉 啓子(岩手県立大学 盛岡短期大学部生活科学科)
  • 篠原 久枝(宮崎大学 教育文化学部)
  • 高塚 直能(岐阜大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成20年度から特定保健指導が開始されたが、効果的で効率的な保健指導の介入方法に関する十分なエビデンスがなかった。そこで、効果的で効率的な保健指導の介入方法を明らかにすることを研究目的とした。
研究方法
 全国データを収集し分析する「マクロ分析」、精度の高いデータセットが揃っている都道府県に焦点を当てて詳細に分析する「ミクロ分析」を実施した。前者では、北海道、東北、関東、近畿、中国、四国、九州からモデル的に都道府県データを研究班が開発した突合ソフトを活用して収集した(地域住民の特定健診対象者ベースでの合計20万人)。後者では、県内すべての市町村のデータが整っている岩手県を対象に詳細な分析をした。県内全35市町村の健診及び保健指導データを使用して詳細に分析した。
結果と考察
【結果】(1)マクロ研究:わが国で地域保健ベースでは最大規模になった。結果の概要として、1)日本人の成人を対象に半年間の保健指導の介入を効果的に行えば、概ね3%?5%の体重減少と腹囲縮小が可能、2)血圧値や脂質類値は比較的変化させられるが、血糖値(HbA1c)は大きな変化が得られない、3)効果が出る保健指導ポイントは180ポイントよりも多く300ポイント前後、などが示唆された。
(2)ミクロ研究:1)食事アセスメントを十分に実施した場合がより効果が出る傾向であった。運動アセスメントは一定の傾向はなかった、2)保健指導従事者のスタッフ数1人当たりの対象者数が少ないほど、効果が大きい、3)実施時間帯が、「昼間のみ」と「昼間と夜間」を比較すると後者の効果が大きかった、などが示唆された。
【考察】マクロ研究の知見からは、効果の目安が立てられ自治体の特定健診保健指導実施の戦略を具体的に描ける、効率的に保健指導を進める方法を検討できる、などの諸点に役立つエビデンスが得られた。ミクロ研究からは、直接的な実施者である保健師・管理栄養士にとって効果を挙げる食事評価方法/運動評価方法、保健指導教室の運営方法、ベンチマーク方式による評価、などの役立つ内容が明らかになった。
結論
厚生労働省が特定健診保健指導のガイドラインとして出した「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」はエビデンスに基づいた記述が多くなく、また実施ノウハウの説明も少なかった。本研究により得られた成果を、その「確定版」に活用すればエビデンスに裏付けられた内容になる。

公開日・更新日

公開日
2010-10-05
更新日
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