粒子線治療の有効性、適応、費用対効果に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200925060A
報告書区分
総括
研究課題名
粒子線治療の有効性、適応、費用対効果に関する総合的研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鎌田 正(独立行政法人 放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 勝(千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学講座)
  • 赤倉 功一郎(東京厚生年金病院泌尿器科学)
  • 池田 徳彦(東京医科大学 呼吸器外科)
  • 根本 建二(山形大学医学部 放射線科)
  • 手島 昭樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 中野 隆史(群馬大学大学院 医学系研究科 腫瘍放射線学)
  • 山本 和高(財団法人 若狭湾エネルギー研究センター 粒子線医療研究室)
  • 村上 昌雄(兵庫県立粒子線医療センター )
  • 村山 重行(静岡県立静岡がんセンター 陽子線治療研究部)
  • 荻野 尚(国立がんセンター東病院 臨床開発センター 粒子線医学開発部)
  • 櫻井 英幸(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 不破 信和(財団法人 脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センター)
  • 川渕 孝一(東京医科歯科大学大学院 医療経済学分野)
  • 花岡 英紀(国立大学法人千葉大学医学部附属病院 臨床試験部)
  • 福村 明史(放射線医学総合研究所 放射線治療品質管理室)
  • 井垣 浩(帝京大学医学部附属病院放射線科)
  • 中川 恵一(東京大学医学部附属病院 放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、国内すべての粒子線治療実施施設に加えて、外科(消化器、呼吸器、泌尿器等)、放射線治療(IMRT, 小線源等)医学物理、医療経済、臨床試験の専門家が加わって、上記について科学的視点及び経済的な視点で研究を行う。具体的には、これまで行われて来た粒子線治療(対象、治療内容、経過等)を総括し、治療の標準化(ガイドラインの策定)、費用対効果の検討、施設基準の設定、物理学的な精度管理保証のあり方、多施設共同研究の実施によるエビデンスの創出、さらに保険収載を視野にいれた資料の収拾を行う。
研究方法
異なる治療技術間での無作為比較試験の実施は現実には極めて困難であることから、粒子線治療多施設間で共通のプロトコールによる登録行い、治療結果の解析を行う。前立腺癌について粒子線多施設共通プロトコールを作成し、各施設において倫理審査を得て症例の登録を開始する。登録期間2年で症例数は陽子線300例、炭素線300例を予定する。また前立腺癌治療の費用対効果についてQOLへの影響を加味した生存期間(QALY: Quality adjusted life years)に基づいて、費用対効用分析を行なう。高い技術と専門的な知識の集約が粒子線治療の実施には不可欠であり、そのような基盤なしに安全で効果的な粒子線治療をおこなうことは困難であることから施設の基準を設定し提案を行う。新しい治療技術である粒子線の精度管理、精度保証のあり方についてガイドライン検討する。
結果と考察
異なる治療技術間での無作為比較試験の実施は現実には極めて困難であることから、粒子線治療多施設間で共通のプロトコールによる登録行い、治療結果の解析を行うことを目的に前立腺癌について粒子線多施設共通プロトコールを作成できた。今後、既存治療の正確なコスト計算を如何に行うかが重要な課題と思われた。高い技術と専門的な知識の集約が粒子線治療の実施には不可欠であり、そのような基盤なしに安全で効果的な粒子線治療をおこなうことは困難であることから施設の基準を設定し、新しい治療技術である粒子線の精度管理、精度保証のあり方も含めたガイドライン(試案)を作成できたが、今後、国際的な比較、また医学物理士の我が国におけるあり方まで含めた問題点が明らかとなった。

結論
前立腺癌における粒子線治療による多施設共同臨床試験が立案できた。粒子線治療実施のためのQA/QCを含むガイドライン試案を作成できたことは今後の粒子線治療の標準化において重要な成果となると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-